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Ruby歴1か月の初学者がRubyKaigi 2025に参加してきた

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この記事はなに?

  • Ruby歴1か月の初学者の私が、RubyKaigi 2025に参加してきたときの話です。
  • 私の感想が中心です。RubyKaigiの概要やセッションの解説などは、より詳しい方の記事にお譲りします。

自己紹介と参加の経緯

私は、ITエンジニア歴は6年で、言語としてはPython/JS/TSを主に扱ってきました。
この2025年4月に、Inner Resourceに入社することになりました。
この会社ではRuby on Railsを使っているため、入社1か月ほど前からRuby(というかRails)の勉強をはじめていました。
そのため、私のRuby歴は1か月です。

4月1日に入社して一週間経った頃、急遽、1週間後に迫った4/16~18のRubyKaigi 2025に参加することが決まりました。

私はプログラミング言語を扱った技術カンファレンスに参加するのは初めてだったので、楽しみな半分、初学者の自分に理解できるのだろうか、楽しめるのだろうかと不安に思っていました。

入社したての私の参加を認めてくれた会社に感謝しつつ、準備を始めるのでした。

事前準備(付け焼き刃)

1週間しかなかったので、ほとんど準備できていません。
同僚にアドバイスをもらって進めました。

オーガナイザー松田さんの「初心者のためのRubyKaigi入門」

https://speakerdeck.com/a_matsuda/rubykaigi-introduction

初心者の気が楽になるお話が書かれており、精神的に助かりました。

昨年RubyKaigi2024へ参加した弊社エンジニアの記事

https://zenn.dev/irsc/articles/ruby-kaigi-2024-rookies-note

技術キーワードがまとまっており、参考になりました。

Rubyについての書籍

https://tatsu-zine.com/books/ruby-under-a-microscope-ja

https://www.lambdanote.com/products/ruby-ruby

ぱらぱら読んで、概要が分かった気になっただけです。決して理解していない。
Rubyの中にはこんな概念があるのか、と分かっただけでもよかったと思います。

会場の様子

今回の会場は、愛媛県松山市の愛媛県県民文化会館です。

入口の暖簾

RubyKaigi 2025のメインビジュアルとなっているオレンジ色の暖簾が入口で出迎えてくれました。


入口の暖簾。わくわく。

スポンサーブース

暖簾をくぐるとすぐ、スポンサーブースがあります。


スポンサーブース。スポンサー枠も人気で、ブースの抽選に落ちてしまった企業も少なくなかったとか。

セッション会場

セッション会場は3つあります。


Main Hall。5階席まであり、2700人も収容できるらしい。


Sub Hall。サブでもかなり広い。


Pearls Room。プログラミング言語のPerlとかけたジョークを何度か聞いた。

無料のランチ

会場の建物の前に、地元愛媛のご飯を提供するキッチンカーが来ていました。
鯛飯、豚丼、じゃこ天、焼豚玉子飯、じゃこ天ラーメンなど。。
列に並んで、自分の番になって、お金を払おうとしたら、びっくり。無料だと言われました。
めちゃくちゃお得な気分。RubyKaigi運営さん素晴らしいです。


会場の建物の前に停まるキッチンカー


じゃこ天と焼豚玉子丼


じゃこ天ラーメン

印象に残ったセッション

Ruby Taught Me About Encoding Under the Hood

https://rubykaigi.org/2025/presentations/ima1zumi.html

1日目のキーノートです。

スピーカーのima1zumiさんは文字コードに明るい方で、文字コードの歴史から、RubyでのUnicode対応・修正まで、文字コードへの熱い想いを感じることができました👨‍👩‍👧‍👦
文字コードを極めるには、デーヴァナーガリー(インドで使われる文字)にも詳しくないといけないのか、と驚きました。

また、ima1zumiさんは最近Ruby commiterになられた方で、どのような経緯でRuby commiterになったかを知れて、知らない世界の話が、少し身近に感じることができました

Goodbye fat gem 2025

https://rubykaigi.org/2025/presentations/ktou.html

https://slide.rabbit-shocker.org/authors/kou/rubykaigi-2025/

fat gem(ビルド済みのバイナリを含んだgem)についてのお話でした。
Ruby本体や様々なOSのバージョンに対応しなければならない、メンテナーのつらさをスピーカーのktouさんがぼやきながら(?)語っていて、印象的でした。
私はOSSに対して、早く新しいバージョンに対応しないかななんて思ってましたが、申し訳ありませんでした笑

State of Namespace

https://rubykaigi.org/2025/presentations/tagomoris.html

Ruby 4.0への実装が期待されているNamespace機能の現状をお話されてました。
gemを読み込む際、特定のNamespaceにロードできるようにできるなど、とても便利そうです。

Namespace機能のBugを修正しようとすると、Ruby側のバグを色々発見する。→報告して、直してもらう。というのを何度かしていて、苦労を感じました。

TRICK 2025: Episode I

https://rubykaigi.org/2025/presentations/tric.html

https://github.com/tric/trick2025

奇妙なコードコンテストTRICKの入賞作品の紹介。

私ははじめてこのコンテストを見たのですが、めちゃくちゃ面白かったです。

司会の人が、コードの説明や、どこが面白いかすごいかなど解説しくれて大変助かりました笑 12作品くらい高速で紹介していくの、司会の技量がすごい。

審査員もエントリーできて、自分の作品に高得点つけれたりなど、コンテストのルールもユニークで面白かったです。

Ruby Committers and the World

https://rubykaigi.org/2025/presentations/rubylangorg.html

総勢50名ほどのRubyコミッターたちが、日本語と英語を飛び交わしながら、議論していくのが新鮮でした。

議題の一部

  • static barrier
  • Namespace
  • Ruby4.0
  • 廃止したい機能
  • 生成AIは使っているか?

