【Movementテストノード挑戦記】15章:Movementノード構成の“モジュール分離がない”可能性とネットワーク切り替え方式
概要
Movementバリデータ用ソフトウェアは、他のブロックチェーンで見られる「モジュール分割構成(Executor・Sequencer・FFSなど)」が存在せず、単一バイナリ・単一構成で動作している可能性があります。さらに、Walrusなどで見られる「テストネット用とメインネット用でモジュールやバージョンを分離する方式」ではなく、同一バイナリ内でネットワーク種別を切り替える方式を採用しているように見えます。
そのため、テストネット環境を稼働させることで、実質的にメインネットと同等のモジュール検証が行えてしまう可能性があります(※推測)。
公式FAQにおける推奨スペック
公式FAQによると、バリデータ運用に必要なスペックは以下の通りです。
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最小構成
- CPU: 8コア
- RAM: 32GB
- SSD: 2TB
- ネットワーク: 2.5Gbps
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推奨構成
- CPU: 16コア
- RAM: 64GB
- SSD: 4TB
- ネットワーク: 2.5Gbps
これらはSolanaがバリデータに求める構成に匹敵する高スペック要求であり、相当な処理能力を前提としています。
モジュール分割がないと考えられる理由
1. 公式構成情報
Movementの公式Technical Detailsには、Executor・Sequencer・FFSといったコンポーネントが個別プロセスとして記載されていません。ビルド後に得られるのは単一の実行ファイル(例: movement-full-node
)で、設定ファイルを渡して起動する方式です。
2. ネットワーク切り替え方式
Walrusや一部のCosmos系チェーンでは、テストネット用とメインネット用で別バイナリや別ブランチを使用します。
一方、Movementでは同じバイナリで--network testnet
や--network mainnet
(あるいはconfig.json内の設定値)を変更するだけで切り替える方式を採用しているように見えます。
メインネット構築手順の不在
筆者が調査した限り、メインネット専用の構築手順は現時点で存在しません。
これは、単一バイナリ方式かつネットワーク切り替え設定のみで両環境を共通運用しているためと考えられます。
その結果、テストネットを稼働させ続けることで、ほぼメインネット相当の挙動を確認できる可能性があります(※あくまで推測)。
背景にあると考えられる要因(推測)
- 運用負荷の軽減:複数のビルドやリポジトリを管理する必要がなくなる
- 開発サイクルの統一:テストネットとメインネットで同じコードベースを共有できる
- 初期フェーズの安定性重視:複雑なモジュール分離を避け、全機能を単一モジュールで維持する方が安全
まとめ
Movementは現状、モジュール分離を行わず、ネットワーク切り替えも同一バイナリ内で完結させるシンプルな構成を採用しています。これにより、メインネットとテストネットがほぼ同等環境で動作する可能性があり、構築・運用の単純化に寄与しています。ただし、構成管理の柔軟性は制限されるため、今後の設計変更にも注目が必要です。
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