ソフトウェアTNC を Windows 11 に導入する
はじめに
アマチュア無線帯で通信する多くの人工衛星はAX.25(アマチュア無線に特化した通信プロトコル)を使用します。そこではアマチュア無線で送受信するFM電波の音声データとデジタルデータの変換をTNC(terminal node controller)で行います。そして、最近ではPCのソフトウェア上で機能するソフトウェアTNCがよく使用されています。また、完全に筆者調べにはなりますが、日本の大学衛星の地上局ではよく SoundModem と AGW OnlineKISS を組み合わせて使用するケースが多いように感じます。
私も例に漏れず、その二つを併せて使おうと思ったのですが、使うことができるようになるまでに若干のトラブルが存在したので、備忘録がてらの記事を執筆しておきます。
SoundModem のダウンロード
以下のリンクの公式ホームページから直接ダウンロードすることができます。
soundmodem114.zip
というリンクを踏むことでダウンロードできます。ダウンロード後は解凍し、ドキュメントなどの分かりやすい位置に配置してあげてください。
筆者が試したところ、Google Chrome ではリンクを踏んでも一向にダウンロードできなかったため、同様の症状に遭遇した場合は Microsoft Edge などの別のブラウザを使用してみてください。
AGW OnlineKISS のダウンロード
必要なランタイムのダウンロード
AGW OnlineKISS を使用する上で、Visual Basic 6.0 のランタイムが必要となる。Microsoft 公式からの配布は確認できなかったため、筆者は Vector よりインストーラを入手した。
インストーラを使用して、ダウンロードすることで環境がぐちゃぐちゃになることが怖かったので、インストーラを解凍して手動でインストールすることとした。以下の手順を踏むことでインストールが可能である。
-
VB6RTSP6Maximum.exe
を 7-Zip などで解凍する -
Setup.exe
を同様に解凍する - 内部に存在する以下のファイルを、
C:\Windows\SysWOW64
へコピーする・ MSCOMM32.OCX ・ COMDLG32.OCX ・ RICHTX32.OCX ・ MSWINSCK.OCX
- コマンドプロンプトを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行する
cd C:\Windows\SysWOW64 regsvr32 MSCOMM32.OCX regsvr32 COMDLG32.OCX regsvr32 RICHTX32.OCX regsvr32 MSWINSCK.OCX
AGW OnlineKISS のインストール
以下のリンクの公式ホームページから直接ダウンロードすることができます。
AGW OnlineKISS plus
というリンクを踏むことでダウンロードできます。(AGW
とかで検索すると簡単に見つけることが出来ます。)ダウンロード後は解凍し、ドキュメントなどの分かりやすい位置に配置してあげてください。
ini ファイルの設定
agw_online_kiss
フォルダの中に、agw_onlinekiss.ini
というファイルが存在します。これを適切に書き換えてあげる必要があります。また、同時にagw_online_kiss_plus.exe
と同じ階層に logfiles
というフォルダを作成してください。
- FILE_PATH = D:\Amateurfunk
+ FILE_PATH = ./logfiles
- CALLSIGN = DK3WN
+ CALLSIGN = <自身のコールサイン>
- QTH_LAT = 49.73145
- QTH_LONG = 8.95564
- QTH_HEIGHT = 0.28
+ QTH_LAT = <自身の地上局の緯度>
+ QTH_LONG = <自身の地上局の経度>
+ QTH_HEIGHT = <自身の地上局の高さ(km)>
- TLEFILE = D:\Amateurfunk\Orbitron\TLE\amateur.txt
+ TLEFILE = ./TLE.txt
緯度・経度は Google Maps 上で右クリックすることで調べることができます。
TLE ファイルの設定
AGW OnlineKiss において、TLEが必要になる場面がいまいちわからなかったのでひとまず筆者はISSのTLEを追加しました。
まず、agw_online_kiss_plus.exe
と同じ階層に、TLE.txt
を作成し、以下の内容をコピーしてください。もし、AGW OnlineKiss の機能をフルに活かしたい場合は自身で対象の衛星の最新のTLEを調べて、コピペしてください。この際、(
などの記号が TLE.txt
に含まれているとエラーが発生してしまうため、含めないようにしましょう。
ISS
1 25544U 98067A 25268.88924235 .00024001 00000-0 42185-3 0 9994
2 25544 51.6319 167.9312 0003311 8.6325 351.4720 15.50358116530788
おそらく、対象となる衛星のTLEを複数登録することで衛星ごとにログファイルを分類することができるので、AGW OnlineKISS で衛星追跡を行わない人でもインデックスの登録は済ませておくと良いでしょう。
さいごに
以上の手順を進めると、無事に AGW OnlineKISS を開くことができるようになったかと思います。肝心のソフトウェアTNCの使い方に関しては筆者も今から学ぶところですので、後々記事にしたいなあと考えております...。
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