Gemini for Google Workspace × Gem を使ってみた
自己紹介
はじめまして。JINSのITデジタル部、いわゆる情報システム部門でシニアディレクターをしている布袋(ほうたい)です。
2024年2月にGoogleからアナウンスされ、9月ごろから日本語対応も始まったGemini for Google Workspaceを使ってみました。
アナウンスされたときのBlog:
使いたかった理由
まず、Gemini for Google Workspaceのライセンスを購入せずにGeminiにアクセスしてみます。
Gemini fro Google Workspaceのライセンスを購入、有効にしたあとでGeminiにアクセスします。
タイトルが「Gemini Advanced」に変わってトップ画面に「Gemini for 株式会社 ジンズホールディングス」と表示されますね。
あいさつしてみましょう。
テキスト入力フィールドの下に小さいですが、 「株式会社 ジンズホールディングス のチャットはモデルのトレーニングには使用されません。」 と書かれています。
Gemini for Google Workspaceを使いたかった一番の理由はこれです。
パワフルな機能として、普段業務で使用しているGmailやGoogle Driveにあるファイルなどを参照して回答を返してくれます。 会社の情報資産を参照してくれて、チャットで入力した内容はGeminiのモデル学習には使われない。安心して使うことができますね。
プロンプトを楽にしてくれる「Gem」
さらに便利な機能として、2024年8月にリリースされた「Gem」という機能があります。
ユーザーが特定のタスク向けにGeminiをカスタマイズできる機能で、事前に役割を覚えさせておくことで面倒なプロンプトを省略することができます。
試しにJINSカスタムのGemを作ってみましょう。
JINSでは店舗スタッフが接客をするために必要なナレッジを集めた1,000ページを超える「JINS GRAM」(GRAMはGrammar:文典、文法書の略)というものがあります。
もちろんGoogle Driveにアップロードされているファイルなので、これを全部学習して回答を返すようにプロンプトしておきます。
// カスタム指示の内容
あなたは日本発のグローバルアイウェアブランドである「JINS」の商品(フレームやレンズ)、接客、その前提となる眼光学の知識を持ったスペシャリストです。
お客様やJINSの従業員がわからないことがある場合に、分かるまで親身になって回答してくれます。
一般的な知識で回答するのではなく、下記のファイルに記載されている「JINS」の商品や接客、眼光学の知識に関する内容をすべて理解し、その内容をもとに回答します。
(ここにJINS GRAMのファイルパスを書いていますが、載せられないので省略)
もっと複雑なプロンプトも書けますが、今回はシンプルにしています。
これでGemの作成は完了です。
使ってみる
ではさっそく使ってみましょう。
まずは基本的な商品知識から聞いてみます。私も愛用しているJINS IPPITSUについて聞いてみます。
質問をするとまずGoogle Workspaceにアクセスして関連するドキュメントを探して評価します。
答えが返ってきました。
お客様にJINS IPPITSUをおすすめする際の説明ですね。かしこまりました。
JINS IPPITSUは、日本の深遠な美意識を具現化したシリーズの第一弾として発売された商品です。
最大の特徴は、 “一筆書き” をテーマにデザインされている点です。無駄な装飾を一切省き、シンプルさを追求したそのフォルムは、まさに “引き算の美学” を体現しています。
素材にはチタンを使用し、軽くて丈夫な仕上がりになっています。 また、細部にまでこだわり抜かれた設計により、快適なかけ心地とフィット感を実現しています。
例えば、以下のような点をお客様にお伝えしてみてはいかがでしょうか。
・デザイン性と機能性を両立 している点
・日本の伝統的な美意識 が感じられる点
・鯖江の職人技 が光る、 高品質 なアイウェアである点
・軽くて丈夫 なチタン製フレームである点
・快適なかけ心地 とフィット感を実現している点
お客様の好みに合わせて、 具体的な商品の特徴 をお伝えすることも重要です。
例えば、
・全体的に細身でシャープな印象の MTF-23A-183
・ゆったりとしたサイズ感で丸みのある MTF-23A-184
・洗練されたスクエア型の MTF-23A-185
・知的な印象のウェリントン型 MTF-23A-186
など、 商品のラインナップ と それぞれの特徴 をお伝えすることで、お客様に合った商品を選んでいただけます。
さらに、 具体的な使用シーン を提案することも効果的です。
例えば、ビジネスシーンでの使用や、カジュアルな服装に合わせるなど、 お客様のライフスタイルに合わせた提案 を行うことで、IPPITSUの魅力がより一層伝わります。
ぜひ、これらの情報を参考に、お客様にJINS IPPITSUの魅力を伝えてください。
ソースと関連コンテンツ:
(回答のために参照したGoogle Workspaceのドキュメントがここに一覧で表示されますが、載せられないので省略)
ほぼパーフェクトな回答です。
では少し複雑な質問をしてみます。
お客様はビジネスフォーマルな場で使用できて、かつプライベートでも使えるようなメガネをお探しなのですね。
お仕事でパソコンを長時間使用されるということなので、まずは JINS SCREEN DAILY USE をおすすめいたします。
https://luckycitrine.blogspot.com/2020/03/jins-screen-20-vs-40-review.html