面白かったコメント
「Quineはできるように機能は残したい」
「この機能は私がつくったけどほとんど使ってないです」
「生成AIはRuby処理系のデータをほとんど持っていないので、回答できない」

On-the-fly Suggestions of Rewriting Method Deprecations

https://rubykaigi.org/2025/presentations/ohbarye.html

deprecation対象の関数を自動で書き換えるgemを作成した話でした。
deprecationは他の言語でもある話なので、想像しやすかったです。
ツールは、まだ完全ではないものの、大変便利そうです。
ですが、ツールを作ること以上に、depericationへの対応をRubyのエコシステム全体に広めることがより大事そうだなと感じました。

Matz Keynote

https://rubykaigi.org/2025/presentations/yukihiro_matz.html

最後は、Ruby作者のMatzさんのキーノートです。なんと、せり上がる床から登場し、会場に驚きと笑いを与えていました。

「Programming language for AI age(AI時代のプログラミング言語)」というタイトルでの発表でした。
Rubyのもつ「簡潔さ」「表現力」「拡張性」が、AI時代のプログラミングに適しているのではとMatzさんは主張しました。「結論ありきの主張です」とは言っていましたが。

AIの生成するRubyコードを改善するために、モダンでクオリティの高いRubyのコードをOpenAIやGoogleなどにを渡すというプロジェクトが進んでいるらしいです。
Rubyコミュニティ全体のことを考えて行動されているなと印象的でした。

そして最後に、Ruby 4.0をローンチする(たぶん)と発表しました。
目玉となる機能は、実験的なNamespaceとZJITです。
こうやって、1年に1度のRubyKaigiで、最後にRuby作者が重大発表するのは大変盛り上がりますね。

初学者でも楽しめたこと

セッションの導入がわかりやすい

多くのスピーカーが、導入部分が初めて聞く人にも分かりやすくなるよう気を使っているように感じました。
おっ、初学者の私でもわかるぞ。となって嬉しいです。

まあ、その後だんだんと技術的にディープな話になっていって、よく分からなくなるのですが。。

セッションに面白ポイントを用意してくれている

参加前は、セッションでは真面目な技術話をずっとしているのかなと思っていました。
実際には、多くのスピーカーが、笑える失敗話、バグ対応での苦悩などを面白おかしく喋ってくれます。
海外のスピーカーも、ミームを使ったスライドを用意していて、面白かったです。

まあ、技術的なジョークは、なんでみんなが笑っているのか、初学者にとってはわからないときもありました。

セッションの半分は日本語で聞ける

RubyKaigiは国際会議ですが、セッションの半分は日本語で聞けるという点が新鮮でした。
作者が日本人のRubyならではのことで、IT以外の分野でもあまりないことだろうなと思いました。

RubyKaigi全体のお祭りな雰囲気

TRICK結果発表、LT会、ジョークを交えたセッション、スポンサーブース、様々なノベルティ、スタンプラリー、キッチンカー、アフターパーティ、Drinkup...
単なる技術発表会・勉強会ではなく、純粋に楽しいお祭りのような雰囲気でした。
RubyKaigiというイベントを盛り上げようという、運営と参加者の想いを感じました。

初学者では難しかったこと

技術的にディープな話

Rubyのコア部分など、技術的に深いところの話は、初学者にとっては理解するのはかなり厳しかったです。
全てを理解できないにしても、概要を事前に学習していくなどすれば、もう少し楽しく聞けたかもしれません。
Rubyを学習して、ぜひリベンジしたいです。

英語のセッション

私の英語力の低さが問題ではあるのですが、英語力低い人が、自分に馴染みのない話を英語で聞くのはかなり厳しかったです。
逆に、初学者でも英語が堪能であれば、ある程度は理解できると思います。
英語の勉強しないとな、と思った次第です。

意外だったこと

初参加者や初学者も意外と多い

Drinkupに参加してまわりの人と話すと、初参加者やRuby歴1~2年も意外といるなといった印象です。
会社内でRubyKaigiの派遣枠が余っていたから来た、という人も。
スポンサーブースの人は、案内要員として来ていて、普段Rubyには関わっていないという人もいました。

ゴリゴリのRubyistだらけではないのだと安心しました。

発表内容は、みんな意外と分かってない

Drinkupでは、正直、発表内容は全然分からない、という話で盛り上がっていました。
100%理解しているのは、Rubyコミッターたちだけ。と。

まあ、多少の謙遜やジョークで言っているところはあり、もちろん初学者の私よりは分かっていると思います。
自分だけ理解できてないからやばいと、気負いすぎないことだと思います。

今後やりたいこと

Rubyの勉強

私はなによりRubyの知識・経験が足りないので、Rubyの勉強をしていきたいです。
Ruby歴1か月で、RubyKaigiというこの上ないモチベーションの源泉をもらえたのですから。
そしてまたRubyKaigiにリベンジして、発表内容をより理解できるようにしたいです。

OSSへのコントリビュート

プログラミング言語をはじめとするOSSのコミッターの努力と苦労に改めて気付かされました。こうしたコミッターの方々が懸命に開発してくださっているからこそ、私たちユーザーが快適にOSSを使えるのです。彼らに感謝するとともに、Ruby!とはいいませんが、なにかしらのOSSにコントリビュートをしていきたいです。

最後に

Ruby歴1か月の初学者が参加した、はじめてのRubyKaigiはとても楽しかったです。
それは、運営の方々が、参加者が楽しめるように工夫をこらした結果なのだと思います。
RubyKaigiの運営の皆様、ありがとうございました!

株式会社Inner Resource

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