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IVEC テスタークラス シラバス読解 Part9

2024/05/12に公開

はじめに

今回はテスト実行報告のシラバス読解を進めていく。

テスト実行報告

テスト実行報告書の作成

学習の目的

テスト実行工程で実施した作業の記録を報告書にまとめる

テスト実行報告書はテスト実行終了時に作成する報告書である。日次や週次、またはフェーズごとに
報告してきた内容をまとめたテスト実行工程全体の報告書である。テスト実行件数の内訳、摘出不具
合内容などは概要レベルに留め、詳細は各報告書に紐付け出来るように作成する。
テスト実行報告書には、以下のような内容を記載する。なお、テスト対象の品質評価に使用される情
報であるため、正確な内容を記載する。
・テスト実行件数
テスト実行工程の全テスト結果について、テストエリア、テストタイプなどの分類ごとに OK/NG
などのテスト実績を記載します。
・不具合件数
テスト実行工程で報告した不具合件数について、不具合ステータスごとに記載する。
・テスト中に発生した問題点と解決策
テスト対象、テスト環境、テスト仕様書など、テスト実行に関する問題点と解決策を記載する。こ
れらは次回以降のプロジェクトにおけるリスク対策として使用する。
・今後に向けた要望、改善点
次回以降のプロジェクトをより円滑に遂行するためのポジティブな内容を記載する。

テスト実行が全て完了した後(正確に言えば、テスト終盤から)、テスト実行報告書をまとめていく。
報告書形式ということもあり、テスト結果や不具合をはじめとした情報に加え、ステークホルダーへテストを通じて発生した課題を取り上げ、今後の改善点や要望を盛り込むこと。
ただテストを行ったという記録の羅列ではなく、今後の展望を示すことこそテスト活動の付加価値が付いてくるのではないかと考える。

テスト実行報告書には、原則的に未報告の項目があってはならないことを理解する

テスト実行報告書はこれまでの報告内容をまとめた報告書であるため、これまでに未報告であった新
たな報告が記載されることはない。報告書を作成する段階で新たな報告事項が発生した場合は、プロ
ジェクト全体に影響を及ぼす内容と考えられるため、当報告書で報告するのではなく、報告事項が判
明した時点で速やかにステークホルダーへ報告する。

テスト報告書内には、例えネガティブな内容であっても報告しなければならない。
仮に、ステークホルダーが未報告内容を放置したまま市場にリリースした場合、エンドユーザーからのクレーム対応・市場不具合への修正対応等の追加コストの発生、更に顧客離れといった将来的な機会損失を被るリスクを抱えることになる。
そうならないよう、テストチームは報告内容の抜け漏れは当然のこと、ネガティブな内容も誠実に向き合わなければならない。

テスト実行時に発生した問題と対処結果を報告する

報告書へ記載したテスト実行中に発生した問題点と解決策は、次回以降のプロジェクトで活用する。
開発者との情報伝達手段の不備、テスト環境の不備などの問題について発生から対応までの状況を時
系列で記載し、同様の問題が発生した場合の解決策として活用することができる。またテストチーム
だけではなく、ステークホルダーにとっても重要な情報になる可能性があるため、テストチーム以外
の第三者にも理解できるように記載する。

報告書内には、テストに関する情報だけでなく、テスト期間で発生した問題についても触れておく必要がある。
コミュニケーショントラブルやテスト環境不備の問題等、テスト実行に影響が発生した要素を共有しておくことで、次回以降のテストでそうしたトラブルを未然に避けるような対策を先回りして取れるようになる。
テスト報告書はテスト対象の品質を評価するだけの役割に留まらず、ソフトウェア開発全般における各種課題を顕在化させ、次へ向けた改善の貴重な情報源になる。

おわりに

次回はプロジェクト管理について、2回に分けてシラバス読解を進めていく。

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