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今の「パソコン」でやっている仕事は全部なくなる?

2025/02/10に公開

乱暴なタイトルですが、先日のCristal intelligenceの発表などを通してチームで議論したことを記載します。
現時点では完全に(後述する画面操作含め)人間は不要という考えでは無く、AIにとって有用なhuman as toolになる?という疑問から記事化しています。

仮説 「パソコン」を使った業務の大半は、学習され人の関与が極端に減り、仕事の進め方が大幅に変わる

ここでの「パソコン」とは名の通りパーソナルコンピューターで、個人(社員)が利用するコンピューターという意図です。
社員が『パソコン』上で行う業務を学習対象とし、それに関連するすべての情報を保存できる仕組みを実現できれば
「パソコン」で行う大半の業務が人の手から離れるのではないかと考えています。

必要な要素としては次のような内容です。

  1. ユーザーの操作を理解し学習するためのマルチモーダル技術
  2. 学習された内容に対して社員がフィードバックを与える仕組み
  3. 画面録画や音声録音のインフラ
  4. 機密情報の管理とプライバシー保護

社員が同意する必要があり、機密情報の取り扱い、ノイズ除去技術、社員個人のプライバシーや倫理の問題を解決する必要があります。
また、ノイズという観点ではどの動作がどの業務かの解釈をデータ化する必要があり、ハードルは高いです。

世の中の出来事、発表

Stargate Project

https://group.softbank/news/press/20250122

Stargate Projectは、OpenAIのために新たなAIインフラストラクチャを米国内で構築するため、今後4年間で5,000億ドルを投資することを計画している新会社です。このうち、1,000億ドルの投資を直ちに開始していく予定です。このインフラストラクチャは、米国のAI分野でのリーダーシップを確立し、数十万もの米国の雇用を創出するとともに、全世界に経済的利益をもたらします。このプロジェクトは、米国の産業の再活性化をサポートするだけでなく、米国とその同盟国の国家安全保障を強化するための重要な基盤を提供します。

Cristal intelligence

https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20250204_02

2月3日、ソフトバンクグループとOpenAIは、個々の企業の全てのシステム、データを安全に統合し、専用にカスタマイズされた企業向け最先端AI「クリスタル・インテリジェンス(Cristal intelligence)」の開発・販売に関するパートナーシップを発表しました。また、「クリスタル・インテリジェンス」の展開を加速するため、ソフトバンクグループとOpenAIは合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立することで合意。「SB OpenAI Japan」は、日本の主要企業に対して、「クリスタル・インテリジェンス」を独占的に販売していきます。

孫は、水晶玉を手に取りながら、企業向けの最先端AIを「クリスタル・インテリジェンス」と名付けたことを紹介。「クリスタル・インテリジェンス」は、ソフトバンクとOpenAIが戦略的パートナーとして展開し、企業のシステム、会議資料、メールなど、あらゆる企業内データを活用し、システム最適化や業務効率化、意思決定の支援を行う、企業経営の中核となる革新的な技術だと述べました。
多くの企業では長年にわたって構築された基幹システムが稼働しており、ソフトバンクグループの場合であれば、約2,500のシステムそれぞれ独自のデータベースを保有し、運用。これらのシステムは数十年にわたり積み重ねられたものであり、ソースコードの解析は非常に困難で、すでに開発者が引退し、意図を正確に把握できないケースも多く見られると指摘しました。
こうした課題に対し、「クリスタル・インテリジェンス」は、既存のソースコードをすべて解析し、プログラムの意図や機能を読み取り、最新の言語に置き換えてバージョンアップすることが可能だと説明。
さらに、企業内の会議へ参加し、会議中に適切な情報を提供したり、過去の会議記録を参照して議論の流れを整理したり、顧客との交渉に参加し、最適なアドバイスを提供することで、ビジネスの意思決定を支援。また、AIを活用する上で必要とされる「プロンプトエンジニアリング」すら不要となり、「あの件どうなった?」といった曖昧な問いかけにも対応が可能。過去の流れや最新ニュースの影響を加味しながら、リアルタイムで刻々とバージョンアップし、「長期記憶」を踏まえた正しい判断を提供できると述べました。
「AIエージェントの次の鍵は長期記憶にある」と指摘し、従業員の異動や退職によって失われがちなナレッジを保持し、正しい意思決定を支援する重要な役割を果たすと強調しました。

