AWS Lambda の環境変数が GitHub Actions で見えちゃってたので KMS で暗号化しました
概要
AWS Lambda では、環境変数を設定できます。
私はこれまで、この環境変数を秘匿情報と思い込んでいました。
しかし、コンソール上では平文で表示されますし、API を使った際に表示されるケースもあるしで、必ずしも秘匿性があるわけではないと知りました。
とりわけ、この度「え、これみんなに見えちゃってね?」という危険を味わったエピソードがありました。
そのエピソードを紹介しつつ、環境変数を暗号化する方法を共有します。
エピソード
- GitHub Actions で Lambda のコードを自動でアップロードしよう!
- よしよし Action 動いてるな、、あれ?
- めっちゃ環境変数見えちゃってるじゃん!
GitHub Actions は、リポジトリが Public だと内容も公開されてしまいます。
つまり、自分以外のアカウントで Lambda に設定した環境変数が丸見えとなってしまいます。
というわけで、これをどうにかしていきます。
対応方法の選定
私が考えた中で、取れる選択肢は以下の 3 つでした。
- AWS KMS を使用して環境変数を暗号化
- AWS SSM パラメータストアに値を登録して参照
- GitHub のリポジトリを private にする
今回は以下の理由から 1 の KMS を使用する手段を選択しました。
- Lambda のコンソール上で説明されている手法だったため (公式が推奨しているのかと)
- 当該 Lambda でしか使用しない環境変数であり、パラメータストアに共通化する必要がなかっため
- ソースコードを公開したかったため
デモのゴール
GitHub Actions の job のレスポンスで、AWS Lambda の環境変数が暗号化されている状態を目指します。
使用した workflow の例は以下の通りです。
Update Lambda
の job のレスポンスが対象です。
GitHub Actions workflow
name: Update Lambda
on:
push:
branches:
- main
# 認証に必要
permissions:
id-token: write
contents: read
jobs:
deploy:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- name: Git Clone the Repository
uses: actions/checkout@v3
- name: Set Up Ruby
uses: ruby/setup-ruby@v1
with:
ruby-version: '2.7.6'
bundler-cache: true
# Lambda にアップロードするコードを zip 化
- name: Compress Zip
run: |
zip -r package.zip lambda_function.rb vendor
# AWS 認証
- name: Configure AWS Credentials
uses: aws-actions/configure-aws-credentials@v1
with:
role-to-assume: arn:aws:iam::${{ secrets.AWS_ACCOUNT_ID }}:role/${{ secrets.ROLE_NAME }}
role-session-name: OidcLambdaUpdateRuby
aws-region: ${{ secrets.AWS_REGION }}
# Lambda のコードを update
- name: Update Lambda
run: |
aws lambda update-function-code --function-name oidc-lambda-deploy-ruby --zip-file fileb://package.zip
手順 1. KMS でキーを作成
KMS > カスタマー管理型のキー > キーの作成 に移動します。
以下の設定で作成しました。
- キーのタイプ: 対象
- キーの使用: 暗号化および復号化
- 詳細オプション: デフォルトのまま
- エイリアス: oidc-lambda-deploy-ruby (任意)
- 説明: (任意)
- キー管理者: 設定なし
- キーの使用アクセス許可: 対象の Lambda のロールを指定
ロール名は Lambda のコンソールで確認できます。
手順 2. Lambda で環境変数を暗号化
Lambda > 関数 > 対象の関数 > 設定 > 環境変数 > 編集 に移動します。
この時点ではまだ平文です。
「転送時の暗号化に使用するヘルパーの有効化」にチェックを入れると、環境変数部分に「暗号化」ボタンが表示されるので、それを押します。
「転送時の暗号化を行うための AWS KMS キー」に作成した鍵が表示されるのでそちらを選択します。
なお、暗号化した場合は、「シークレットスニペットの復号」に沿ってソースコードを変更する必要があるのでご注意ください。
シークレットスニペットの復号
require 'aws-sdk-kms'
require 'base64'
ENCRYPTED = ENV['SLACK_WEBHOOK_URL']
# Decrypt code should run once and variables stored outside of the function
# handler so that these are decrypted once per container
DECRYPTED = Aws::KMS::Client.new
.decrypt({
ciphertext_blob: Base64.decode64(ENCRYPTED),
encryption_context: {'LambdaFunctionName' => ENV['AWS_LAMBDA_FUNCTION_NAME']},
})
.plaintext
def lambda_handler(event:, context:)
# TODO handle the event here
end
「暗号化」を押すと、下記画像の通り暗号化されます。
結果
ここまでできたら、再度 GitHub Actions で Re-run してみます。
レスポンスを見ると、環境変数が暗号化されていました!🎉
おわりに
無事に暗号化できてよかったです。
これからもこういった落とし穴に注意してインフラ構築していきたいです!
Appendix
1. 費用
AWS KMS の使用量がかかります。
おおむね 100 円ちょっとくらいです。
- 鍵作成
- $1 / month
- リクエスト
- 無料枠: 20,000 requests/month
- 課金: $0.03 per 10,000 requests
2. GitHub Actions から AWS への認証について
GitHub OIDC を用いて AWS に認証しています。
手順は下記を参照ください。
3. ソースコードの変更について
環境変数が暗号化されたため、ソースコード上ではデコードした上で値を参照する必要があります。
今回は以下のように実装しました。
[挙動]
任意の文字列を Slack 通知する
require 'slack-notifier'
require 'aws-sdk-kms'
require 'base64'
ENCRYPTED_SLACK_WEBHOOK_URL = ENV['SLACK_WEBHOOK_URL']
DECRYPTED_SLACK_WEBHOOK_URL = Aws::KMS::Client.new
.decrypt({
ciphertext_blob: Base64.decode64(ENCRYPTED_SLACK_WEBHOOK_URL),
encryption_context: {'LambdaFunctionName' => ENV['AWS_LAMBDA_FUNCTION_NAME']},
})
.plaintext
def lambda_handler(*)
message = 'Hi, Jun !! You are No.1 !!'
post_message(message)
end
def post_message(message)
notifier = Slack::Notifier.new DECRYPTED_SLACK_WEBHOOK_URL
notifier.ping message
end
[補足]
Lambda で実行する場合は、Aws::KMS::Client.new
に必要なクレデンシャルと、ENV['AWS_LAMBDA_FUNCTION_NAME']
の設定は不要です。
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