やはりSSDにも特性があるのねという話
ビルドPCで使用していたSSDの空き容量が心もとなくなってきたので、より大容量のものに変更することにしました。
もともと使用していたのはWDS500G3X0C、いわゆるWD Black SN750です。
新しく購入するSSDを何にするかは迷いましたが、Amazonのブラックフライデーで安かったのでEXCERIA PLUS G2の1TBモデルにしました。
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
使用前にベンチマークを取ってみたところ、全く速くなくて驚愕しました。ベンチマークはUbuntu 22.04 LTSの「ディスク」で実行しました。まっさらなストレージじゃないと読み込み書き込み両方のテストができないのでちょっと面倒なのですが……。
3回テストを行い、3回目の結果を掲載していきます。今後も同様です。
いちおうカタログスペックではシーケンシャルリードが3.4GB/s、シーケンシャルライトが3.2GB/sとなっていますが、リードはさておきライトはかけ離れた結果となっています。マジかよ。
そもそもサンプルサイズ10MiBの結果が壊滅的で、小さいファイルの書き込みがめちゃくちゃ多いビルドPCには全く適していないことがわかります。
経験的にビルド時間はストレージの速さには依存しないというのはわかっていますが、ここまで桁違いに遅いと流石に影響が出るのでは……? と思って試してみたところ、いつも90分くらいで終わるChromiumのビルドが120分くらいかかっていました。ダメじゃん。
WD Black SN750
じゃあBlack SN750はどんな感じだったのかと、改めてベンチマークを計測するとこんな感じでした。
カタログスペックはシーケンシャルリードが3.4GB/s、シーケンシャルライトが2.6GB/sとのことです。サンプルサイズが10MiBだとそれに近い数値になっているので、小さいファイルの書き込みには強そうなことがわかります。まさにビルドPCにぴったりですね。
他の結果はこれまた壊滅的ですが、サンプルサイズが大きくなると遅くなるのはむしろ当然かなと思います。むしろ全く逆のEXCERIA PLUS G2のほうが珍しいのでは。
WD Blue SN550
キオクシアとWDのNANDの特性に大きな差があることは考えにくいので、コントローラーの影響か……? と思って手持ちの他のSSDでも計測してみることにしました。
まずはWDS500G2B0Cです。DeskMeetに接続していたものの、バックアップを取得した上でまっさらにしてベンチマークを実行しました。ありがとうClonezilla。
結果が英語なのは、DeskMeetに接続したままでUbuntu 22.04 LTSをUSBブートし、まっさらにしてから測定したからです。
カタログスペックではシーケンシャルリードが2.4GB/s、シーケンシャルライトが約2.0GB/sとのことで、まずまずといったところです。サンプルサイズ500MBはもう少し頑張って欲しいところですが、キャッシュの影響でしょうか。廉価版の性ですね。それでもSN550に交換してもいいかなとは実は思いました。
KIOXIA EXCERIA G2
うちにストックしてあるEXCERIA G2の500GBモデルだとどうなるのかも気になってベンチマークを実行しました。型番からもわかるとおりEXCERIA PLUS G2の下位モデルです。
すみません、これだけサンプルサイズが10MiBの結果は2回目のものを使用しています。3回取り忘れました。
カタログスペックではシーケンシャルリードが2.1GB/s、シーケンシャルライトは1.7GB/sとなっています。シーケンシャルリードに関しては大幅に上回っていますね。シーケンシャルライトに関しては壊滅的ですが、やはりEXCERIA PLUS G2よりは劣るなという感じです。ただこのぐらいの速度差だと体験できるほどの差はない気もしますけど。EXCERIA PLUS G2の存在感って一体。
WD Black SN770
さすがにEXCERIA PLUS G2を使い続けるわけにはいかないので、別なものを購入するか、あるいはWD Blue SN550を使用するか悩みましたが、SN770の1TBモデルが比較的安価(1万円以下)で手に入るようだったので、思い切って買ってみました。初めてのPCIe 4.0対応NVMe SSDです。どのぐらい速度差があるのか楽しみですね。
いやこれ1万円以下で売ってはいけないSSDなのでは……。カタログスペックだとシーケンシャルリードはは約5.1GB/s、シーケンシャルライトは4.9GB/sということで、前者はカタログスペックを上回っているやん(驚愕)。後者もサンプルサイズをもう少し大きくしたらカタログスペックに近づく気がします。恐ろしいSSDや……。
とにかくベンチマークの結果が出るまでの待ち時間が短いんですよね。本物やぞこれ。
ちなみにChromiumのビルドをしてみたら90分弱くらいに戻っていました。めでたしめでたしというのと、ビルド時間はストレージの速さには依存しないという仮説の実証にもなりました。
まとめ
長いのでまとめると、
- 大きなファイルをたくさん書き込むならキオクシア
- 小さなファイルをたくさん書き込むならWD
- ただしWDのハイエンドはオールラウンダー
となります。
厳密にはWDのハイエンドはSN850ではありますが、高速なモデルは排熱もしなきゃいけないということでなかなかに扱いが難しいのですよね……いえSN850はどうなのか知らないので一般論ですけど。
普通に考えると大きなファイルを書き込む機会より小さなファイルを書き込む機会の方が多いと思うのですが、キオクシアはどういう意図で大きなファイルの書き込みに特化しているのでしょうね……。まさかベンチマーク対策でもあるまいに。
というわけで、例えば写真(RAW)の現像にはキオクシアのSSDがいいかもしれませんが、ビルドPCにはWDのSSDが合っているということを1万円くらいの負担で知ったということでした。
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