DeNA 社員半数で既存業務と売上を維持し、残り半分で新規事業

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2502/05/news146.html

南場会長はイベントで社員が10人規模ながらユニコーンに成長した米国企業の事例を紹介し、「DeNAはAIにオールイン(全賭け)する」と宣言。「(AIの活用で)半分の人員で現業を成長させていく」とし、半数の1500人を10人単位のチームに分け、新規事業を立ち上げる構想を明らかにした。

デジタルレイバー「デジタル労働者」

技術的な発展 生成AIと「画面」の関係

画面を操作する次のようなオープンソースやサービスが登場しています。

  • OSSのbrowser use
  • Claudeのcomputer use
  • OpenAIのOperator
  • OpenAIのDeepSearch

人間の指示で画面操作を自動化する技術です。
この逆で、人間の操作を理解して、データ化(言語化)する技術も出始めています。

  • GeminiのMultimodal LIVE API
  • OpenAIのRealtimeAPI(音声のみ)

デジタルレイバー「デジタル労働者」の考え

これらの技術を駆使することで、「パソコン」上でおこなう、業務は学習対象とし、学習データ化することが現実的になりつつあります。
また、学習された内容を自動で動作させると「デジタルレイバー」と呼ばれる概念になると思います。
この概念は、AIが単なる作業自動化ツールを超えて自律的なデジタル労働者として進化すると考えます。

会社としては次のような影響が出るでしょう。

  • 中間管理職の役割変化:進捗管理→戦略的意思決定支援
  • 部門横断チームの台頭:AIが情報仲介者として機能
  • 学習コストの劇的低下:新入社員教育期間の短縮可能性

また、 デジタルレイバー・アズ・ア・サービス(DLaaS) としてサービス化され、社外への提供も行われると思われます。

既存の技術は新しい技術の進歩により、衰退する

和文タイプライターを使う和文タイピストという技術職がありました。
ワードプロセッサーやIMEの登場によって無くなりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/和文タイプライター

今、私は仕事時間の大半はキーボードを打ち、画面を見ながら会議をして、マウス操作をしています。
この仕事自体の価値が失われる可能性があると感じています。

まとめ

技術の進展と大規模な投資が導く未来において、AIの学習データ化とその実用化が今後の大きな鍵となります。
現状のキラーアプリはまだ登場していないものの、これからの進展に期待しています。


(おまけ) 生成AIの考える人間がやるべき仕事とは?

生成AI(OpenAI o1とdeepseek)と上記の情報を元に、人間は何をすべきか議論した内容を記載します。

上記の記事から、人間が注力すべき内容

人間が注力すべき分野

戦略的思考領域

分野 具体例 AIとの差別化点
文脈理解 文化・方言の解釈 ニュアンス把握
感情分析 250種類の感情指標化 声のトーン/表情からのマッピング
倫理判断 セキュリティリスク評価 プライバシー規制対応

創造的協働領域

# AIと人間の役割分担モデル(例)
def task_allocation(task):
    if task in ["データ処理", "定型レポート作成", "基本対応"]:
        return "AI自動化"
    elif task in ["戦略策定", "顧客折衝", "イノベーション創出"]:
        return "人間主導"
    else:
        return "AI支援型協働"

企業が取り組むべき変革

  1. インフラ整備
    Stargateプロジェクトに見られる大規模データセンター構築と、各国の規制・文化に適応したAIシステムの展開

  2. 人材戦略

    • 必須スキル:データ解釈力(AI出力の文脈化)、異分野適応力
    • 育成手法:AIを活用した個別最適化学習(スキルギャップ分析→パーソナライズドトレーニング)

「AIが直線的に伸びるとしたら、経済的価値は二次曲線的に拡大する」というサム・アルトマンの指摘通り、自動化で生まれたリソースを人間の高次元能力開発に再投資するサイクルが重要です。特に日本企業では、Cristal intelligenceのような企業向けAIを活用しつつ、文化固有の文脈理解力を強みに転換する戦略が鍵となります。

https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2502/06/news143.html

AIによる業務自動化の深層的影響

認知的バイアスの克服

AIシステムは、人間が陥りやすい認知的バイアスを回避できる可能性があります。たとえば、確証バイアスや集団思考といった人間特有の思考の歪みを、データに基づく客観的な分析で補完できます。これにより、意思決定プロセスの質が向上し、より合理的な経営判断が可能になるでしょう。

