癖強ブラウザ徹底比較 - 2024年版
偏見ですが、エンジニアには癖の強い人が多い気がします。そんな癖が強いエンジニアたちには、癖が強いブラウザが必要なはずです。ということで、この記事ではほかのブラウザとは一味違ったブラウザたちを比較していこうと思います。
選定基準
まず本題に入る前に、癖の強いブラウザの選定基準を以下に示したいと思います。
- メジャーなブラウザではない。(シェア5%以下)
- メジャーなブラウザにはない機能が多く標準搭載されている。
- 操作方法がメジャーなブラウザとは違う。
- 自分がメインで使ったことがある。(比較するために重要!)
このように選定基準を示してみましたが、結構自分の主観で選んでいます。そもそもこの記事は全体的に自分の主観が大きく入っているので、参考程度にお願いします。
今回紹介するブラウザ
この記事で紹介するブラウザを、知らない人もいると思うので軽く特徴を説明します。
1. Opera
Operaはこれらのブラウザの中でも、最古のブラウザです。1995年からあり、過去にはニンテンドーDSや、Wiiなどのゲーム機などにも搭載されたブラウザです。現在でも根強いファンが多くおり、2021年時点で2.89%(StatCounter October 2021)のシェアがあります。ただ近年ユーザー数は低下傾向にあり、2016年には中国の奇虎360という会社に開発元のOpera Software ASAが買収されました。
2. Vivaldi
Vivaldiは2016年に安定板が公開された最近のブラウザです。先ほど紹介したOperaの元CEOが新しく作成したChromiumベースのブラウザです。特徴としてはかなり豊富な機能と、非常に細かいカスタマイズ項目で、まさにパワーユーザー向けです。Android版とiOS版も最近公開され、スマートフォンでも利用できます。
3. Sidekick
Sidekickは一言でいうと仕事用ブラウザで、多くの生産性を上げる機能が搭載されています。またパフォーマンス面でも、AIによるタブ一時停止機能、メモリ最適化機能などほかのブラウザにはない機能を備えています。ただ、一部の機能は有料版でないと使えないようになっています。
4. Floorp
Floorpは今回紹介するブラウザの中で唯一、Firefoxベースで開発されています。そのためメモリ使用量が多めですが、機能もそれなりにあります。一番の特徴は、日本の学生によって開発されているということです。また完全にオープンソースでプライバシー性も十分にあります。
Windows版が手に入ったら、Arcブラウザも追加する予定です。
パフォーマンス
では、一番最初にパフォーマンスの面からそれぞれのブラウザを比較していこうと思います。なお、検証に利用したパソコンのスペックは以下の通りです。
OS | Windows11 23H2 |
CPU | 12th Gen Intel(R) Core(TM) i3-1215U 1.20 GHz |
メモリ | 8.00GB |
レンダリング
まず、Speedometerをそれぞれのブラウザで実行してみます。参考用に同じ端末で実行したchromeのスコアも載せておきます。
※補足 スコアが高いほど速度が速いという意味です。
ブラウザ名 | スコア |
---|---|
Chrome | 209 ±11 |
Opera | 201 ±20 |
Vivaldi | 223 ±13 |
Sidekick | 167 ±9.4 |
Floorp | 120 ±8.3 |
メモリ使用量
次に、Youtube、Google News、Github、Yahoo、Google Mapの5つのサイトをプライベートタブで開いて1分間放置した後のメモリ使用量を計測しようと思います。参考用に同じ端末で実行したchromeのスコアも載せておきます。
ブラウザ名 | 開いた直後 | 1分後 |
---|---|---|
Chrome | 1270.0MB | 1254.5MB |
Opera | 1569.4MB | 1317.0MB |
Vivaldi | 1519.9MB | 1082.4MB |
Sidekick | 1256.9MB | 1055.3MB |
Floorp | 1747.3MB | 1579.2MB |
グラフにしてみる
これらのデータをグラフにしたものが次になります。
グラフを見るとレンダリング速度は、Vivaldiが最速ということがわかります。とはいっても、chrome、vivaldi、operaで大差はなく、sidekick、Floorpの二つのブラウザのスコアが低めだということがわかります。
メモリ使用量に関してみると、Floorpは全体的に多めで、Sidekickは1分後に大きく減っていることが確認できます。Vivaldiも直後はメモリ使用料が大きい部類に入っていましたが、1分後はすべてのブラウザのなかで一番大きくメモリ使用量が減っています。
2つのデータを通してみると、Vivaldiは全体的に軽く、Floorpは重い傾向があり、Operaは特段重いわけではないが、軽いわけでもなく、Sidekickはメモリに関しては軽いが描画に関しては重めということがわかります。
機能
次に機能の点で比較しようと思います。
主要機能一覧表
主な機能に関してそれぞれのブラウザに搭載されているか、表にしました。参考にChromeも入れています。
機能名 | Chrome | Opera | Vivaldi | Sidekick | Floorp |
---|---|---|---|---|---|
広告ブロック | × | ○ | ○ | ○ | × |
サイドバー | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
