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Yu Gothic UIに text-spacing-trim を適用するとバグる

いなにわうどんいなにわうどん

以下のツイートを見て、自分の環境でも再現したので気になって調べてみた。
https://twitter.com/kyoto_inaniwa/status/1772134366921322502

現象

text-spacing-trim プロパティを Yu Gothic UI のテキストに適用すると、一部の括弧類が重なってしまう。これは値に space-all を設定すると解消される。

gushwellgushwell

情報、ありがとうございます。同じ現象で悩んでいました。

いなにわうどんいなにわうどん

halt と hmtx を見る

Windows に標準搭載される Yu Gothic UI や游ゴシックには、GPOS テーブルに halt 機能タグが含まれている。
halt 機能タグの正式名称は「字幅半角メトリクス」であり、全角の約物を半角として扱う際などに位置を補正する役割を持つ。text-spacing-trim プロパティの実装においても、この halt の値を見て文字詰めを決定している。

TTX(fontTools が提供する解析ツール)を用いて、Yu Gothic UI/游ゴシック の halt と hmtx(水平方向のレイアウト情報)を値をダンプしてみる。

ttx -t GPOS YuGothicUI-Regular.ttf
ttx -t GPOS YuGothic-Medium.ttf
ttx -t hmtx YuGothicUI-Regular.ttf
ttx -t hmtx YuGothic-Medium.ttf

結果は以下の通り。width はグリフの幅を、lsb は left side bearing(原点からグリフの左端までの距離)を表している。このあたりの説明は hhea, hmtx テーブル に詳しい記載がある。

Yu Gothic UI

文字 Unicode GlyphName XAdvance width lsb 重なるか
u+300d uni300d -1024 1024 72 o
u+300f uni300f -1024 1024 68 o
u+3011 uni3011 -1024 1024 57 o
u+3009 angleright -1024 1024 61 o
u+ff09 uniff09 -1024 2048 92 x
u+ff3d uniff3d -1024 2048 103 x

游ゴシック

文字 Unicode GlyphName XAdvance width lsb 重なるか
u+300d uni300d -1024 2048 102 x
u+300f uni300f -1024 2048 92 x
u+3011 uni3011 -1024 2048 88 x
u+3009 angleright -1024 2048 92 x
u+ff09 uniff09 -1024 2048 103 x
u+ff3d uniff3d -1024 2048 103 x

結果を見ると、以下のことが解る。

  • Yu Gothic UI と游ゴシックで、XAdvance は完全一致(この他に xPlacement の値も一致)
  • Yu Gothic UI の一部グリフでは、width が游ゴシック(2048)の半分(1024)に設定されている
    • これらのグリフは、text-spacing-trim を設定した際に重なったグリフと一致
いなにわうどんいなにわうどん

考察

Yu Gothic UI はUI 用フォントであることから鍵括弧等を半角に設定したものの、halt 機能タグの情報は游ゴシックからコピってきた *1 ため、今回のような現象が起こったのではないか?と推測。

なお、font-feature-settings: "halt" を設定した場合(下図)も同様に表示がバグっているため、これが原因とみて間違いなさそう。

*1 そもそも、Yu Gothic UI と游ゴシックは同一のフォントファイル(ttc)であり、一部のテーブルを共有している

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