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Claude Code Meetup Japan #2の概要と個人的注目セッションまとめ

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はじめに

こんにちは!都内勤務で、WEBエンジニアをしているJumboと申します。

2025/8/8に開催された 「AI駆動開発勉強会 Claude Code Meetup Japan #2」 をオンライン視聴しました。
本記事では、このイベントの各セッションの概要をまとめた後に、個人的に気になったセッションについて、より詳しく解説していきます。

イベントの説明

現在、生成AIやLLMの登場により、コード生成・設計・テスト作成・ドキュメント作成など、開発プロセス全体に大きな変化が起きています。
今回のAI駆動開発勉強会では、GitHub CopilotやCursor、Claude CodeなどのAIツールを活用した開発ノウハウや、新しい開発スタイル・パラダイムについて共有・議論しています。
AIを駆使した生産性向上に興味のある方全般にとって非常に有意義な会だと思います!

各セッションの概要

発表者 タイトル 概要
Gota氏 Claude Codeは、仕様駆動の夢を見ない Claude Code導入の課題を整理し、AIDLCやAWS「Kilo」を紹介。カスタムコマンドやEARS記法を用いて要求定義から設計・分解まで仕様駆動で進める手法を提示。複雑タスクはGPT-5の活用が有効と提言した。
こたにゆうく氏 Scale out your Claude Code 自社専用Agentで変わる開発プロセス 実装高速化だけでは限界があるとし、開発全体をエージェントで再設計する必要を主張。PBI作成と同時に社内エージェントが自動実装を進める仕組みを紹介し、GitHub Actionsを基盤にした新しい開発像を示した。
為藤アキラ氏 Claude Code サブエージェント機能 プロンプトの不具合やトークン制限の課題に対し、サブエージェント機能を紹介。専門役割ごとにコンテキストを持てるため効率的で、特にテストやレビューに有効。Hooksとの併用も推奨された。
前島氏 リモート環境(VPS)を活用したClaude Codeの導入と運用 Claude Code導入時のセキュリティや権限の課題に対し、VPSやサブエージェントを使ったテストサイクルの組み込みが重要と説明した。
t_fujita24氏 hooksのstopを使って永遠にPBI定義&開発を繰り返させ続けて、自律的にプロダクトに新機能を追加させるシンギュラリティ的方法 Hooksのstopイベントを利用し、PBI定義と開発を無限ループさせる試みを紹介。ただしゲーム開発ではフィードバック不全で失敗し、適切なフィードバックの重要性を強調した。
Masaru Furuya氏 スクラムイベントの議事録をAIが書く時代 Claude Code活用事例 スクラム知識の散逸対策として、サブエージェントで議事録を自動作成。人間は対話に集中でき、経験の浅いスクラムマスターでも運営しやすくなる効果を示した。
Otonowa Naka氏 Claude Codeと一緒に仕様書から実装してみた クリーンアーキテクチャーをClaude Codeで実現する試み。自然言語での対話を通じてモデルやルールを追加し、安定的な開発が可能になると結論づけた。
さかす氏 俺的instructioinの作り方 雑な指示や修正の履歴欠如の課題に対し、丁寧なインストラクションとGit差分を反映させる仕組みを提案。これにより永続的なコンテキスト管理が可能になった。
shuntaka氏 Claude Codeを Dotfiles管理しよう(おすすめの設定を添えて) エージェント設定の秘伝化防止にDotfiles文化を導入。jsonnetで秘密情報を分離し、静的解析ツールでのエラーをAIにフィードバックして自動リファクタリングさせる方法を紹介。
wmorioka氏 Claude Codeで macOS のアプリを作ってみた Claude Codeでmacアプリ「Hybress」を開発し、App Storeに合格した事例。企画や申請はClaude、実装はClaude Codeに任せ、UIは小分けに実装する戦略を推奨した。

気になったセッション

「Claude Code Meetup Japan #2」は、AI駆動開発の概念が次々と飛び交う、非常に面白いイベントでした。個人の開発体験を加速させるTIPSから、組織全体のプロセスを根底から変革するビジョンまで、Claude Codeの持つ大きな可能性が示されました。
その中でも、特にこれからのAIの使い方として、私たちの生産性を「桁違いに」向上させ、開発プロセスのあり方自体を塗り替えるであろうと個人的に感じたセッションを2つピックアップしてご紹介します。


1. 曖昧さを徹底排除!「仕様駆動」でAIと人間が協調する開発ライフサイクル

👨‍💻 Gota氏:「Claude Codeは、仕様駆動の夢を見ない」

Gotaさんのセッションは、単にAIにコードを書かせるレベルを超え、AIを中心とした開発ライフサイクル(AIDLC: AI Driven Development Life Cycle) をどう構築するか、という本質的なテーマでした。

