React Router v7 / TanStack Router x File-Based / Code-Based 4パターン実装比較
React Router v7 / TanStack Router x File-Based / Code-Based 4パターン実装比較
モダンなReactアプリケーションにおけるルーティングの選択は、プロジェクトの成功を左右する重要な決定の一つです。本記事では、React Router v7とTanStack Routerを、File-Based RoutingとCode-Based Routingの両観点から実装・比較した結果をご紹介します。
※ 本記事は、実際に4つの実装パターンを比較検証した結果をもとに、AIの支援を受けて作成されています。
※ 検証用リポジトリ: https://github.com/suguruTakahashi-1234/router-learning
🎯 エグゼクティブサマリー
検証結果から見えた傾向
型安全性と開発効率のバランスを考慮すると、多くのケースで4️⃣ TanStack Router + File-Based Routingの組み合わせが優れた選択肢となることがわかりました。ただし、プロジェクトの特性やチームの状況によっては、他の選択肢がより適している場合もあります。
4つの実装アプローチ
組み合わせ | フレームワーク | ルーティング方式 | 適している用途 |
---|---|---|---|
1️⃣ Option 1 | React Router v7 | Code-Based Routing | 小規模プロジェクト、学習用途 |
2️⃣ Option 2 | React Router v7 | File-Based Routing | 中規模プロジェクト、Remix移行予定 |
3️⃣ Option 3 | TanStack Router | Code-Based Routing | 既存プロジェクトへの段階的導入 |
4️⃣ Option 4 | TanStack Router | File-Based Routing | 新規プロジェクト、大規模開発 |
📚 基礎概念:ルーティング方式の理解
File-Based Routing vs Code-Based Routing
🗂️ File-Based Routing(ファイルベースルーティング)
ファイルシステムの構造からルートを自動生成する方式です。
メリット:
- ✅ ファイル作成だけでルート追加が可能
- ✅ ディレクトリ構造でルート構成が視覚的に把握できる
- ✅ 自動的なコード分割により、パフォーマンスが向上
- ✅ リファクタリング時の作業が簡略化される
デメリット:
- ❌ 複雑な条件付きルートの実装に制約がある
- ❌ 初期設定にやや手間がかかる
- ❌ フレームワーク固有の命名規則を学ぶ必要がある
💻 Code-Based Routing(コードベースルーティング)
JavaScriptコードで明示的にルートを定義する従来型の方式です。
メリット:
- ✅ 完全な制御と高い柔軟性
- ✅ 条件付きルートの実装が容易
- ✅ 既存プロジェクトへの導入ハードルが低い
- ✅ 動的なルート生成に対応しやすい
デメリット:
- ❌ ボイラープレートコードが増えやすい
- ❌ ルート構造の全体像が把握しづらい
- ❌ コード分割を手動で設定する必要がある
- ❌ リファクタリング時の手間が大きい
ディレクトリ構造の比較
File-Based Routing の構造例
React Router(フラット構造):
src/routes/
├── _index.tsx # / (ホーム)
├── posts.$id.tsx # /posts/:id
├── posts.$id_.edit.tsx # /posts/:id/edit
└── posts.new.tsx # /posts/new
TanStack Router(ネスト構造):
src/routes/
├── __root.tsx # ルートレイアウト
├── index.tsx # / (ホーム)
└── posts/
├── $postId/
│ ├── index.tsx # /posts/:postId
│ └── edit.tsx # /posts/:postId/edit
└── new.tsx # /posts/new
Code-Based Routing の構造例
両フレームワーク共通:
src/
├── App.tsx / router.tsx # ルート定義
├── pages/ # ページコンポーネント
├── layouts/ # レイアウト
└── components/ # 共通コンポーネント
🔄 フレームワーク比較:React Router vs TanStack Router
🔒 型安全性における違い
実装を通じて、両フレームワークの型安全性には明確な違いがあることがわかりました。
React Router の特徴
// 手動での型定義が必要
const { id } = useParams<{ id: string }>();
// idがundefinedの可能性を考慮する必要
if (!id) return <div>ID not found</div>;
// タイポはコンパイル時に検出されない
navigate("/posts/123/editt"); // 実行時エラーのリスク
TanStack Router の特徴
// 自動的な型推論が働く
const { postId } = postDetailRoute.useParams();
// postIdの存在が型レベルで保証される
// 型安全なナビゲーション
navigate({
to: "/posts/$postId/edit",
params: { postId: "123" } // 型チェックが効く
});
// リンクも型安全
<Link
to="/posts/$postId/edit"
params={{ postId }} // 必須パラメータの漏れを防げる
>
編集
</Link>
📊 フレームワーク特性比較
実装経験を踏まえた各フレームワークの特性評価です:
カテゴリ | React Router v7 | TanStack Router |
---|---|---|
型安全性 | ⭐⭐ 基本的 | ⭐⭐⭐⭐⭐ 充実 |
エコシステム | ⭐⭐⭐⭐⭐ 成熟 | ⭐⭐⭐ 成長中 |
学習曲線 | ⭐⭐⭐⭐ 緩やか | ⭐⭐⭐ やや急 |
パフォーマンス | ⭐⭐⭐⭐ 良好 | ⭐⭐⭐⭐⭐ 優秀 |
開発体験 | ⭐⭐⭐ 標準的 | ⭐⭐⭐⭐⭐ 快適 |
公式推奨設定
各フレームワークの公式ドキュメントで推奨されている設定は以下の通りです:
React Router v7
