ノートを「知識」ではなく「思考」として扱う ── Zettelkastenという考え方
はじめに
本や動画、記事からたくさんインプットする
でも情報が積み上がるだけで、繋がらない
そして数日後、こう思う
「あれ…これ前にも学んだ気がするけど、どこに書いたっけ?」
この状況を何度も繰り返す中で、
どうすれば、インプットした内容を
思考として積み上げられるのかを考えるようになりました。
その中で「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」という手法に出会いました。
これは単なるノート術ではなく、
「思考そのものを育てるための仕組み」だと知り、
自分なりに理解を整理してみることにしました。
Zettelkasten(ツェッテルカステン)とは?
「思考のネットワークを育てていくための仕組み」として説明されています。
つまり、Zettelkastenは
「あとで見返すためのノート管理」ではなく、
「考え続けるための仕組み」です。
その中で扱われる、1つの「思考」を表す最小単位のノートを
「Zettel(ゼッテル)」と呼びます。
ノートは「知識」ではなく「思考」
Zettelkastenにおいて、以下の3つの特徴が挙げられています。
- It’s hyper-textual.
- It adheres to the Principle of Atomicity.
- It is personal.
出典:
ただ、これだけだと少し抽象的でイメージしづらかったので、
「ノートを書くときの行動」に落とすと、次のようになると解釈しました。
- 他のノートと接続されることを前提とする
- 一つのノートには一つのアイデアのみを書く
- 単体で完結させる必要はなく、他のノートと組み合わさって意味を持てばよい
重要なのは、「ノート同士の関係性」が思考を生むということです。
この考え方を前提にすると、
Zettelkasten では「1枚のノートをどう書くか」が重要になってきます。
Zettelkasten の構成
Zettelkasten では、1枚の Zettel が持つべき最小構成(Anatomy)として、
次の3つの要素が挙げられています。
- 固有ID:A unique identifier
- 本文:The body of the Zettel
- 参照:References
固有ID:A unique identifier
Zettelkastenでは、各 Zettel に一意で不変なIDを付与することが重要だとされています。
これは、Zettel同士を長期的に接続し続けるための前提条件です。
IDの付け方には、例えば次のような方法があります。
- 作成時刻を用いたID
- 任意のユニークな文字列
- タイトルをIDとして扱う方法
本文:The body of the Zettel
本文は、Zettelの中で最も重要な要素です。
多くの説明や例が挙げられていますが、
共通して強調されているのは 「必ず自分の言葉で書くこと」 です。
まずは、この原則を最優先で意識すれば十分だと思います。
自分の言葉で書く
コピペでは理解が深まりにくく、
一度自分の言葉に変換することで、
- 理解が進む
- 記憶として定着しやすくなる
といった効果があるとされています。
この点は、心理学における「Levels of Processing Model」とも関連しています。
参照:References
参照は、Zettel の下部(フッター)などに、
書籍・論文・Web記事・関連するZettelを残しておくための領域です。
必須ではありませんが、
後から思考の背景をたどれるようにするために、
必要に応じて記載しておくと役立ちます。
Zettel の具体例
文章だけだと少し抽象的なので、
実際の Zettel の例を見てみます。
以下の例では、
- 固有ID
- 本文
- 他の Zettel へのリンク
- 参照(References)
が、1枚の Zettel の中でどのように共存しているかが分かります。

接続
ここまでで、一枚の Zettel の書き方について整理してきました。
ただし、Zettelkasten は
1枚の Zettel をきれいに書くことではありません。
改めて強調されているのは、
「思考のネットワークを育てていくための仕組み」 であるという点。
そのため、Zettelkasten では、
新しく作った Zettel を既存の Zettel と接続していきます。
複数の Zettel をどうつなぐか
接続は1対1に限定する必要はなく、文脈に応じて自由に行ってよいとされています。
ただし重要なのは、単にリンクを張ることではなく、
「なぜこの2つが関係しているのか」 という意味です。
その理由を言葉として残すことで、
リンクそのものが新しい知識を生むとされています。
まとめ
Zettelkasten は、情報を集めて整理するための手法ではなく、
「思考を Zettel として分解し、それらを接続して育てていくための仕組み」です。
重要なのは、
- 自分の言葉で Zettel を書くこと
- Zettel 同士を「意味」をもってつなぐこと
まずは完璧を目指さず、
1枚の Zettel を書き、既存の Zettel とつないでみる。
そこから、Zettelkasten は動き始めます。
最後に
ここまで、Zettelkasten の考え方や
Zettel 一枚の書き方、接続の重要性について整理してきました。
この考え方を実践するためのツールはいくつもありますが、
自分はその中で Obsidian を使ってみることにしました。
Zettelkasten の思想を踏まえたうえで、Obsidian を使ってどう実践しているかも記事にしてみようと思います✍
参考文献
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