正社員からフリーランスに転身して1年経った私が伝えたい、そのメリット・デメリット
概要
この記事は、私が正社員からフリーランスに転身して1年が経過した経験から、フリーランスとしてのメリットとデメリットをお届けするものです。予想していたこともありましたが、実際に経験してみるとわからなかったこともあり、その点についても詳しく紹介します。
背景
私はエンジニアとして30歳でデビューし、スタートアップ企業で正社員として5年間働いた後、フリーランスに転身しました。私の経歴については、以下のリンクで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
目的
この記事の目的は以下の通りです。
- エンジニアとして正社員としてのキャリアを積んでおり、フリーランスに転身するかどうか迷っている方の判断材料となること
- 正社員とフリーランスとの違い、メリット・デメリットについて多角的な視点から伝えること
もしフリーランスに転身を考えている方がいらっしゃるなら、この記事が役立てば幸いです。また、フリーランスのエンジニアについて知りたい方にも、興味深い内容となっています。
前提
以下は私が正社員を辞めた時の状況になります。これらの前提によって、私がフリーランスになるかどうかを左右することになるため、理解していただくことが重要です。
- 5年間のWebエンジニアとしてのキャリアを積み、技術的なスキルと社会的な能力があることから、フリーランスとして活動するための基盤がある
- 既婚者であり、1人の子供を持つ親であるため、判断基準は、経済面が技術面よりも重視されることになる
結論
結論として、私は正社員からフリーランスのエンジニアに転身して1年が経ちましたが、今のところ「とても良い」と感じています。
それはフリーランスになりたい動機と実際に得られたものが一致していたためです。ただし、上記の前提があっての話であり、個人の状況によってフリーランスが良いかどうかは変わってくると思われます。
フリーランスになりたいと思った動機
私がフリーランスになりたいと思った動機は、以下の2つです。
- 報酬が高いこと
- 開発に専念できること
まずは「報酬が高いこと」についてですが、これは正社員時代にエンジニアのマネージメントを経験したが関係しています。私はエンジニアとして3年経った後にエンジニアリングマネージャーに昇進しました。この時、チームに業務委託で入っていたフリーランスの方もマネージメントするようになったので、自然と契約関係の情報を知ることになりました。
その時、フリーランスエンジニアの時間単価を知り、とても驚きました。正社員に比べて高い報酬だったのです。業務委託の方は確かに技術力はありますが、ただ当時の自分とそこまで大きな差は感じられなかったので、もしかしたら自分もフリーランスになったら、このくらいの収入になるかもしれないと希望を抱いたことが最初の動機です。
もう一つの動機が「開発に専念できること」です。上記でも書いていますが、私はエンジニアリングマネージャーを経験しており、正社員時代の最後の役職は開発責任者でした。この役職に就いた頃には、コードを書く時間は業務時間の中で約10%程度になっていました。あとはMTGや事業戦略・マネージメントが主な仕事です。
当時の私は3年掛けて磨いてきた技術力が成長せず、むしろどんどん落ちていくことに焦りを感じていました。エンジニアリングマネージャーや開発責任者としての役割にやりがいを感じていましたが、今後のキャリアを考えた時にこのままだと発揮できるパフォーマンスが近い内に頭打ちになって市場価値がなくなっていくなと思いました。
一方、業務委託で働いてくださっているエンジニアの方は業務時間の中で、90%以上の時間でコードを書くことができます。正社員のようなMTGが多く入っていることはなく、必要最低限のMTGだけに参加することができました。
なので、その方々の姿を見ながら私は「このくらいコードを書いて技術力を磨けたら良いな」と感じていました。
この2つの動機があったので、正社員を辞めた際にフリーランスに転身しました。
フリーランスになった時の技術力
フリーランスになる際、私自身が抱いた不安要素がありました。それは「フリーランスとして自分の技術力が通用するかどうか」ということでした。しかし、結論から言えば、私の技術力はフリーランスとして通用しました。
多くのエンジニアがフリーランスになる際に同じ不安要素を抱いているかもしれません。そこで、私の技術力を参考にしていただければと思います。
- Findy のスキル偏差値が
62
です。(https://findy-code.io/) - OSS の開発経験はありません。
- Ruby・Ruby on Rails を使ったバックエンド開発がメインスキルですが、フロント・インフラまでカバーできる技術力はあります。技術スタッツの詳細については、こちらをご覧ください。
- マネージメント経験があるので、その立場にある方の状況や気持ちを理解できます。(指示待ちではなく、自分から率先して動くことができます)
これらのスキルを見ると、「元々スキルが高い人じゃん!」と思われるかもしれませんが、私自身は、圧倒的なスキルを持っているわけではありません。むしろ、総合力を活かして着実に開発を進めていくタイプです。
フリーランスのメリット・デメリット
ここでは、フリーランスのメリット・デメリットを分野ごとにお伝えします。
経済面
まずは経済面です。これが私がフリーランスになった時に感じた最大のメリットでした。
メリット
- 収入が正社員時代の 2〜3 倍にアップする
- 経費計上できるため、業務に関連するサービスを積極的に導入できる(例: IDEやGitHub Copilot などのサブスクリプション)
これらは、特に大きなメリットとなります。フリーランスの市場単価が高いため、正社員時代よりも収入が大幅に増えます。この収入アップは、家庭がある私にとっては大変ありがたいことです。
また、業務に関連するサービスを経費として計上できるため、業務効率を高めることができ、節税効果も期待できます。
デメリット