JINS SCREEN DAILY USEは、普段使いしやすいデザインで、ブルーライトをカットしてくれるレンズが入っています。ブルーライトカット率は低い設定ですが、度なしであれば暗く感じにくく、自然な見え心地です。
フレームは、お仕事にもプライベートにも合わせやすいよう、シンプルで落ち着いたデザインのものを選びましょう。
具体的には、以下のフレームがおすすめです。
ウェリントン型:
・知的で洗練された印象を与えます。
・ビジネスフォーマルにも、カジュアルな服装にも合わせやすいです。
・特に、細身のフレームや、黒縁、べっ甲柄などがおすすめです。
https://www.jins.com/jp/item/UCF-22A-189.html
スクエア型:
・真面目で誠実な印象を与えます。
・ビジネスフォーマルな場面で特に好印象です。
・細身のフレームや、メタルフレームを選ぶと、よりシャープな印象になります。
https://www.buyglassesjp.com/products/date-megane/with-lens/537.html
ボストン型:
・柔らかく親しみやすい印象を与えます。
・プライベートでカジュアルな服装によく合います。
・ビジネスフォーマルな場面では、少しカジュアルな印象になる場合があるので、会社の雰囲気に合わせて検討しましょう。
https://www.jins.com/jp/item/UCF-22A-181.html
フレームカラーは、黒やネイビー、ブラウンなど、落ち着いた色がおすすめです。
お客様の肌の色や髪の色、普段の服装なども考慮して、最適なフレームを選びましょう。
さらに、レンズについて以下のような提案もできます。
度付きレンズ:
目の疲れを軽減するため、度数が合っているか確認し、必要があれば度付きレンズを提案しましょう。
JINS SCREEN HEAVY USE:
ブルーライトカット率が高いレンズです。パソコン作業が多い場合は、こちらを提案してみましょう。
色が濃く見え方が変わるため、お客様の普段使いのイメージと合うか確認が必要です。
防汚コート:
レンズの汚れを防ぎ、お手入れを簡単にします。
UVカットコート:
目に有害な紫外線をカットします。
お客様のライフスタイルや好みに合わせて、最適なメガネを提案してください。
うーん、惜しいですね。
提案としては悪くないですが、PCのブルーライトをカットするという意味で「JINS SCREEN DAILY USE」を提案しているところはOKですが、引用しているリンクが外部サイトになってしまっています。スクエア型のフレーム提案も同じですね。あとは「JINS SCREEN DAILY USE」「JINS SCREEN HEAVY USE」は日本ではなくUSのレンズ名称として使われているものだったりします。
これをそのままお客様にお話するのはちょっとNGですね。
追加で質問してみます。
かしこまりました。お客様はメガネが目立ちすぎず、自然な印象で着用したいのですね。
そのご要望でしたら、 JINS CLASSIC シリーズがおすすめです。
https://www.jins.com/jp/topics_detail.html?info_id=501
JINS CLASSICは、時代を超えて愛される普遍的なデザインをベースに、細部までこだわって作られたメガネです。シンプルで上品なデザインなので、ビジネスフォーマルな場にも自然と馴染みます。
さらに、 Airframe も良い選択肢です。
https://www.jins.com/jp/item/LUF-20A-066.html
Airframeは、軽量で弾力性のある素材を使用しており、まるでかけていないかのような軽いかけ心地です。フレームの存在感を抑えたいお客様にぴったりです。
フレームカラーは、肌の色に近いベージュや薄いブラウンなどを選ぶと、より自然な印象になります。
レンズは、JINS SCREEN DAILY USEの他に、 クリアレンズ もおすすめです。
クリアレンズは、ブルーライトカット機能はありませんが、目元が自然に見え、メガネをかけていることを意識させません。
お客様の度数やライフスタイルに合わせて、最適なレンズを選びましょう。
また、フレーム選びの際には、以下の点も考慮すると良いでしょう。
・顔の形: お客様の顔の形に合ったフレームを選ぶことで、より自然な印象になります。
・肌の色: 肌の色と調和するフレームカラーを選ぶことで、メガネが顔に馴染みやすくなります。
・髪の色: 髪の色とフレームカラーを合わせることで、統一感のある印象になります。
お客様にぴったりのメガネが見つかるよう、しっかりとヒアリングを行い、最適な提案を心がけましょう。
またしても惜しいです。
フレームの絞り込みと顔の形・肌の色・髪の色に馴染むカラー、クリアレンズの提案は◎ですが、JINS CLASSICのリンクが商品ページではなく、シリーズを一新した2022年8月のニュースリリースになっています。Google Workspaceにある最新の商品関連の情報か、せめてECサイトのJINS Classicのページをリンクしてほしいのですが、ここはもう少しプロンプトを工夫する必要があるようです。
まとめ
今回はGemini for Google WorkspaceとGemを使った簡単な例でしたが、もう少しプロンプトを工夫すると高い精度で回答を返してくれる可能性は十分感じました。
今後のアップデートとして期待する機能としては、
- Gemをユーザー間で共有して管理できる
- GemとGoogle Chatを統合してチャットボットとして使える
- 都度Google Workspaceにアクセスしてファイルを探すので時間がかかる問題の解消
あたりでしょうか。
Geminiはかなり高頻度でアップデートされているので、引き続き今後の動向をチェックしたいと思います。
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