IVEC テスタークラス シラバス読解 Part3
はじめに
今回はIVEC テスタークラスのテスト環境準備に部分についてシラバス読解を進めていく。
テスト環境準備
テストに必要なリソースの準備
学習の目的
テスト実行計画に基づき作業用環境の準備をする
作業用環境として、作業用 PC や機材、メールやチャットなどの作業環境アカウント、作業用ストレ
ージ、およびテスト管理用のツール、機密情報を保存する場所など、プロジェクトに応じた作業用環
境を準備する。テスト実行計画に基づいて必要数および準備の方法を確認する。
テスト実行計画に使用する機材や検証対象のアカウント情報などを記載する。
必要に応じて貸与・作成依頼が必要なツールやデータがある場合、「どういうデータが」「いつまでに」「どれくらい欲しいのか」という情報を提供し、顧客に必要なテスト環境がないとテスト実行できませんよと認識してもらう。
テストチーム側でありがちなのは、データ作成に必要な期間の勝手な見積もりである。
テスト担当は2,3日で提供されるだろうと思っていたが、蓋を開けてみたらデータ作成に2週間かかるということにならないよう、データの作成が必要な場合はどのくらいで作成できるかを事前にヒアリングすること。
テスト実行計画に基づきテスト環境の準備をする
テスト実行に必要な機材や環境、テストツール、テストベンチ、テスト用のインフラ環境、テストの
ログ収集するツール、シミュレータ、およびそれらのマニュアルなど、テスト実行計画に基づいて、
必要数を準備する。またテスト対象に接続する機材の確保やそれらのマニュアルについても必要数を
準備する。
テストで必要な環境の調整は、テスト実行開始前から余裕を持って行うこと。
マニュアルも必要数揃っていないと、回覧確認で必要以上に時間を取ってしまう可能性がある為、必要数は確保する。
テスト実行計画に基づきテスト対象の準備をする
テスト対象となるシステムや機器、付随する機器やツール、テスト対象のアカウントなど、テスト実
行計画に基づいて準備する。テスト対象の不足はスケジュールに大きな影響を与えることが予想され
るので、テスト対象の不足がないようにする。
対象がテスト環境からテスト対象に変わっただけで、対応方針については1つ前と同様とみなしても良い。
テスト環境の設置や設定をする技術者のアサインを実施する
テスト環境のシステム、機器、機材について、設置や設定が必要な場合はテスト実行開始前に準備が
必要である。テストチーム内に設置や設定について熟知している担当者がいない場合には、他チーム
や他部署へ支援を仰ぐことがある。
テスト環境の準備や設定が必要な場合、テストチーム内に有識者がいれば、その人を中心に進める。
チーム内に有識者がいない場合、テストチーム外のチームや他部署から専門家の知見を借り、準備を進める。
後者の場合、支援が必要なタイミングでは手を借りるが、その間にチーム内で環境設定に関するナレッジをヒアリングし、ゆくゆくはチーム内で環境設定できるような立ち回りも必要である。
テスト対象を動作させることができる環境であることを確認する
テスト実行開始前にテスト対象を実行させることが可能な環境であることを確認する。テスト対象の
起動や接続エラー、組み込み機器などのハードウェア初期不良等がないかを確認し、直前になってテ
ストが開始できない状況になることを防ぐことが目的である。事前にテストチームで確認が困難な場
合には、開発チームへ確認が必要な場合がある。
テスト実行前にテスト対象の動作確認は必須で、その際に出た疑問点があれば早めに担当者へ共有し、解決を図ること。
テスト実行開始前に動作確認せず、テスト実行初日から遅延が発生しないよう、マニュアル確認や必要に応じて有識者へレクチャー会の設定を依頼するなどの対応も必要になる。
専門知識に関する用語集を準備する
テスト対象について使われる専門用語は、特定の業種、テスト対象のプロダクト内およびプロジェク
ト内でのみで利用される専門用語が多いため、それらの用語集を準備する。テスト実行時には正確な
情報を迅速に入手する必要があるため、テスト実行管理者は事前に準備する。不明な用語を速やかに
調べられるようにし、テスト実行時の調査時間などのロスを減らす。
業界や業種で用いられる専門用語について、用語の意味を把握し、それらをいつでも確認できるよう資料を整えておくこと。
また、専門用語以外でも一般的に認知されている用語でも似たようなことが言える。
一般的に認知されている意味と社内での意味に乖離があるケースもあるので、認識誤りがないよう確認を怠らないこと。
テスト実行管理に必要なリソースの準備
学習の目的
テスト実行計画に基づき、コミュニケーションツール(連絡表、仕様変更、質問表など)と運用ルー
ルを用意する
テストを行うにあたり、迅速かつ正確にステークホルダーとのコミュニケーションを図る手段とし
て、連絡表、仕様変更届け、質問表などが挙げられる。テスト実行管理者は、テスト実行計画に基づ
いてそれらを用意し、使用方法、保管場所などをテスト実行担当者に周知徹底させる必要がある。
テストチームと開発チームやステークホルダーとの間で、コミュニケーション方法や運用ルールを事前に確立すること。
業務中の連絡は勿論、仕様に関する質問や仕様変更に関する連絡、デプロイ通知等、業務で必要なコミュニケーションは漏れなく用意し、テスト実行を行う為のスムーズな体制を整えておくこと。
組織図を用意する
テスト実行計画に基づいて組織図を作成する。組織図は、ステークホルダー(テストチームの体制や
役割分担、開発担当者など)を明確にすることによってコミュニケーションのトラブルやロスを抑止
することができる。またステークホルダーの役割と責任の所在が明らかになる。
組織図の作成でテストチームの体制の共有を行い、役割分担や担当窓口の情報を提供する。
また、ステークホルダーに対しては、問い合わせ窓口が誰になるかは抑えておくこと。
窓口が1人に集約されることもあれば、テスト対象の各機能毎に窓口が別になることもある為、ステークホルダーの体制をキックオフの段階でヒアリングしておくこと。
テスト実行に必要な管理表を準備する
テスト実行に必要な管理表には、環境・機材管理、進捗管理、質問管理、仕様変更管理、不具合ステ
ータス管理などがある。テスト実行管理者はテスト実行計画に基づいて、テスト実行を始める前に必
要な管理表を用意する。
テスト実行中は様々な情報が立て続けに共有されるシーンがある。
どの情報が最新で、どんなステータスであるかを整理された状態にしておく為、必要な管理表は揃えた上でテスト実行に臨むこと。
その他
学習の目的
チェックリストを用意する
テスト実行で使われるものが全て揃ったかどうか、チェックリストを使用して確認する。作業用環境、
テスト環境、テスト対象、管理表などテスト実行に必要な環境に準備漏れがあると、スケジュールに影
響を及ぼす可能性があることに注意する。
テスト実行前に必要な機材やテスト環境が揃っているか等、テスト実行に向けたチェックリストを作成し、スムーズにテスト実行へ移れる仕組みを作っておくこと。
こうしたチェックリストを運用する際は一過性の運用とせず、定期的にメンテナンスし、テスト資産として活用するのを前提とした方が後になって役に立つこともある。
おわりに
テスト環境準備についてのシラバス読解を行ったが、どれも必要な要素をピックアップしており、欠かすことの出来ないものである。
ここで躓いてしまうと、テスト実行がスムーズに運べず、止むなくテスト計画の修正を余儀なくされる為、テストこそ事前準備を入念に抜かりなく行う必要があるなと感じております。
次回はテスト仕様書の準備についてのシラバス読解をします。
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