- 確定申告のために帳簿管理を自分で行う必要がある
- 健康保険や年金、税金の負担が大きい
一方、デメリットもあります。まずは確定申告を自分でやる必要があります。これは日々の財務管理をすべて記録する必要があります。自分は 会計freee を使って確定申告を行ったのですが、初めてでもやり方をわかりやすく説明してくれるので大変助かりました。
また、健康保険や年金、税金の負担が大きいというデメリットもあります。収入が2〜3倍にアップするものの、税金の支払いを考えると実際に手元に残る金額は2倍未満になります。
補足ですが、一般的にフリーランスは契約が安定しないので収入が不安定と言われていますが、それはその方の技術力が大きく影響していると思います。もし技術力が高ければ、たとえ単価が高かったとしても契約が継続になる可能性が高いです。なので、私はデメリットとしては記載しませんでした。
技術面
次に技術面です。フリーランスになることで、技術面でのメリットがあるということですが、デメリットもあるので注意が必要です。
メリット
- 業務時間の内、MTG は少なくコーディングに使える時間が多い
- コーディング時間が多いので担当領域のスキルが成長しやすい
フリーランスになりたいと思った動機に書きましたが、私はもっとコーディングする時間を増やして、技術力を磨きたいと思っていました。実際、フリーランスになってそれが実現しました。一日8時間の業務の中で、MTGが最も少ない場合では15分程度です。それ以外の時間はコーディングに費やすことができます。むしろ、フリーランスとしての成果は、アウトプットの量と質によって評価されます。契約側も成果を出すためにMTGの時間を減らしてくれます。
また、コーディングに費やす時間が増えたため、自然とスキルを深めることができます。時間に追われて開発を急いでしまうことなく、しっかりと時間を確保して開発することができます。そのため、公式ドキュメントや実際のコードを見ながら理解を深めることができます。
このような技術面でのメリットがあります。
デメリット
- 担当領域が限られている場合がある(例. インフラ周りは扱えない)
- マネージメントやリーダーを経験を積みづらい
- 自立していることが前提なので、わからないことを気軽に聞けない
一方、デメリットは上記になります。
フリーランスの場合、契約する会社の規模にもよりますが、基本的に個人情報にアクセスする権限や事故に繋がりやすい領域の権限がありません。具体的には、production 環境のDBやAWSのようなインフラを扱うクラウドサービスへの権限です。
また、フリーランスは主に開発業務に従事することが多く、マネジメントやリーダー経験を積むことが難しい場合があります。そのため、チームやプロジェクトを率いるスキルを身につける機会が少ないかもしれません。
さらに、フリーランスは自己責任で業務を行うことが前提となります。そのため、わからないことがあった場合に気軽に相談することができないこともあります。このような状況でも、調べたり試行錯誤を繰り返すことで解決する姿勢が求められます。
経験を積んで自立できるようになり、自信を持って業務に取り組むことができる状態であれば、フリーランスとして独立することができると思います。
福利厚生面
最後に福利厚生面です。これは正直、各々何に価値を置くかによって判断が異なりますが、正社員と比べるとフリーランスはデメリットが多いと思います。
メリット
- 働く場所を自由に選択できる
- 会社の規約・イベントに縛られにくい
まずメリットですが、フリーランスの場合、働く場所を自分で選ぶことができます。もちろんセキュリティ面や業務に支障のない場所で選んで働くことを前提としていますが、自宅で働いたり、旅行に行きながら仕事することも可能です。
私の場合、フリーランスになってから1回も会社に出社したことがなく、すべて在宅勤務で働いています。これによって通勤の往復時間がなく、その時間を子供と一緒に過ごす時間にすることができます。
また、正社員であれば会社のイベントや飲み会の参加が定期的に行われますが、フリーランスの場合はそれに参加を強制されることはありません。これは見方によってはデメリットなので、そのようなイベントや交流に関心がない方にはメリットといえます。
デメリット
- イベントに参加しにくい
- エンジニアの交流が広がらない
- 有給休暇がない
一方、デメリットは上記になります。
福利厚生面はメリットに比べてデメリットが多くあります。まず社内イベントに参加する機会がほとんどありません。例えば社内でのエンジニア LT や四半期に行われる全社イベントなのです。純粋に楽しいイベントへの参加がないです。
またそれに付随してエンジニア同士の交流が広がりません。もちろん一緒に開発をしているチームメンバーであれば日頃コミュニケーションを取っているので交流はありますが、他のプロダクトチームや SRE などの基盤チームとの交流は少ないです。開発上、コミュニケーションを取ったとしても関係を深めることは難しいかもしれません。
これによって人脈を活かした案件獲得などは、正社員時代の交流から生まれるケースが多いと思います。
そして、最後にフリーランスは有給休暇がありません。これは休みが取れないということではなく、休みは取れますがその分、報酬は減るということです。時間単価で契約しているため、純粋に稼働した時間だけの報酬になります。なので長期の休みを取りづらく、もし取る場合は案件がひと段落して、次の案件が始まるまでの間に取るケースが多いと思います。
まとめ
正社員からフリーランスになって1年が経過しましたが、そこでわかったメリット・デメリットをお伝えました。フリーランスが誰に対しても絶対に良いというわけではなく、その方のスキルや家族構成、求めているものに応じて判断が変わってきます。
この記事を参考にして、それぞれの状況に合わせて最適な選択をしていただくことをお勧めします。私自身は、フリーランスになって生活の満足度が高まり、非常に良い決断だったと感じています。
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