RHCSA (EX200) に合格したので独学での勉強方法などを書いていく
はじめに
先日 Red Hat 社の認定資格 RHCSA の試験(EX200)に満点で合格できましたので、独学での勉強方法などを残しておきたいと思います。
受験方法
EX200 試験を個人で受験する場合、主に以下の3つの選択肢があります。いずれも申し込みにあたっては Red Hat アカウントの作成が必要になります。
- 受験者が指定の試験会場に集合して受けるクラスルーム試験
- テストセンターで受ける個人用試験 (キオスク試験)
- 任意の端末で受験できるリモート試験
私の場合、リモート試験用の部屋が準備できなかったこと、テストセンターが3月まで休止中だったため、ハードウェアも準備してもらえるクラスルーム試験を申し込んで受験することにしました。クラスルーム試験はおおむね月1で開催されているようです。
EX200 試験の概要
RHCSA 試験は RHEL 8.2 をベースに基本的な Linux の操作を問われる試験です。パフォーマンスベーステストのため、各設問で提示される要件に合わせて実際に RHEL を操作して設定していきます。
試験時間は3時間、合格点は 210/300 (70%)です。試験で要求される項目は EX200 のページに記載されているので以下を参照してください。具体的な問題などは NDA への署名により開示不可となります。
受験時に必要なもの
試験の申し込みを行った後は、受験する際に写真付きの身分証明書の提示が必要になります。私が受けたクラスルーム試験の場合は日本語の運転免許証で対応可能でした。
また、試験時にメモ用のホワイトペーパー(普通の紙)を渡されます。その際に日付と名前を書くことになりますがペンは提供が無かったので、ボールペンを持参することを推奨します。
なお、受験の際に結果を通知するためのメールアドレスの入力が必要になるので、事前に確認しておきましょう。
クラスルーム試験は試験開始15分前には会場に到着している必要がありますが、30分前には到着してゆっくりしておくのが良いと思います。ドレスコードはビジネスカジュアルなので、あまりにラフ過ぎる格好は避けた方が良いでしょう。
試験対策にあたって活用した資料やサイト
Red Hat 社のトレーニング(RH124/RH134/RH200)を受けることが最も効率的で推奨されます。ただ、私の場合は会社の補助もなかったため、O'Reilly Learning のサブスクリプションで閲覧できる以下の書籍や動画で学習を進めました。英語を読むのが面倒な場合は適宜、Chrome の翻訳機能なども併用しています。
O'Reilly Learning のサブスクリプションは $49/month とそこそこしますが、ACM の Professional Membership の特典としても利用することができます。ACM Pro 会員は $100/year のため相当お得です。
また、理解が不足している部分などは Red Hat 公式の製品ドキュメントやナレッジベースを参照して補完しています。上述の書籍は誤植もそこそこあり正誤表も無いようだったので、うまく行かないときはこれらも参照しました。
その他には、有志の Red Hat 認定資格の学習グループの Slack に登録しています。こちらは試験における一般的な注意点の確認や上述の書籍に関する FAQ、有志によって作成されたサンプル試験などを補助的に利用していました。
学習環境構築の Tips
EX200 は RHEL 8.2 ベースの試験のため、CentOS や Fedora ではなく RHEL8 の環境で学習を行うべきです。先日、Red Hat Developer Subscription が拡張され、個人1ユーザーが 16 システムまで無償でサブスクリプションを利用できるようになっています。こちらを活用するのが良いでしょう。
学習環境を構築する際は VirtualBox や VMware Workstation の仮想マシンに RHEL8 をゲストとしてインストールし、OS インストール直後の状態で仮想マシンのスナップショットを取っておけば「環境をいじる→スナップショットへのリストア」の繰り返しで練習がしやすくなると思います。
勉強期間
勉強期間としてはおおむね2ヶ月弱、時間にすると 60 時間程度の勉強を行いました。基本的には上述の書籍や動画の内容を淀みなく実施できるまで勉強しています。業務でも度々 Linux に関わることはありましたので、それほど試験対策が苦になることはありませんでした。
試験にあたっての一般的な注意点
EX200 の試験は上述したように実際に OS を操作するパフォーマンスベーステストですので、もし操作を行っている中で OS 内のトラブルが発生した場合には自力でトラブルシューティングを行っていく必要があります。
最悪、OS を試験開始時の状態にリセットすることも可能ですが、試験の後半にリセットが必要になると多大な時間のロスが発生してしまいます。この試験に限らず一般的なシステムの運用と同様、実施する作業はロールバックが行えるよう日頃から意識しておきましょう。
また、採点対象の環境にインターネット接続はなく、一般の Web サイトを検索する能力は役に立ちません。コマンドのヘルプを見る、man -k や man -K で man ページを検索するなど、RHEL 8.2 の機能で完結できる調べ方が必要になります。日頃からコマンドやファイルの仕様などは OS 内のドキュメントで調べられるようにしておきましょう。
なお、クラスルーム試験の場合は会場側でテスト済みハードウェアが用意されているので、物理的な問題(例えばキーボードやモニターの破損、試験用ソフトウェアの誤動作など)は起きづらいと思います。試験官も日本語話者のため、もし試験中に発生しても焦らずに手を上げて申告すれば対応してもらえるはずです。
受験後にやること
受験後、2~3営業日で採点結果が以下のようなメールで通知されます(早い!)。合計点の他にカテゴリ別の正答率なども合わせて提示されるので、苦手な分野はきちんと復習しておきましょう。
また、同通知メールの後ろの方に認定情報を照会するための Certification ID と Red Hat 社サイトへのリンクが記載されています。
Red Hat 社サイト右上の [アカウント] > [プロファイルと設定の編集] から認定ページにアクセスし、アカウントと Certification ID を関連付けることで認定を照会できるようになります。以下のページも参考にアカウントとの関連付けを実施しておきましょう。
おわりに
今回、独学で RHCSA の勉強を行って EX200 試験に合格できました。公式のトレーニングの受講に比べれば効率は悪いと思われますが、独学でも頑張れば満点合格は可能ですので、今後受験される方のお役に立てば幸いです。
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