タブグループ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
垂直タブ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
画面分割 | × | × | ○ | ○ | ○ |
ワークスペース | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
メモ | × | ○ | ○ | × | ○ |
翻訳 | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
AIアシスタント | × | ○ | × | × | × |
拡張機能 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
モバイルブラウザ | ○ | ○ | ○ | × | × |
アカウント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※2024年2月現在
機能に関して総評
1. Opera
Operaブラウザは全体的にそこまで機能が多いわけではありませんが、必要な機能はそれなりにそろっています。
サイドバーにカスタムでサイトを追加することはできないもの、基本的なSNSを閲覧することができ、AIアシスタントを使え、音楽も再生することができます。また、Operaは独自のアドオンストアを持っており、このアドオンストアとChromeウェブストア両方から拡張機能を入れることが絵できます。中にはサイドバーに追加できる拡張機能もあります。
最近のアップデートで、デザインが一新されたほか、AI関連の機能も追加されました。ブラウザAIといえばEdgeのイメージが強いと思いますが、Operaも一つの候補です。ただ、Edgeと比べるとま
だ物足りないところが大きいです。
ほかにも、Opera Walletや無料のVPNなどの機能が存在します。
2. Vivaldi
Vivaldiの機能は非常に独特で、さらにカスタマイズ項目も豊富です。
これは設定画面ですが、かなり多くの設定項目があることがわかります。
ユーザーは、例えばブラウザのショートカットキー、タブの位置など、機能やデザインをかなり細かいところまで設定できます。中にはCSSでブラウザの見た目をカスタマイズする機能まであります。
サイドバーに注目するとよくある、ブックマークや履歴、ダウンロードパネルに加えて、メモ、翻訳、セッション、メール、カレンダー、RSSフィードなど独自の機能を多く備えており、カスタムのサイトを登録することもできます。
ほかにも、Macにあるスポットライト検索みたいなものでコマンドを実行したり、カスタムのコマンドを登録したり、マウスジェスチャーを使えたりと、他のブラウザに比べ、機能面で一線を画しています。
ただ、一つ残念なのはデフォルトの翻訳機能の精度が悪いことです。これに関して自分は拡張機能を入れることで、一旦解決させています。
3. Sidekick
Sidekickブラウザには、仕事の生産性を上げることができるような便利な独自機能が多くそろっています。例えば、先ほどVivaldiの項で述べた「Macにあるスポットライト検索みたいなもの」はSidekickにも存在します。ブラウザ内蔵のタスク管理機能では、ポロモードタイマーのようなことができますし、集中力を阻害するようなサイト(自分で設定できる)をブロックしたり、カレンダーと連携して通知を受け取ることもできます。
サイドバーには自分でサイトを好きなように追加することができ、一部のサイトはSidekickと連携して便利なことがいろいろとできます。人によっては一つのサービスに複数のアカウントを持っていて切り替えが面倒という方もいるかもしれませんが、Sidekickなら切り替えもスムーズにすることができます。
このように、生産性を高めたい人に必要な機能がすべてそろったブラウザなのではないでしょうか。
4. Floorp
Floorpは全体的に発展途上のブラウザという印象を受けます。発展途上とはいえ、メインブラウザにしていた一年前と比べて機能は格段に増えています。
まずサイドバーから見ていくとブラウザマネージャーツール(ブックマーク、履歴、ダウンロードをひとまとめにしたもの)、ブックマーク、履歴、ダウンロードなど基本的な機能のほか、驚いたことにメモ機能がついていました。(1年前はなかった気がする)また、カスタムでサイトを登録することもできます。
タブ管理機能については、タブグループが実装されていない分ほかのブラウザに劣るところはありますが、ワークスペースや垂直タブ機能、そして多段タブ機能があります。
面白いと感じたのはブラウザの外観を大きく変える機能で、この機能を使ってFirefox風にしたり、一昔前のFirefox風(デフォルト)、Chromium風、Microsoft Edge風など、デザインを大きく変えることができます。
まだ発展途上で、機能も多くは充実していない上に、動作も安定していませんが、これからに期待できるブラウザだと思います。
まとめ
ここまで、4つのブラウザをパフォーマンスと機能の観点から比べてみました。ブラウザは毎日使うソフトウェアなので、「シンプルなほうがいい」や「多機能のほうがいい」など人によって意見が異なるのではないかと思いますが、ぜひこの機会に癖の強いブラウザを使ってみてください。ちなみに筆者のメインはVivaldiです。
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最後に宣伝です。個人でゲームサイトを開発しているのでよかったら見ていってください。
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