全ITエンジニア必読書である「世界一流エンジニアの思考法」を要約してみた
エンジニアの間では発売から瞬く間に広まった本書ですが、まだ読んでない方々向けに本記事を書いてみました。要約なので、ここは重要だなと感じたポイントに絞って本記事に記載します✏️
概要
まず結論からいうと、仕事の進めかたや捉え方という点でとても学びのある良書です。すでに多くのエンジニアには知れ渡っていますが、もっともっと知れ渡って欲しい本です。
内容としては、著者の牛尾さんがアメリカのMicrosoft社(Azure開発)で得た経験がそのままに書かれています。最初はアメリカのエンジニアに劣等感を感じていたようですが、その理由を言語化して、実際にどうすれば彼らと肩を並べるエンジニアになれるかが書かれています。
また全体的にアメリカのエンジニア思想を爆推ししているので、こっち系の思想が好きな人は一瞬でハマると思います。私もどちらかと言えば圧倒的にこっちのタイプですが、読むときには偏らないように中立を意識して読んだ方が良いです。とくに本の後半になるほどその傾向が強くなります。とくに第7章ではその想いが爆発しています。
本書の重要ポイント
第1章 世界一流のエンジニアは何が違うのだろう?
本というものの性質上、序盤に重要な話がくるのは定説ですが、例によってこの本でも一番重要な章です。問題解決には手からではなく頭から動かすこと、理解には焦らずじっくり基礎の基礎から理解すること、というこの2点がこの本で得られるもっとも重要な情報です。
トップエンジニアの衝撃的な解決法
試行錯誤を 「悪」 として、障害を調査するときはまず手から動かさない。事実(データ)を1つ見つける→いくつかの仮定を立てる→その仮説を証明するための行動をとる。
「理解に時間をかけるを実践する」
理解の三要素:説明可能 / いつでも使える / 応用可能である。左記を踏まえて 「理解は時間がかかるもの」 として、急がず、徹底的に理解する習慣をつける。
「感覚」で判断せずファクトを積み重ねる
自分でログなどを検証して問題解決をするようにしないと 「思い込み」 の穴に落ちてしまう
頭の中に「メンタルモデル」を作る
メンタルモデルとは、人々が世界を理解し、予測し、解釈し、新しい状況に適用するための、自己の心の中のイメージや理論
第2章 アメリカで見つけたマインドセット
以降の章では1章に比べてインパクトが落ちますが、それでもまだまだ学びのある内容が書かれています。個人的に会議での 「準備と持ち帰りはやめよう」 はささりました。
いかにやることを減らすか?
- 1つだけピックアップする:やるべきことを順番つけて優先順位でやらない
- 時間を固定して、できることを最大化する:残業とかやめようね
- 「準備」「持ち帰り」 をやめてその場で解決する:会議での話。事前準備も持ち帰りもしない。
リスクや間違いを快く受け入れる
検討ばかりして、さっさと 「やらない」 ことの方が最大のリスク
第3章 脳に余裕を生む情報整理・記憶術
とにかくやりすぎはよくない、ということが本章からは読み解くことができます。マルチタスクや残業は結果的にエンジニアにとって害になりそうです。
仕事の難易度別で考える
下記のレベルを踏まえた上で生産性を上げるということの定義はいかに 「レベル1」 を増やせるか
- レベル1:何も調べず即実装できる
- レベル2:調べれば実装できる
- レベル3:スパイクソリューション(課題把握のための大まかなプログラム)があれば何とかなる
- レベル4:自分では無理
マルチタスクは生産性が最低なのでやらない
今手をつけている仕事を1つに限定する
1日4時間は自分だけの時間を確保する
この間はすべての通知手段をブロックする(4時間は厳しいという人は作業中だけすべての通知をブロックする方法からでもよさそう)
第4章 コミュニケーションの極意
情報は最小限のお話では、自分が質問するとき、できるだけ調べて見解まで記すというのが個人的な文化だったので、驚きがありました。必ずしも著者の環境が正解だとは思いませんが、私が実践していた日本的な文化?も考え直してみないといけなさそうです。ただ、情報はそもそも逆張りという性質もあったりすので難しいところではありますね。
「情報量を減らす」大切さ
- 質問をするときなど、最初から全部説明せず、付加的な情報も聞かれたときだけで良い。確認する側が消化できない。
- プレゼンでも同様に情報は最小限にして、理解してもらうことに丁寧に時間をかける
気軽に聞ける空気の大切さ
助けになれない場合は、すぐに 「ごめん」 でクールに済ませたほうが、聞く方も聞かれる方も気が楽
第5章 生産性を高めるチームビルディング
トップダウンではなく、ボトムアップでやろうよ的なことが書かれています。これもよく文化的な指摘をされる代表的なお話ですが、ここは改めてこうあるべきだよなぁと感じました。メンバーの裁量が不足していないかというのは今一度確認すべきです。あとはチームが平等であって、気軽にそして忌憚なく言い合えたり、仕事を楽しめる空気作りも必要ですね。
納期がなく、マネージャーも急かさない
納期がなく、バックログ(やるべきことリスト)と大きな予定だけがある
失敗に寛容な職場がチャンレジ精神を生む
私たちはいつも未知のことをやっているのだから、失敗は起こる
「Be Lazy」を推奨し、休暇を尊重する
作業量を減らしてインパクトのあるものに集中する
第6章 仕事と人生の質を高める生活習慣術
ここまでくると、よりあちこちの書籍でも人気の内容が書かれています。どれも汎用的な内容なので、知らなかったという人はここで頭に入れておきましょう。
生産性を上げたげれば定時上がりが良い
生産性を上げるのは学習である。仕事は定時で切り上げて、そのあと自分で学習する。
「脳の酷使」をやめる3つの工夫
瞑想する、ディスプレイから意識的に離れる、十分な睡眠時間をとる
違うことをするのがリフレッシュに
脳を休めたかったらまったく違うことをする
物理的なエネルギー不足をどう解消するか
毎日30分の身体への投資は、必ず行うことをオススメしている。これはあちこちの書籍にも書かれている。
※ちなみに自分はランニング30分を週1で数年やってましたが、とくにそのとき調子が良いとか感じることはなかったです。もちろんやめてからも変わらずだったので、運動のメリットを未だ感じることができてません...
第7章 AI時代をどう生きるか
AIで仕事なくなるよね問題に対する見解が書かれています。自分が学んできたことと、AIをどう掛け算するかを考えると良さそうです。そしてこのAIの話に乗じて日本の体質批判が暗にされています。
ChatGPTがやってきたときにアメリカで起こったこと
ただ漠然と怖がったり嫌がったりして、「禁止」や「排除」 をしてしまう方がよっぽど危険
「批判」の文化がすべてをぶち壊しにする
失敗しても現場の心が砕かれない文化的素地が非常に重要
さいごに
私はこの本を本記事用に読み直しましたが、各章への散らし方など、ビジネス書にありがちな後半の尻すぼみもそこまで大きくなく、改めて良書だなと感じました。
エンジニアの思考という観点でいえば、重要なのはもちろん第1章ですが、日本式のお仕事批判も必ずすべてが正解ではないだろうとはいえ、しっかり受け止めないといけません。
そういう意味でもエンジニアはもちろん、エンジニア以外の人にも読んでもらって、日本式の仕事のあり方を見直す機会が日本中で生まれてくれたらなぁと思いました。
できることと、できないことがあると思いますが、できるかもしれないし、やったほうがいいと思うことは是非チャレンジしてみましょう。そういう一人一人の行動がこの国のIT文化をかえていくはずです☺️
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