無料でも使える!Avalonia Accelerate
はじめに
2025年10月、「Avalonia UI」の公式有料便利ツール「Avalonia Accelerate」に非商用無料ライセンス版が追加されました。
この記事では無料の範囲でできるようになったことを紹介します。
そもそも「Avalonia UI」って何?
- OSSで無料、クロスプラットフォーム、.NET向けUIフレームワーク
- WPFの「精神的続編 [1]」だけどモダンな技術使ってる
- 「Git Credential Manager[2]」「dotMemory [3]」「Plastic SCM [4]」などで採用
- 入門記事もあるよ!👇️
Avalonia Accelerateって何?
- Avalonia UIを開発する企業、AvaloniaUI OÜ社がリリースする 有料の 便利ツール&ライブラリ製品
- Avalonia UI自体は無料で使えるけど、お金を払うともっと便利に使えるよっていう感じ
- 今回ライセンス体系の更新が入り、非商用利用で無料で使えるCommunityライセンス版がでた
今回ライセンス体系の更新

- Avalonia Accelerate には Community, Business, Enterpriseのライセンスが存在します(2025年10月現在)
- 以前はCommunityライセンスはなく代わりにIndieライセンスがありましたが廃止されました
- Communityライセンスは非商用用途の無料ライセンスです
- また2025年10月から、有料ライセンスはサブスクから買い切り永続ライセンスに変更になりました
- ※ただし、アプデは1年間のみ
- 全般的にかなり導入しやすくなった感じです
有料版とCommunity版の違いは?

- コンポーネントは有料版のみ
- ※ただ探すとどれも似たようなOSSライブラリはある
- 付属ツールがLite版とPro版で違う
- サポートのありなし
- くわしい比較表
無料で何ができる?
Parcel Lite

- 各プラットフォーム向けのインストーラー作成ツール
- 今回のAccelerateのアプデの目玉
- Pro版じゃないとできないのはxplatパッケージング、CLI操作、コードサイン、MCPサーバー(!)
- 200MBまでのパッケージサイズ制限もあります
Dev Tools Lite

- デバッグビルドでF12で呼び出せる開発者ツールの強化版
- Avalonia UI本体付属のツールとの違いは「Style viewer」と見た目
- 売りの「3D layout view」は残念ながらPro版のみ
- Pro版のみ:ログ、イベント監視、アセットマネージャ、アプリオーバーレイ
Visual Studio Extension + Lite
- VS向け拡張
- 元々無料/OSSでリリースされてるVS向け拡張「Avalonia VS」とは別
- どちらも公式で無料なのでややこしい…
- 区別のためにこちらは「VS extension +」と表記されてる
- Lite版とPro版の違いは今はあまりない?
- 将来の新機能で差がつく予定らしい
- なお、Avalonia UI的には拡張なしで標準対応されてるRiderの方が推奨っぽい
やってみる
Communityライセンスを取得する
- Accelerateをつかうには Avalonia Portalのアカウントを作成する必要 があります
-
portal.avaloniaui.netにアクセスしてアカウントを作成する
- このアカウントはのちほどライセンス認証につかう
- Communityライセンスを取得しておいてください
- アカウントを作成し、ログインに成功すると、「Community Hub」にアクセスできます

ツールのインストール
- ParcelとDev Toolsは dotnet tools として配布されています。
- VS Extension+は VS Marketplace で配布 [5]されています
Parcel / Dev Tools
- dotnet toolsなので、
dotnet tool installコマンドでインストールできます。 - グローバルオプション(
--global)を付けておくのがオススメです - .NET9以前はプラットホームごとに別のものをインストールする必要があります。
//.NET10+
dotnet tool install --global AvaloniaUI.Parcel
//.NET9/8
dotnet tool install --global AvaloniaUI.Parcel.Windows
dotnet tool install --global AvaloniaUI.Parcel.macOS
dotnet tool install --global AvaloniaUI.Parcel.Linux
//.NET10+
dotnet tool install --global AvaloniaUI.DeveloperTools
//.NET9/8
dotnet tool install --global AvaloniaUI.DeveloperTools.Windows
dotnet tool install --global AvaloniaUI.DeveloperTools.macOS
dotnet tool install --global AvaloniaUI.DeveloperTools.Linux
また、Dev Toolsの場合は「AvaloniaUI.DiagnosticsSupport」パッケージ[6]を対象のアプリに追加し、Dev Toolsと連携できるようにしておきましょう。
dotnet add package AvaloniaUI.DiagnosticsSupport
VS Extension+

- VS Marketplaceでvsixが配布されているので他の拡張と同様インストールできます
- VS本体からもインストールできます
ツールを使う
Parcel 使い方
初回・ログイン認証
- Parcelは
parcelコマンドで起動できます- Pro版だとCLIオプションが色々使えます
- 初回起動時はログインフォームがでるので、最初に作成した Avalonia Portalアカウントでログインします
parcel --help
Description:
Package Avalonia apps for Windows, macOS, and Linux. Includes app signing and deployment of ready-to-install binaries to simplify distribution.
Usage:
parcel [command] [options]
Options:
-?, -h, --help Show help and usage information
--version Show version information
--license-key License key necessary to run Parcel. If unset, falls back to the "PARCEL_LICENSE_KEY" env variable, or existing app session.
-v, --verbosity <d|detailed|diag|diagnostic|m|minimal|n|normal|q|quiet> Set the verbosity level [default: Normal]
Commands:
pack <project> Builds and packs project according to the pre-defined settings and input parameters.
step Runs a specific step from the packaging process. Useful for debugging or customized packaging flow.
install-tools Downloads or updates tool dependencies necessary for the packaging configuration.
mcp Runs Model Context Protocol server, allowing to run Parcel commands from the LLM AI session.
Welcomeウィンドウ