- デフォルト推奨: File-Based Routing(v7からの新機能)
-
必要パッケージ(File-Based):
@react-router/dev
,@react-router/fs-routes
-
必要パッケージ(Code-Based):
react-router-dom
のみ - 特徴: Remix互換のフラット構造を採用
TanStack Router
- デフォルト推奨: Code-Based Routing(型安全性を重視)
-
必要パッケージ(File-Based):
@tanstack/router-plugin
-
必要パッケージ(Code-Based):
@tanstack/react-router
のみ - 特徴: TypeScript第一主義の設計思想
🎨 4つの組み合わせの詳細比較
実装を通じた評価マトリックス
実際に4つのパターンを実装してみた結果、以下のような評価となりました:
1️⃣ React Router Code-Based | 2️⃣ React Router File-Based | 3️⃣ TanStack Router Code-Based | 4️⃣ TanStack Router File-Based | |
---|---|---|---|---|
型安全性 | ⭐⭐ | ⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
開発速度 | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
保守性 | ⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
学習コスト | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ |
柔軟性 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ |
総合評価 | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
各組み合わせの特徴と適用場面
1️⃣ React Router + Code-Based Routing
- 特に適している場面: 小規模プロジェクト、プロトタイプ開発
- 主な利点: 最もシンプルで学習コストが低い
- 考慮点: 型安全性は開発者が意識して確保する必要がある
2️⃣ React Router + File-Based Routing
- 特に適している場面: 中規模プロジェクト、将来的なRemix移行を検討中
- 主な利点: v7の新機能で今後の発展が期待できる
- 考慮点: まだ発展途上の部分もある
3️⃣ TanStack Router + Code-Based Routing
- 特に適している場面: 既存プロジェクトへの段階的な導入
- 主な利点: 既存の構造を大きく変えずに型安全性を向上できる
- 考慮点: ルート定義が冗長になる傾向がある
4️⃣ TanStack Router + File-Based Routing
- 特に適している場面: 新規の中〜大規模プロジェクト
- 主な利点: 型安全性と生産性の良好なバランス
- 考慮点: 初期の学習に時間がかかる場合がある
🗺️ 選択ガイド
プロジェクト規模による推奨
実装経験を踏まえた推奨パターンです:
規模 | 推奨パターン | 理由 |
---|---|---|
小規模(〜10画面) | 1️⃣ React Router + Code-Based | シンプルさと柔軟性を優先できる |
中規模(10〜50画面) | 4️⃣ TanStack Router + File-Based | バランスの取れた選択 |
大規模(50画面〜) | 4️⃣ TanStack Router + File-Based | 保守性とスケーラビリティを重視 |
チーム構成による推奨
チームの特性に応じた選択の目安:
チーム特性 | 推奨パターン | 理由 |
---|---|---|
TypeScript初心者が多い | 1️⃣ React Router + Code-Based | 学習曲線が緩やか |
TypeScript熟練者が多い | 4️⃣ TanStack Router + File-Based | 型の恩恵を最大限活用可能 |
フルスタックチーム | 4️⃣ TanStack Router + File-Based | 品質と生産性を両立できる |
技術要件による推奨
プロジェクトの技術的な要件に基づく選択:
要件 | 推奨パターン | 理由 |
---|---|---|
Remix互換性が必要 | 2️⃣ React Router + File-Based | 完全な互換性を確保 |
最高レベルの型安全性 | 4️⃣ TanStack Router + File-Based | TypeScript第一の設計 |
既存プロジェクトへの追加 | 1️⃣/3️⃣ 任意 + Code-Based | 移行コストを最小化 |
SSR/SEOが重要 | 2️⃣ React Router + File-Based | 実績のあるSSR対応 |
📖 まとめと次のステップ
検証結果のまとめ
実際に4つのパターンを実装してみた結果、新規プロジェクトの場合は 4️⃣ TanStack Router + File-Based Routing の組み合わせを検討することをおすすめします。
この組み合わせが優れている理由:
- 🔒 高い型安全性 - ランタイムエラーのリスクを大幅に削減
- 🚀 快適な開発体験 - 優れた自動補完とリファクタリング支援
- 📐 規約による効率化 - ボイラープレートコードの削減
- 🌟 モダンな設計 - 将来を見据えた設計思想
ただし、既存のReactエコシステムとの互換性や学習コストを重視する場合は、1️⃣/2️⃣ React Router v7も依然として有力な選択肢です。特にv7で追加された 2️⃣ File-Based Routingは、今後の発展が期待できる機能です。
📚 公式ドキュメント
詳細な実装方法については、各フレームワークの公式ドキュメントをご参照ください:
React Router v7
TanStack Router
🚀 始め方
選択したアプローチに応じて、対応する公式ドキュメントのクイックスタートガイドを参照することをおすすめします。どちらのフレームワークも充実したドキュメントとサンプルコードを提供しています。
最終的には、プロジェクトの要件、チームのスキルセット、将来の拡張性を総合的に考慮して、最適な組み合わせを選択することが重要です。本記事が、皆さまのルーティング選択の参考になれば幸いです。
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