チームに共通言語をつくる輪読会のすすめ
はじめに
こんにちは!株式会社 ispec で EM をしている shinya です。
弊社では、半年ほど前からエンジニアメンバーが全員参加の輪読会の文化を取り入れています。
今回は、その輪読会を次の3つの観点で紹介します。
- なぜ始めたのか
- どうやって運用しているのか
- 実際に感じている効果
これから輪読会を始めてみたいチームの参考になれば嬉しいです。
AI時代に輪読会を行う意義
最近は自分でコードを書くことは減っていき、AIが書いたコードをレビューする流れが多くなっていると思います。しかしコーディングだけに関わらず、AIが生成した内容が適切なものかを判断するためには、ちゃんとした知識が必要になります。
そうでないと、保守性の高いコードは書けなかったり、セキュリティ的に問題のあるコードのままリリースしてしまったり、そもそも要件が満たされきれなかったりと、様々な問題が出てくることとなってしまいます。
実際にVibe Codingで作ったアプリは1ヶ月で限界になっているという声もあります。
そのため適切にAIを使っていくためにも、深い理解度でのソフトウェアに対する知識を持っていることがより重要になってきていると感じます。
チーム開発の文脈でいくと、これまではアーキテクチャなどの広い観点を見るアーキテクトと機能単位の詳細な実装をしていくエンジニアで役割が分かれていましたが、詳細な実装はAIが行うようになるであろう近い未来では、メンバー全員がアーキテクトのような影響範囲が広く重要な意思決定ができる体制だとAIによる開発速度向上を維持しながらプロダクションレベルのコードで開発が進められると思います。
そういったチーム全体のソフトウェア開発力の底上げを行うことを目的として、輪読会を始めた流れになります。
ispec流の輪読会の進め方
輪読会とひと口に言っても、やり方はチームごとにいろいろあると思います。
色々調べてみた中だと以下の3パターンのどれかから選ぶことが多そうでした。
| スタイル | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 発表会形式 | 担当者が事前に本を読んで、要約やスライドで発表 | 事前に資料を作るので担当者の理解は深まる | 担当者以外は受け身になりがちで、チーム全体の底上げには不向き |
| 読書会形式 | みんなで本を回し読みしながらその場で読む | 本を読む習慣が身につく / 負荷が少ない | インプットに寄りがち / 議論が生まれにくい |
| ディスカッション形式 | 全員が同じ範囲を事前に読み、集まって自由に話す形式 | 全員が能動的 / 理解の解像度が上がる / 実務に繋がりやすい | メンバー全員が読む必要があるので、PJが忙しい月などは大変 |
ispec では、ディスカッション形式を採用しています。
理由はシンプルで、今回の輪読会の目的が「チーム全体のソフトウェア力の底上げ」なので、本を読んで“なんとなく知っている”状態にするのではなく、自分のプロジェクトにどう応用できるかまで咀嚼するところに価値があると考えています。
実際にチームメンバーから出てきたテーマは以下のようなものがあります。

「この部分が理解できなかった」といった気軽な内容から「この内容って実務でどう使っているっけ?活用していけそうかな?」みたいな発展寄りの内容まで、毎回各メンバーそれぞれの視点から気になった議題をあげて話している形になります。
輪読会開催後の変化
輪読会を続けてきて、チーム内での共通言語が明らかに増えたなと実感しています。
同じ本を同じくらいの解像度まで理解していることによって、設計やアーキテクチャなどの抽象度の高い話題でもスムーズに進められるようになったと感じます。
たとえば「このアーキテクチャの方が良さそうだよね」とか、
「本で出てきたメトリクスの考え方、今のプロジェクトに使えそうじゃない?」みたいなやりとりを、相手も同じ前提知識を持っていると確信した状態で喋れると認識齟齬が生まれず、本筋の部分を深掘りしやすくなっています。
そのため各メンバーの知識量の向上ももちろん良かった点ですが、チーム全体で“考え方の軸”を揃えられたことが一番の成果かなと思っています。
最後に
エンジニアとしての個の力を高めつつ、チームとしても一枚岩で判断・実行できる強い組織を目指して
、これからもこの取り組みを続けていく予定です。
この記事が輪読会に興味ある方の参考になればと思います。
おわりに:採用情報
ispec では更なる事業拡大を見据え、エンジニア職にて新しいメンバーを募集しています。
採用サイトでは各求人の詳細だけでなく、ispec で大切にしている価値観や、メンバーの紹介記事も掲載しております。
- 技術へのこだわりやプロダクト愛を活かして働きたい
- フルリモート、フルフレックス下で最大限のバリューを発揮したい
- 心理的安全性の高い環境の中、チームで成果をあげてみたい
そんな思いを持った方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度カジュアルにお話ができたらと思います。
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