背景と課題

  • チーム開発では「存在忘却(プロダクトの意義の共有不足)」や「タイムループ(曖昧な要件による手戻り)」が発生しやすい
  • これを解決するために、AWSの「Kilo」の考え方を応用し、Claude Codeにカスタムコマンド 「Claude Codeスペック」 を導入

3層構造のプロセス

  1. 要求定義 (Requirements)
    • EARS記法などを使い、曖昧さを排除して明確に要件を記述
  2. 詳細設計 (Detailed Design)
    • コードベースや依存関係を調査した上で設計
  3. タスク分解 (Task Breakdown)
    • 受け入れ基準番号と紐づけながら、タスクを細分化

この3層の間に必ず「人間の承認」を挟むことで、コンテキスト管理と高品質なアウトプットを保証しています。

さらに、要求定義や計画フェーズでは、Claude CodeのOPUSモデルだけでなくGPT-5のような強力な推論モデルの活用を推奨していました。

💡 感想
AI開発の最大のボトルネックだった「曖昧な指示による手戻り」を、プロセス設計で解決する道筋が見えてきたのが興味深いですね。特にタスク分解を受け入れ基準に直結させる発想は秀逸で、レビュー負担を大幅に軽減できそうです。
「計画の質がAI実装速度を決める」――まさに本質だと感じました。


2. 実装は自動でプロトタイピング!「SPゼロ」タスクを生み出すエージェントベースのプロセス再設計

🤖 こたにゆうく氏:「Scale out your Claude Code 自社専用Agentで変わる開発プロセス」

こたにさんは「実装フェーズだけを高速化しても生産性には限界がある」と指摘し、開発プロセス全体をエージェントベースで再設計する重要性を強調しました。

Ubie社の取り組み

自社専用エージェント 「Uvin」 を開発し、GitHub Actions上で自動的にプロトタイピングを実行する仕組みを構築。

  1. PBI作成と同時に実装開始(投機的実行)
    • PBIが作成された瞬間、ユビンが自動でプロトタイプを実装
  2. AI成果物を前提にプランニング
    • プランニング時点で、すでにAIが生成したプルリクが存在
  3. SPゼロタスクの誕生
    • 手直しなしでリリースできる成果物は「ストーリーポイント0」として扱う

メリット

  • 個人ではなく組織レベルでAIを活用できる
  • 認知負荷を外部化し、人間は議論・意思決定に集中
  • プロトタイプを前提に議論するため、プランニングの効率が大幅向上

💡 感想
Ubie社の「投機的実行」は、まさにAIをツールからインフラへ進化させる取り組みだと感じました。Claude Codeのようなコーディングエージェントの利用が、個々の開発者の作業を助ける「単なるツール」の段階から、組織全体の開発プロセスやプラットフォームに組み込まれた「基盤(インフラ)」の段階へと移行してきたのではないでしょうか。
PBI作成だけで裏でAIが実装を走らせる仕組みは革新的で、「SPゼロ」の発想は究極の生産性向上に直結します。これは組織全体のパフォーマンスを桁違いに変える可能性があると感じました。


まとめ

今回の「Claude Code Meetup #2」のセッション全体を振り返ると、テーマは明らかにAIを単なるツールから 「組織のインフラ」 へと昇華させることでした。生産性を桁違いに上げるヒントが満載でした。
特に衝撃的だったのは、Gotaさんの提唱する 「仕様駆動開発」。曖昧な指示を徹底的に排除する厳格なプロセスをAI中心に設計し、人間は作成された計画の最終承認役に回るという、AI時代の新しい開発ライフサイクル(AIDLC)のビジョンでした。
そして、こたにさんが紹介した 「SPゼロ」タスクを創出するシステムも衝撃でした。PBIが作られると、AIがGitHub Actionsなどのインフラ上で自動的にプロトタイプ実装を走らせ(投機的実行)、人間はAIの成果物を前提にプランニングし、手直しが少なければストーリーポイントゼロでリリース可能になるという仕組みには大きな可能性を感じました。
また、他にも新機能のサブエージェントを使ってスクラムの議事録作成を自動化したり、VPSなどのリモート環境で安全かつ安定的にAIを動かすなど、AIをチーム開発の「基盤」として活用する具体的な知見が多く発表されていました。AIが面倒なルーティンを肩代わりし、人間が意思決定と創造性に集中できる未来がますます加速しているなと思わさせられました。

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