- Parcelを開くとこのウィンドウが開きます
- Parcelは
.parcel拡張子の専用プロジェクトファイルがある- 保存するとここから再度開くことができます
- 新規の場合は「Create New Project」
- 押すと.NETのプロジェクトファイル(
*.csprojとか)を選択に進みます
- 押すと.NETのプロジェクトファイル(
設定ウィザード
- .NETのプロジェクトファイルを選択するとウィザードが開きます
- この設定はあとからでも設定可能
- 基本設定→プラットホーム設定→出力設定の順番
- Lite版は今のプラットホームのみ
- インストーラーはNSISが使われています
- Lite版は200MBまでの出力サイズ制限があります



設定ウィンドウ
- 保存済みParcelプロジェクトファイルを開くと以下のウィンドウに
- 色々な設定はここでまとめて変更可能

Dev Tools 使い方
初回・ログイン認証
- Parcelとはことなりコマンドで起動はしません
- アプリデバッグ中にF12キーを押して起動する形
- アプリごとに必要なこと
- デバッグ対象のアプリにnugetで
AvaloniaUI.DiagnosticsSupportでインストールが必要 - そのままF12を押すと デフォルトの旧版DevToolsが起動してしまう ので、コードに手を入れる必要あり
- デバッグ対象のアプリにnugetで
- 初回起動時はParcelと同じく、最初に作成した Avalonia Portalアカウントでログインが必要です
Avalonia.Diagnosticsを外す
- 旧版DevToolsは不要なのでcsproj等からコメントアウトや削除しておく。
手を入れるコード
以下のコードをデバッグ対象アプリに差し込む必要あり。
public override void Initialize()
{
AvaloniaXamlLoader.Load(this);
#if DEBUG
this.AttachDeveloperTools();
#endif
}
F12で起動する
| 新DevTools | 旧DevTools |
|---|---|
![]() |
![]() |
- 対象のアプリを実行時に、F12で呼び出す
- 新DevToolsの方(ウィンドウ名は
AvaloniaUI DeveloperTools)は見た目が一新 - 機能も色々追加されているが、Pro版用。Lite版では利用できない
- Lite版は旧DevToolsとあまり変わらない感じ
Debugビルドのみバイナリ含まれるようにする
Avalonia.Diagnosticsと同様の設定。
<PackageReference Include="AvaloniaUI.DiagnosticsSupport" Version="2.1.0"
>
<IncludeAssets Condition="'$(Configuration)' != 'Debug'">None</IncludeAssets>
<PrivateAssets Condition="'$(Configuration)' != 'Debug'">All</PrivateAssets>
</PackageReference>
Visual Studio Extension + 使い方
新しい「VS Extension +」はVS MarketplaceからDLすることができます。VS内部から追加可能。
ログイン
オプション>Avaloniaからログインフォームを呼び出せます。
まず最初にどのライセンスにするかを選びます。
無料のCommunity版を選んでください。
※有料版も30日間の体験版があります。

Avalonia Portalのアカウントを入力すると使用できます。

プレビュー

XAMLのプレビューができます。簡単な操作も可能。
旧VS拡張と機能的にはほぼ同じです。
パーツをD&Dで画面作成、みたいな機能はありません(「Reframe」という別ツールの計画があります。)
XAML
XAMLの色分け、コード補完、ツールチップ表示、定義ジャンプなどができます。
Lite版にはリファクタリング機能に一部の制限があるそうです。
便利ですが、Riderだと標準でできるので無料で使う分にはどちらがいいか、は難しいところ。
質問する
Avalonia AccelerateのCommunity版にはサポートはありません。
ですが、「Avalonia UI Community Hub」というコミュニティフォーラムがありこちらを利用することができます。
※github communityとは別
おまけ:無料で頑張る方法
Avalonia Accelerateの有料版には、Pro版のツールと便利なコントロールがついてきます。
これをなんとか無料で頑張る方法。
ツール代替
- Parcel Pro
- わかりやすいUIはないですが「Velopack」は有力な代替候補です
- 他に「PupNet-Deploy」、「NetSparkleUpdater」
- DevTools Pro
- Pro版の機能の代替は難しいかも…
- VS Extension+
-
Jetbrains RiderのCommunity版は無料で使え、VS Extension+相当が標準で対応です
- AvaloniaUI向け拡張は別にありますが、これがなくとも標準である程度対応しています
- プレビューは「AvantGarde」を使う方法もあります
-
Jetbrains RiderのCommunity版は無料で使え、VS Extension+相当が標準で対応です
- Reframe(未リリース)
- テスト的なプロジェクトは色々あるけど…
Control代替
有料Controlは品質とか使い勝手を考えなければ意外と代替ライブラリが無料で使えます。
- MediaPlayer
- WebView
- On Screen Keyboard
- 有料コントロールしかないかも…
- TreeDataGrid
- 旧版(v11.1.1)で頑張る
- SaGrid.Avalonia
- Markdown Renderer
- RichTextBox(未リリース)
- Printing(未リリース)
- HotReload(未リリース)


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