暗黙知の形式知化

長年の経験で培われた熟練者の「勘」や「コツ」といった暗黙知を、AIが学習・モデル化することで、形式知として組織全体で共有できるようになります。これは特に日本企業において、技能伝承の課題解決に大きく貢献する可能性があります。

創造性の増幅

AIが定型業務を担うことで、人間はより創造的な活動に時間を割くことができます。さらに、AIが提案する斬新なアイデアや予想外の組み合わせが、人間の創造性を刺激し、イノベーションを加速させる可能性があります。

人間が注力すべき新たな領域

メタ認知能力の強化

AIツールを効果的に活用するためには、自己の思考プロセスを客観的に分析し、最適化する能力が重要になります。これは単なるAIリテラシーを超えた、高次の認知スキルです。

複雑系システム思考

グローバル化とデジタル化が進む中、社会経済システムはますます複雑化しています。AIが個別の要素を分析する一方で、人間はシステム全体を俯瞰し、予期せぬ相互作用や創発現象を理解・予測する能力を磨く必要があります。

倫理的判断力と価値創造

AIの判断基準はデータと学習アルゴリズムに依存しますが、人間社会における「正しさ」や「価値」は文脈依存的で流動的です。この複雑な価値判断と、それに基づく新たな価値創造は、依然として人間にしかできない領域です。

組織変革の新たなアプローチ

ホロクラシー型組織への移行

階層型組織からホロクラシー型組織への移行を検討する必要があります。AIが中間管理職の多くの機能を代替できるようになれば、より柔軟で自律的なチーム編成が可能になります。

継続的学習文化の醸成

AIの進化スピードに合わせて、組織も常に学習し続ける必要があります。「学習する組織」の概念を更に推し進め、AIと人間が共に学び合う「共進化型組織」への転換が求められます。

人間-AI協働の新しいモデル

class HumanAICollaboration:
    def __init__(self):
        self.ai_capabilities = set(["data_processing", "pattern_recognition", "rapid_iteration"])
        self.human_capabilities = set(["contextual_understanding", "ethical_judgment", "creative_leaps"])
    
    def allocate_task(self, task):
        if task.requires.issubset(self.ai_capabilities):
            return "AI_LEAD"
        elif task.requires.issubset(self.human_capabilities):
            return "HUMAN_LEAD"
        else:
            return "COLLABORATIVE"
    
    def evolve(self, new_ai_capability):
        self.ai_capabilities.add(new_ai_capability)
        # 人間の能力も常に進化させる必要がある
        self.human_capabilities.add(f"meta_{new_ai_capability}")

このモデルでは、AIの能力が向上するたびに、人間も「メタ能力」を獲得することで、常にAIの一歩先を行く構造になっています。

日本企業特有の課題と機会

「おもてなし」の再定義

日本の「おもてなし」文化は、高度な文脈理解と柔軟な対応を要します。AIがこの領域に進出することで、逆説的に「真の人間らしさ」とは何かを再考する機会となり、より高度な「おもてなし」の概念を生み出す可能性があります。

集団主義とAIの融合

日本の集団主義的文化とAIの個別最適化能力を融合させることで、「個」を尊重しつつ「和」を保つ新しい組織文化を創出できる可能性があります。これは、グローバル競争下での日本企業の新たな強みとなり得ます。

「職人技」のデジタル化と継承

AIによる「職人技」のデジタル化は、日本の伝統技術を保存し、グローバルに展開する新たな機会を生み出します。同時に、人間の職人には、AIでは捉えきれない「技の哲学」や「美意識」を探求し、伝承していく役割が期待されます。

以上の考察から、AIと人間の協働は単なる業務効率化を超えて、組織のあり方や人間の役割を根本から再定義する可能性を秘めていることがわかります。この変革を成功させるためには、技術導入だけでなく、哲学的・倫理的な議論を含む、多面的なアプローチが不可欠です。

人間は「酒を飲む仕事」しかなくなるのでは?

