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Intel NIC X710-TL/T2L の高速化/パフォーマンス調整のプロパティー詳細設定

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以下に、Intel Ethernet Network Adapter X710-TL/T2L の詳細設定について、環境詳細と性能優先の要件に基づいた推薦値をまとめました。

設定に対する条件

  • OS:Windows 11
  • ネットワーク構成:v6プラス 10Gbps、YAMAHA RTX1300、NETGEAR XS508M
  • 用途:オンラインゲーム、動画鑑賞、配信、大容量ファイル転送
  • プライバシーポリシーなし(ただしセキュリティリスクは最小限に)
  • パフォーマンス優先

Intel Ethernet Network Adapter X710-TL/T2L 推奨設定

項目 推薦値 説明 備考
IPv4 サムチェックのオフロード 受信/送信有効 CPUの使用率を低減し、ネットワークアダプターにチェックサム計算をオフロードすることで全体的なシステムパフォーマンスを向上させます。
RSS キューの最大値 16 キュー マルチコアCPUでのネットワーク負荷分散を最適化し、高性能環境でのスループットを最大化します。 安定性を考慮し8キューが推奨される場合もありますが、パフォーマンス優先のため最大に近い値を推奨。
TCP サムチェックのオフロード (IPv4) 受信/送信有効 CPUの使用率を低減し、TCPチェックサム計算をネットワークアダプターにオフロードします。
TCP サムチェックのオフロード (IPv6) 受信/送信有効 CPUの使用率を低減し、TCPチェックサム計算をネットワークアダプターにオフロードします。v6プラス環境でIPv6通信に寄与します。
UDP サムチェックのオフロード (IPv4) 受信/送信有効 CPUの使用率を低減し、UDPチェックサム計算をネットワークアダプターにオフロードします。
UDP サムチェックのオフロード (IPv6) 受信/送信有効 CPUの使用率を低減し、UDPチェックサム計算をネットワークアダプターにオフロードします。v6プラス環境でIPv6通信に寄与します。
インターフェース・ダウンのリンク状態 無効 ネットワークインターフェースがダウンした際のリンク状態レポートを無効にすることで、わずかなオーバーヘッドを削減します。
ジャンボパケット 9016 大容量ファイル転送の効率を向上させます。ネットワーク内のすべてのデバイス(ルーター、スイッチ、他のPCなど)で同じ値に設定されている必要があります。 YAMAHA RTX1300、NETGEAR XS508Mがジャンボフレームに対応していることを前提とします。
パケット優先度と VLAN パケット優先度と VLAN 無効 一般的な家庭環境ではVLANを使用しないため、この機能を無効にすることでオーバーヘッドを削減し、パフォーマンスを向上させます。
フロー制御 無効 オンラインゲームなど低遅延が求められる用途で、入力遅延を低減するためにフロー制御を無効にします。 パケットロスが増加する可能性もありますが、10Gbps環境では影響が少ないと想定されます。
リンク・ステート・イベントのログ 無効 リンク状態イベントのログ記録を無効にすることで、わずかなオーバーヘッドを削減します。
ローカル管理されるアドレス 保存しない 通常の使用ではカスタムMACアドレスは不要なため、デフォルト設定のままにします。
割り込み加減 無効 割り込み処理を無効にすることで、ネットワークイベントの遅延を最小限に抑え、特にゲームにおける反応速度を向上させます。CPU使用率がわずかに増加する可能性があります。
割り込み加減率 オフ 割り込み加減が無効であるため、その設定率もオフにします。
受信バッファー 4096 受信バッファーを最大値に設定することで、大量のデータ受信時や一時的なネットワークスパイク時に安定性とパケットロス防止に寄与します。
受信側スケーリング 有効 受信データの処理を複数のCPUコアに分散させ、マルチコアCPU環境でのネットワークパフォーマンスを向上させます。
省電力イーサネット 無効 常に最大パフォーマンスを発揮するために、省電力機能を無効にします。これにより、データの破損や一時的な切断のリスクを低減できます。
送信バッファー 4096 送信バッファーを最大値に設定することで、大量のデータ送信時や一時的なネットワークスパイク時に安定性とパケットロス防止に寄与します。
速度とデュプレックス 10 Gbps 全二重通信 ネットワーク構成が10Gbpsであるため、最高の速度と安定性を提供します。 ネットワーク機器が10Gbps全二重通信に対応していることを前提とします。
大量送信オフロード V2 (IPv4) 有効 大容量データの送信処理をネットワークアダプターにオフロードし、CPUの負担を軽減し、全体的なスループットを向上させます。
大量送信オフロード V2 (IPv6) 有効 大容量データの送信処理をネットワークアダプターにオフロードし、CPUの負担を軽減し、全体的なスループットを向上させます。v6プラス環境でIPv6通信に寄与します。

