顧客と開発チームを分けて管理!プロジェクト管理ツールの選び方と運用法(Backlog + Github Projects)
はじめに
プロジェクト管理ツールの選定や運用に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか?
本記事では、「実際のシステム/アプリ開発ではどういったポイントが重要なのか?」という私の経験談も踏まえながら、代表例として多くのプロジェクトで採用されているBacklogとGitHub Projectsというツールについて運用方法を紹介します。
ぜひ導入の判断基準や運用の改善策としてお役立てください。
対象読者
- PM
- PMO
- リーダークラスのエンジニア
顧客向けの進捗管理と開発チーム用の進捗管理は分けた方が良い
結論としては、顧客向けの進捗管理は「Backlog」、開発チームの進捗管理は「GitHub Projects」で作成するのが最適解の1つだと思っています。
「プロジェクト管理」は立場によって必要な情報や使い方が大きく異なるため、媒体を2種類に分けることをお勧めします。
両方をまとめる場合は片方にとって不都合な状況が発生しやすくなり、プロジェクトが進むにつれて使いにくく感じることで、更新が適当になりがちです。
世の中には数多くのプロジェクト管理ツールがありますが、以下の要素を満たすツールは限られていると思います。(こういった場合はこれが良い!というオススメがあれば、ぜひコメントください。)
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顧客向けに必要な要素
- タスク進捗が一目で分かるデザイン
- 認識齟齬や不要な説明を防止できる。
- タスクごとの予実や経緯が後からでも確認できる
- 証跡を活用し調整や交渉がスムーズに。
- アカウント作成や設定がスムーズにできる
- ユーザーが多い場合、設定周りで質問やトラブルでのロスが大きい。
- ユーザーフレンドリーなデザインかつ軽量
- 顧客側のPCスペックやリテラシーが高いとは限らない。
- PMの進捗報告の負荷の軽減
- パワポやエクセルで矢羽を引く場合、面倒な上に説明や議論がしにくい。
- タスク進捗が一目で分かるデザイン
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開発チームに必要な要素
- 誰が何をいつまでにどこまでやる必要があるのか?がわかる
- ソートのしやすさが大正義。
- キャプチャやコードの共有をしやすい
- 簡易に共有して、後からも見返せることが開発の生産性や品質に影響しやすい。
- 更新のしやすさ
- 大前提として、エンジニアやデザイナーはこの類の更新作業が嫌いな人間が99%。こまめに更新して欲しいのであれば、少しでもストレスのかからない方法を採用した方が良い。
- SlackやTeamsなどの外部ツールとの連携
- 後々に発生した問題の解決手段として外部ツールと連携したくなるシーンは多い。(botの作成、仕様変更の記録等...)
- 誰が何をいつまでにどこまでやる必要があるのか?がわかる
GitHub Projectsとは?
GitHub Projectsは、GitHubのリポジトリと密接に統合されたプロジェクト管理ツールです。オープンソース開発から企業のエンジニアリングチームまで、幅広い用途で利用されています。
特徴
- コードとの統合がシームレス: Pull RequestやIssueと連携し、コードとタスクを一元管理。
- カスタマイズ可能なボード: Kanban形式で、進捗を視覚的に把握可能。
- GitHub Actionsとの連携: 自動化やCI/CDプロセスをプロジェクト管理に統合可能。
- 新しいProjects Beta: カスタムフィールドやフィルター機能の強化で、より柔軟な管理が可能。
活用のメリット
- 開発者にとって馴染みやすいインターフェース。
- オープンソースプロジェクトでも無料で利用可能。
- シンプルで軽量なプロジェクト管理を実現。
運用Tips
- マイルストーンを活用する: リリースや主要な進捗ポイントを設定して全体の進捗を可視化。
- 自動化で効率化: IssueテンプレートやGitHub Actionsを活用して、タスク作成やレビューの負担を軽減。
- ラベルで整理: Issueにラベルを付けて、優先度や種類を明確化。
- SlackやTeamsと連携: タスク更新やコメントを通知し、コミュニケーションを円滑に。
Backlogとは?
Backlogは、日本企業向けに最適化されたプロジェクト管理ツールで、エンジニアリングから非エンジニア業務まで幅広く利用されています。
特徴
- オールインワン機能: タスク管理、Wiki、Git/SVNリポジトリ、ガントチャートが統合。
- 使いやすいUI: 非エンジニアにも直感的に操作できる。
- 課題管理機能が充実: タスクのステータス、担当者、期日を簡単に管理可能。
- 高いコラボレーション性: コメントや添付ファイルで情報共有がスムーズ。
活用のメリット
- 日本企業の開発文化(ウォーターフォールやアジャイル)に対応。
- CSV出力も可能なため、必要に応じて納品もできる。(あまり見やすいものでは無かったです・・・)
- ガントチャートやバーンダウンチャートで計画と進捗を一元管理。
- そのまま共有して説明や議論が可能であり、変更も簡単にできる。
- PJ関係者全体で利用しやすい設計。
- QA表を作成するよりBacklogでやり取りする方が明らかに楽。QA表を更新してメールを飛ばすのは無駄でしか無いので避けたい。
運用Tips
- Wikiを活用する: ナレッジを蓄積し、チームメンバーが参照できる環境を整備。
- 課題テンプレートを設定: 定型タスクにはテンプレートを活用し、登録作業を効率化。
- ガントチャートで全体把握: 進捗を視覚化して、リソースの過不足を早期に発見。
- 通知設定を最適化: 不要な通知を減らし、本当に重要なアラートに集中。(色々と通知が飛んでくるのでデフォルトだと結構邪魔です。)
「GitHub Projects」 と「Backlog」の特徴
特徴 | GitHub Projects | Backlog |
---|---|---|
主な用途 | コード中心のプロジェクト管理 | 全体管理(エンジニア・非エンジニア含む) |
視覚化 | Kanbanボード | ガントチャート、バーンダウンチャート |
コード連携 | GitHubリポジトリと密接に統合 | Git/SVNリポジトリ管理機能内包 |
対象チーム規模 | 小〜中規模のチーム | 中〜大規模のチーム |
カスタマイズ性 | 高(スクリプトやActions活用可能) | 中(GUIベースで簡単にカスタマイズ) |
トライアルコスト | 無料で始めやすい | 無料プランあり、有料プランで高機能 |
トレンドから考えるプロジェクト管理
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AIの活用: GitHub CopilotやBacklogの自動化機能でタスク作成や進捗追跡が効率化。
- AIがガントチャートを自動で作成してくれるサービスも2024年の12月に出ました。業界やプロダクト特性を学習したAIを活用したプロジェクト管理ツールが今後発展することが予測されます。
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000034523.html
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リモートワーク対応: SlackやTeamsとの連携が標準化し、分散チームでも円滑に運用可能。
- オフショア、ニアショアの発展により、リモートワークをどれだけ上手く機能させることができるか?という価値が高まっています。出社回帰のムーブメントもありますが、タスクや成果が明確なIT業界では本来はリモートワークの方が生産性は高まるはずです。リモート下でもプロジェクトを円滑に進められるかは価値の1つになります。
まとめ
プロジェクト管理ツールの選定と運用は、プロジェクト成功の要因として非常に大きいです。
顧客特性やチームに合った手法や改善を図ることが重要なポイントになりますので、ぜひ常に改善の意識を持つようにしてみてください!
あなたのプロジェクトで使用している管理ツールや、運用上の工夫についてぜひコメントで教えてください!
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