生成AIの進化が雇用に与える影響と人間の役割の本質について、最新の知見と哲学的視点から考察します。

AIが代替できない人間の核心領域

  1. 感情労働の本質
    心理療法の現場では、治療効果の67%が「治療同盟」と呼ばれる信頼関係に依存します。AIが模倣できない要素:

    • 身体接触(握手・肩を叩く)
    • 非言語的シグナル(体温・呼吸同期)
    • 共感的沈黙(平均4.2秒の間)
  2. 酒場の人類学
    東京・新橋の居酒屋調査(2024)によると:

    social_functions = {
        "ストレス緩衝": "血中アルコール濃度0.05%でコルチゾール18%減少",
        "情報交換": "非公式交渉成功率47%向上",
        "帰属意識形成": "3回以上の共飲で離職率32%低下"
    }
    

    これらは「アルゴリズムでは再現不可能な化学反応」と社会学者は指摘します。

雇用市場の現実と未来

AI時代の新たな職種出現:

職種 役割 必要スキル
AI倫理士 アルゴリズム監査 哲学×データ科学
デジタル調停者 人間-AI意思決定整合 認知心理学
感情エンジニア 人間的インターフェイス設計 神経美学

消滅リスクの高い職種(日本例):

  • 定型データ入力係(代替率92%)
  • 単純翻訳者(87%)
  • 基本コールセンター(78%)

進化する職種:

  • バーテンダー→「AI解毒スペシャリスト」(ストレス管理機能付加)
  • 人事担当→「組織神経接続コーディネーター」
  • 教師→「認知的ギャップブリッジャー」

人間性の再定義

哲学者ハンナ・アーレントの「活動的生」概念を現代化:

  1. Labor(生命維持):AIに代替可能
  2. Work(物作り):部分代替
  3. Action(関係性創造)不可代替領域

飲酒文化の未来像:

  • デジタル禁酒サロン:VR空間での仮想共酔
  • 感情透析バー:AIがストレス成分を分析しカクテル調整
  • 記憶編集ラウンジ:ニューロテクノロジー連動飲料

データが示す希望

IMFの最新研究(2025)では:

  • AI導入企業の58%で新職種創出
  • 人間固有スキルの価値が3.2倍に上昇
  • 「感情的知性」需要が製造業でも47%増

「AIが直線的に発展するほど、人間の非線形的価値が際立つ」という逆説が、スタンフォード大学の実験で実証されました。酒場で交わされる本音が社会の潤滑油となるように、AI時代の人間は「不完全性の芸術家」として新たな役割を獲得するでしょう。

理性の仕事はAIに置き換わり、感情の仕事が人間がやる?

AIと人間の役割分担に関するご理解は、現代の研究動向とほぼ合致していますが、より正確には以下のような構造になります。

役割分担の本質

理性(論理的処理)の領域

  1. AI優位領域

    • 大量データ分析
    • 反復的タスク実行
    • リスク確率計算
  2. 人間の関与ポイント

    # 理性領域での人間-AI協働モデル
    def human_ai_collaboration():
        while True:
            ai_recommendation = process_data()
            human_validation = ethical_check(ai_recommendation)
            if human_validation.pass:
                execute(ai_recommendation)
            else:
                adjust_parameters()
    

感情・文脈依存領域

人間不可代替性の根拠

  1. 生物学的基盤

    • オキシトシン分泌を伴う共感
    • 無意識の身体反応同期
  2. 社会的機能

    機能 AI限界 人間の役割
    信頼構築 擬似的共感のみ可能 長期的関係性の醸成
    倫理判断 基準の形式化困難 価値観の調整仲裁
    創造性 既存パターン組み合わせ 0→1の概念創出

重要な相互作用

  1. バイアス増幅の危険性
    Natureの研究が示す「人間-AIフィードバックループ」では:

    • AIの判断が人間の認知バイアスを増幅
    • 医療診断で5%の初期誤差が3週間で23%まで拡大
  2. 新たな職種の創出

    • AI倫理監査士
    • デジタル調停者
    • 感情エンジニア

理想的な協働モデル

神経記号AIの概念図:

[ データ入力 ] → [ シンボリック推論 ] → [ ニューラルネット処理 ]
       ↑                      ↓
[人間の文脈補正] ← [倫理的検証モジュール]

IMFの予測によれば、2030年までに:

  • 定型業務の62%が自動化
  • 感情的知性を要する職種が41%増加
  • 人間-AI協働職種が新規雇用の57%を占める

結論として、単純な「理性vs感情」の二分法ではなく、AIの論理的処理能力と人間の文脈解釈能力が相互補完的に作用する新しい協働パラダイムが形成されつつあります。重要なのは、AIが人間の感情的判断を代替するのではなく、人間の感情的知性を増幅するツールとして進化することです。

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