サムチェックなどオフロード関連はオフにした方がいいのではないか

「IPv4 サムチェックのオフロード」などのオフロード機能について、PC (CPU) 側で処理した方が速いのではないかという疑問は、インフラエンジニアの間でも議論されるポイントです。

結論から言うと、現代の高性能なネットワークアダプター(Intel X710 シリーズなど)と CPU の組み合わせでは、オフロード機能を有効にする方が、多くの場合で全体的なパフォーマンスが向上します。


オフロード機能の役割とメリット

オフロード機能は、ネットワークアダプターが特定の処理(例:IP、TCP、UDP のチェックサム計算、大規模な送信データの分割など)を CPU の代わりに実行する機能です。

  • CPU 負荷の軽減: オフロードを有効にすることで、CPU はこれらの処理にリソースを割く必要がなくなり、その分、アプリケーション(ゲーム、配信ソフトウェアなど)や OS の他のタスクにCPUリソースを集中できます。これが、特に高負荷な用途(オンラインゲーム、動画配信、大容量ファイル転送)で重要になります。
  • ネットワークアダプターの特化: ネットワークアダプターは、これらの特定の処理を高速かつ効率的に実行するために設計された専用ハードウェアを持っています。一般的に、汎用的な CPU がソフトウェアで処理するよりも、特化したハードウェアで処理する方が効率的です。
  • スループットの向上: CPU の負荷が軽減されることで、より多くのデータを処理できるようになり、結果的にネットワークのスループットが向上する傾向があります。

昔と今での違い

昔の低速なネットワークアダプターや CPU の時代には、オフロード機能が未発達であったり、CPU の処理能力が低かったため、オフロードによるオーバーヘッドがボトルネックになるケースもありました。そのため、「オフロードは無効にした方が速い」という経験則が一部にありました。

しかし、Intel X710 シリーズのような 10GbE 対応の高性能ネットワークアダプターは、強力なオフロードエンジンを内蔵しており、現代のマルチコア CPU と組み合わせることでその真価を発揮します。


なぜ一部で「無効」が推奨されるのか?

非常に特殊な環境や、極限までレイテンシを追求するプロのeスポーツ選手などの間では、わずかな CPU の割り込みや、オフロード処理が完了するまでの僅かな遅延を避けるために、あえてオフロードを無効にするケースも稀に存在します。これは、CPU の処理能力が非常に高く、ネットワークトラフィックが予測可能で安定している場合に限られます。

一般的なゲーマーや配信者、大容量ファイル転送を行うユーザーであれば、CPU リソースを確保し、全体のシステムパフォーマンスを安定させるために、オフロード機能を有効にすることをおすすめします。


今回の環境(Windows 11、高性能な CPU、v6 プラス 10Gbps 環境)と用途(オンラインゲーム、動画鑑賞、配信、大容量ファイル転送)を考慮すると、オフロード機能は「有効(受信/送信有効)」に設定しておくのが、パフォーマンスと安定性の両面で最適な選択だと考えられます。


参考資料


これらの設定は、パフォーマンスを最大化し、オンラインゲーム、動画鑑賞、配信、大容量ファイル転送といった用途に最適化されています。ただし、設定変更はシステムに影響を与える可能性があるため、慎重に行ってください。

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