Gemini の Google Workspace 拡張機能を試す - Gmail 編
前回の記事では、Gemini の Google Workspace 拡張機能を使用して、Google Drive 内にあるファイル検索や要約を試しました。今回は同じ拡張機能を使って、Gmail をソースとした Gemini とのやり取りを検証します。
今回も Google の個人アカウントを使います。私の場合、家族や友人とのやり取りにはメッセージングアプリを使うようになって久しく、メールボックスの中は普段読まない広告やメルマガ、各種サービスからのお知らせメールがほとんどです。それで、役立ちそうな使い方がすぐには思いつかなかったのですが、2つほどのユースケースを試してみました。
なお前回同様、Gemini は無料版です。
Gmail を検索する
アクションを促すメールを探す
まずは、何かのアクションを促すメールを探してみます。しなければいけないことが書かれているメールが他のメールに埋もれていたり、あるいは読んだけど忘れたりしている、というのはよくあることです。やり忘れがないかどうかの確認をAIに助けてもらえると助かりますね。では試してみます。
以下のようにプロンプトを入力します。Google Drive の時と同じく、Google Workspace 拡張機能が動くときにはアイコンとラベルでそれが分かるようになっています。
結果が出ました。個人のメールボックスで試していますので、情報を隠すために一部塗りつぶしています。
期限が今月末でないものも含まれてしまいましたが、なかなか良い感じです。画像では切れてしまいましたが、回答の下部には考慮されたアイテム、つまりメールのリストがあり、クリックすればそのメールに跳べるようになっています。いつもこんな感じでリストを作ってくれると頼もしいですね。でも、いつも同じなんでしょうか。このチャットを消して、新たなチャットで同じようなプロンプトを投げてみます。
今回の結果も悪くはありません。ただ最初のものと比較すると、毎回同じ情報を確実に拾うわけではないことが分かります。もちろん、プロンプトの方にもっと改善の余地がある可能性もあります。
お得な情報を抽出する
私個人はメルマガの類はほぼ読みません。要らないものはできるだけ配信停止にするのですが、メルマガ購読が必須なサービスもそれなりにあり、毎日かなりの数のメールが届きます。一つ一つ内容を確認する暇がないので、Subject からして本当に重要そうなもの以外は読まずに定期的にまとめて削除しています。しかし中にはお得なセール情報などもあるはずです。役立つ情報だけ Gemini に抽出してもらえるのか、やってみました。
これはうまくいきました。前項の場合と同様、関連しそうなメール全てを探して列挙してくれるわけではないようですが、もともとは読まずに捨てている情報なので、問題ありません。このパターンのプロンプトは、他にもいろいろ応用が利きそうです。
感想
生成AIの得意・不得意
前回の Google Drive、今回の Gmail と、Gemini の Google Workspace 拡張機能を使うと、改めて生成AIの得意・不得意が見えてきます。生成AIが得意なのは、すでにある情報をベースに新たなコンテンツの生成をすることです(文章の要約や翻訳も一種のコンテンツ生成と見なせます)。それで検索ということに関して言えば、検索自体は不得意ですが、検索結果の分析や活用は得意、ということになります。
生成AIからサービスを使うのか、それともサービスで生成AIを使うのか
Gemini から Google Workspace の拡張機能を使ってその中の情報を探したり要約したりすることもできますが、生成AIの強みを考えると、どちらかといえば Google Workspace で Gemini を使える方がより便利なのではないか、という気がします。一例としては、Gmail や Google ドキュメントで、Gemini にメールや文書を下書きさせる、といった使い方です。これはまさに Microsoft が Copilot for Microsoft 365 でやっていることです。Google も Duet AI for Google Workspace で同じようなサービスを展開していましたが、先日 Gemini for Google Workspace としてリブランディングされました。
とはいえ Gemini の Google Workspace 拡張機能には、別の拡張機能と組み合わせて使う、という使い方もあります。拡張機能に関する Google の記事でも、Gmail から取り出した日程を基に Google フライトとホテルを使って旅行の計画を立てる、というユースケースが紹介されていました。生成AIに関わるサービスの上手な使い方を研究することは、ソフトウェアエンジニアとして自分たちが開発するプロダクトに生成AIを取り入れていく際のヒントを得るうえで重要と考えます。こうしたサービス横断的な使い方ももっと調べていきたいと思います。
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