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通信業界の仮想化とKubernetes

2021/12/26に公開

本記事は通信業界アドベントカレンダー Advent Calendar 2021の20日目の記事です。

はじめに

通信業界ではNFVをはじめとして、ネットワーク仮想化の検討が行われています。最近では要素技術にコンテナも加わり、DockerやKubernetesを使う機会も出てきました。ネットワーク仮想化を進めてきた背景からすると、業界内では当然の流れだと思いますが、通信業界以外の方に「Kubernetesを触っています」と話すと驚かれるので、自分の勉強もかねて通信業界の仮想化とKubernetes の活用までの流れを簡単にまとめてみました。

ネットワーク仮想化の歴史

  1. VLAN
    • 1990年代に登場したネットワーク仮想化の先駆けの技術
    • 物理スイッチを複数の論理的なスイッチに分割して利用
    • 設定変更のしにくさや障害発生時の切り替えに時間がかかるなどの課題
  2. SDN: Software Defined Networking
    • 2011年に標準化団体であるONF(Open Networking Foundation)が設立
    • ソフトウェアでネットワークを仮想的に作り出す技術
    • ネットワーク制御とデータ転送処理の機能を分離し、制御を外部のコントローラが担うことで、ネットワークをソフトウェアで集中制御するOpenFlow技術がコア
  3. NFV: Network Function Virtualisation
    • 2012年に標準化団体としてETSI(European Telecommunications Standards Institute)にNFV ISGが発足
    • ルーター、ファイアウォール、ロードバランサーなどの専用HWで実行されていたネットワークサービスを仮想化する方法
  4. クラウドネイティブの導入
    • 2017年頃にKubernetesがコンテナオーケストレーションの事実上の標準に
    • 2018年にLinux FoundationがNFVによる仮想ネットワーク機能であるVNF(Virtual Network Function)からCNF(Cloud native Network Function)への移行を促進する方針を発表
    • ETSI NFVにおいてもコンテナの導入に向けてRel 3 & Rel 4で議論

Kubernetesの活用イメージ

国内の動向

総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会 IPネットワーク設備委員会では「通信ネットワークの本格的なソフトウェア化・仮想化の進展に対応した技術基準等の在り方」の検討を実施し、各事業者や関係団体へのヒアリングと意見の取りまとめを行っています。
その結果、通信ネットワークの特徴やステークホルダーの変遷を時系列で整理し、4つのモデルに分類されました。出典: IPネットワーク設備委員会第三次報告(案), p23

現在のフェーズはモデル3の付近であり、VMとコンテナの混在するより複雑な環境となっています(たぶん)。
出典: IPネットワーク設備委員会第三次報告(案), p26

第三次報告の後、引き続き仮想化・クラウド利用等及びローカル5Gに関する関係者ヒアリングを行い、安全・信頼性に重点を置いた制度の在り方の検討が行われています。

おわりに

クラウドネイティブの世界では様々なコミュニティによってOSSの開発が進められていますが、Kubernetesのように様々な場面で使われるようになっているOSSであっても、安定性やセキュリティが高度に追及される通信業界に導入するには難しい課題があります。また、通信のアーキテクチャの複雑さにKubernetesなどの複雑な運用が加わると、通信事業者にはより高度なスキルが求められることになります。
いろいろな難しさがあり、完全にコンテナのみの運用にも移行できない中で、どのようにクラウドネイティブ技術が組み込まれていくのか、今後の動向も追いかけていきたいと思います。

参考

Discussion