【書評】『世界一流エンジニアの思考法』に学ぶ──一流と凡人を分ける思考パターンとは?
あなたの“当たり前”を揺さぶる一冊
「今日もまた、山積みのToDoに追われるだけか……」
そんな閉塞感を抱えたまま、僕はふと1冊の本を手に取りました。
それが『世界一流エンジニアの思考法』です。
この本は、ただの技術書やノウハウ集ではありません。
Microsoft Azure Functions の最前線で活躍するシニアエンジニア・牛尾剛氏が、
“何気なくやっている仕事”を根本から見直し、劇的に生産性を上げるメンタリティを紐解く指南書。
読むたびに「え、そんな考え方があったの?」と驚き、読み終わった瞬間から今日の自分が変わり始める──そんな魔法のような体験を約束してくれます。
第1章:一流は“手を動かす前”に差がつく
ただ作るだけじゃなく、「何のために作るか」を俯瞰する
多くのエンジニアは、「バグを直す」「機能を実装する」といった“小さなゴール”に追われがちです。しかし牛尾氏は、
「ゴールを定義せずに手だけを動かすのは、地図なしで旅をするようなもの」
と言います。目の前のタスクを漠然とこなすのではなく、チームやプロダクト全体の“目的”をあらためて言語化し、
要件設計の段階から自分の立ち位置をクリアにする。
これだけで、次のようなメリットが得られます。
- 無駄な手戻りが激減:何が最優先かが明確になる
- 短時間で合意形成:ステークホルダーへの説明がスムーズ
- 自信と責任感が醸成:自分が“何を変えようとしているか”を肌で感じられる
この考え方を取り入れた最初のプロジェクトで、僕は要件定義フェーズを半分の時間で終え、
その後の実装・レビュープロセスも驚くほど軽やかに進みました。
第2章:“深い理解”こそ最強の武器
試行錯誤を減らし、本質を押さえる
「今日学んだフレームワークやライブラリを、明日には忘れてしまう」
そんな経験、ありませんか?牛尾氏が強調するのは、
「1行のコードを書く前に、その背景にある“ドメイン知識”を掘り下げる」
ということ。単なるAPIリファレンスの読み込みではなく、なぜその設計が生まれ、どういう制約を解決しているのか、
抽象レイヤーを行き来しながら“理解の地層”を厚く積み上げるのです。
- 再利用性が劇的に向上:似た課題への応用がスムーズに
- バグが減る:根底の意図を外さずに設計できる
- 学習速度が加速:新技術をキャッチアップする力が底上げされる
僕自身、この思考法を取り入れてからは、複数のライブラリを横断する大型改修でも「どこをいじればOKか」が瞬時にピンと来るようになりました。
第3章:やることを減らす、だから集中できる
マルチタスクではなく“一点集中”のすすめ
牛尾氏は、「“できる人”ほど何でもかんでも手を出さない」と断言します。
- 優先度の低いタスクは潔く断る
- 定例業務はスクリプトや自動化に任せる
- リフレッシュも仕事の一部と捉え、心身のリソースを整える
これらを実践すると、
「いつの間にか進捗が止まっていた」「終わりが見えないまま疲弊した」
といったストレスから解放され、目の前の“本当に価値ある仕事”へフルパワーを注げるようになります。
第4章:コミュニケーションも“設計”する
ドキュメントは“後で読む”ものではなく“その場で解決”するためのツール
多くのチームでは、会議を開いて議事録を残し、
「あとで読み返して対応しましょう」となることが常。でも牛尾氏は言います。
「その場で解決できるなら、持ち帰りは無駄。議事録は“備忘”ではなく、“即アクション”のためにある」
- 会話の論点はリアルタイムに可視化
- わからないことは遠慮せず“その場で質問”
- 合意した決定は即ドキュメント化し、誰でも参照できる状態に
こうした習慣が根付くと、チーム全員の意思決定速度が飛躍的に上がり、
「連絡待ち」の時間がほぼゼロになります。
こんなあなたにおすすめ
- 〝コードを書く“だけでなく、仕事の結果をもっと大きくしたい
- プロジェクトの泥沼化に疲れ、「何から手を付ければいいかわからない」
- チームリーダーとして、メンバーの生産性を引き上げたい
- 自己流の学習に限界を感じ、新しい視点を取り入れたい
本書は、テクニックの寄せ集めではなく、思考の“根本”を書き換える一冊。
一度身につければ、あなたのキャリアも、チームも、組織も、確実に次のステージへ進むでしょう。
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