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「こちらいつ頃確認できそうでしょうか?」を撲滅した話

2025/02/12に公開
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はじめに

こんにちは!株式会社ispecでEMをしているshinyaです。

相手との関係性問わず「こちらいつ頃確認できそうでしょうか?」といった催促の連絡をするのって億劫ですよね...催促をされた側もわざと無視しているわけではないはずなので、なんだかどちらも申し訳ない気持ちになってしまったり...

そこで今回は、非同期コミュニケーションを愛してやまない私が催促を撲滅すべく、フルリモート・フルフレックス環境でも円滑なコミュニケーションを取れるように作成したツールについてご紹介します!

背景

ispecでは、ホラクラシー組織というフレームワークを導入しており、各メンバーが複数のサークルに所属し、複数のロールを持っている組織体制となっています。(ホラクラシーに関しては、以下のlaprasさんの記事が分かりやすいかなと思います!)

https://hr-tech-lab.lapras.com/lapras-knowhow/holacracy_scouty/

ホラクラシーの会議体の中でタクティカルミーティング(通称タクミ)と呼ばれるものがあり、「次のタクミまで各自が非同期でも活動を進められる状態」を目指してほとんどのサークルが週1の頻度で開催をしています。

また、タクミ以外でサークルメンバーに相談をできる場所として、notionを使った非同期アジェンダという仕組みも導入されていました。非同期アジェンダの使い方は、以下の通りです🙆

  1. 何か相談・共有事項がある人が内容やいつまでに確認して欲しいかをまとめたページを作成し、確認をして欲しい人に連絡
  2. 依頼された人は内容を確認して、問題がなければLGTMを押す
  3. 一定数のLGTMが得られたらページを閉じる

↓非同期アジェンダの具体例↓

課題

このように同期・非同期での相談場所は用意できていたのですが、この体制で運用をしていく中で「非同期アジェンダであまり活発な議論がされていない」という課題が見えてきました。

というのも、非同期アジェンダの依頼は基本的にslackで行っていたのですが、slackは日々の業務に関する内容が五月雨式に流れてくるので、「後で非同期アジェンダを確認しよう」と記憶したはずが脳内メモリから消え去っていたり、LGTMを押す前に一度コメントしたらその後はもう見ることがなかったり...

依頼者側としても、「出来たら早くみて欲しいけど、めちゃくちゃ優先度高いわけではないし...相手も忙しいかな...」という思いから、あまり催促をしづらかったり...という状況になっていました。

図で表すと以下のような状態ですね。

さらに、非同期アジェンダで議論がされづらい結果として、本来は「次のタクミまで各自が非同期でも活動を進められる状態」を目指すはずのタクミに当然議論の比重は偏ってしまうので、タクミの時間内でアジェンダの解決まで持っていこうとしてしまいタクミの時間が長引いてしまったり、場合によっては時間を気にして「えいや!」で解決策を決めてしまったりということも発生していました。

解決策

1. 各種議論方法の立ち位置を整理

ispecでは、上で述べた定期的なタクミ/notionでの非同期アジェンダ、そしてもう一つ問題が発生した時などの不定期でのミーティングの3種類が相談方法として存在していたため、それぞれの目的や進め方を整理しました。

分類 目的 進め方
非同期 ※基本は、非同期からスタート
議論を進めて物事を解決する場合
- 温度感の背景を伝えるようにする
- 1週間の間に懸念点があがらなければ、クローズしてよい
- アジェンダの内容は、明確ではなくモヤっとしたことでも問題ない
- 感情も伝わるように絵文字を使ったり、柔らかい言葉を使うようにする
同期 - たくさんの往復が発生してしまった、あるいは往復が多くなりそうな非同期の議論
- 緊急度が自分にとっても相手にとっても高い議論
- ペアプロや同時に一つの作業を進めたい場合
- センシティブな内容を決める場合(視覚的な要素が必要な場合)
- 人間的な繋がりを強めたい場合(1on1、全社イベント、振り返り、開発プランニング)
- 同期に参加していないサークルメンバーの理解度が同じになるように、NotionやFigmaなど形に残る方法で同期を行う
タクミ サークルの「今の状態」を可視化する
非同期がメインになると、個々の理解度がバラバラになりやすいため、みんなが同じ理解度になるようにタクミを利用する
- 解決までは求めないようにする(Nextアクションが決まったらOK)
- 非同期がメインになるため、タクミでどんなアジェンダが発生しているか、解決に進んでいるか確認するようにする

2. 非同期アジェンダbotの構築

非同期アジェンダであまり活発な議論がされていない根本の原因を整理すると以下のようなものでした。

  • 依頼された側
    • 自分が今依頼されているアジェンダを忘れてしまう
  • 依頼した側
    • 催促をするのが心理的に負担

そこで解決策として、議論中の非同期アジェンダをつっついてくれるslackBotの導入をすることになりました!

Bot導入後のフローは以下のような形です。

実際に送られてくるDMは以下のようなものです。

「自分が提案者となって挙げたアジェンダ」と「自分が確認者のアジェンダ」の両方がcronで設定した間隔で送られてくる設計となっているので、非同期アジェンダでの議論がかなり活発に行われるようになりました👏(ispecでは、毎日8時と13時に通知をするようにしています)

実装としては、NotionとSlackのAPIを使用して行っており複雑なことはしていないのですが、大枠の流れとしては以下のような処理を行っています。

  1. NotionのDB上から未解決のアジェンダの情報を取得(アジェンダのステータスプロパティを用いてフィルタリング)
  2. ①で取得した情報の中から、提案者と依頼者のemailアドレスを抽出
  3. slackのAPIを用いて、②のemailアドレスに該当するslackのユーザー情報を抽出
  4. ①と③の情報を組み合わせて、DMを送信

まとめ

今回は、フルリモート・フルフレックスの環境でも議論を円滑に進めるためにispecで活躍している非同期アジェンダBotについてご紹介しました。

同期でのミーティングは素早く解決まで持っていけたり、細かい言語化までしなくても伝わったりとメリットが大きくつい頼ってしまいがちですが、同期ミーティングには作業を中断する必要があるデメリットがどうしても付き纏います。

こちらの記事でも触れられているようにエンジニアリングのような開発業務は、特にまとまった時間を取る重要性が高いと考えているので、今後も意識的に非同期で業務を進めるための効率化を測っていきたいと思います🫰

おわりに:採用情報

ispecでは更なる事業拡大を見据え、エンジニア職にて新しいメンバーを募集しています。
採用サイトでは各求人の詳細だけでなく、ispecで大切にしている価値観や、メンバーの紹介記事も掲載しております。

  • 技術へのこだわりやプロダクト愛を活かして働きたい
  • フルリモート、フルフレックス下で最大限のバリューを発揮したい
  • 心理的安全性の高い環境の中、チームで成果をあげてみたい

そんな思いを持った方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度カジュアルにお話ができたらと思います。

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ispec inc.

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