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[Swift] どうして weak var delegate とするのか?

2022/02/15に公開約8,600字

伝えたいこと

delegate に適応した self を弱参照させるパターンは以下の2通りがある。

  • weak var で宣言した変数を用意して、delegate に適応した self を代入する
    • メリット:シンプルである
    • デメリット:delegate 変数の外部からの変更や、delegete の代入忘れの恐れがある
  • private weak var または private unowned let を宣言した変数を用意して、lazy var で delegate に適応した self を init の引数で渡す
    • メリット:weak var を使う場合にあったようなデメリットがなくなる
    • デメリット:lazy var を使う影響で、その変数が変更される恐れや、lazy varの変数が使われるタイミングで init が走るので、そのタイミングによっては予期せぬバグが発生する(= lazy var のリスク)
      • private weak var で変数を宣言した場合:
        • メリット:delegate が破棄された状態でアクセスした場合に、delegate?delegate! で 実行スキップか、クラッシュかを選べる
        • デメリット:var であること
      • private unowned let で変数を宣言した場合:
        • メリット:let であること
        • デメリット:delegate が破棄された状態でアクセスした場合に、必ずクラッシュする(むしろ、delegate が破棄されないことを想定しているのであれば、クラッシュすることによってバグの早期発見に繋がるのでメリットかもしれません。)

どうして weak var delegate とするのか?

weak をつけていないサンプルコードを用いて挙動を確認してみます。

weak をつけない場合の挙動

以下のようなサンプルコードを用意します。

protocol HogeDelegate: AnyObject {
    func hogehoge()
}

class MogeClass {
    var delegate: HogeDelegate?
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate?.hogehoge()
    }
}

class FugaClass {
    let mogeClass: MogeClass
    
    init() {
        mogeClass = MogeClass()
        mogeClass.delegate = self
    }
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func fugafuga() {
        mogeClass.mogemoge()
    }
}

extension FugaClass: HogeDelegate {
    func hogehoge() {
        print("called hogehoge() on FugaClass")
    }
}

fugaClass の fugafuga() の実行

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass

期待通りですね。

fugaClass init して deinit する

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass = nil

// (出力)
// なし

あれ?
fugaClass が解放されませんね。

さらに mogeClass も解放する術も失っていますね。

weak をつけた場合の挙動

class MogeClass {
    weak var delegate: HogeDelegate? // ← weak をつける
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate?.hogehoge()
    }
}

fugaClass init して deinit する

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass = nil

// (出力)
// deinit: FugaClass
// deinit: MogeClass

解放されますね!!

fugaClass の fugafuga() の実行して、それから fugaClass に nil を代入する

もちろん、fugaClass の fugafuga() の実行して、それから fugaClass に nil を代入しても解放されます。

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()
fugaClass = nil

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass
// deinit: FugaClass
// deinit: MogeClass

このように解放されないケースがあるので、weak var と宣言する必要があります。

weak var の微妙な点

  • 変数を var で宣言するので、外から変更されてしまう可能性がある
  • delegate の変数に値を代入し忘れる可能性がある

weak var の微妙な点の改善方法を検討する

改良案:init の引数に delegate を設定し、lazy var で self を渡す

サンプルコードは以下になります。

protocol HogeDelegate: AnyObject {
    func hogehoge()
}

class MogeClass {
    let delegate: HogeDelegate // let に修正
    
    init(delegate: HogeDelegate) {
        self.delegate = delegate // init でもらうようにする
    }
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate.hogehoge()
    }
}

class FugaClass {
    lazy var mogeClass = MogeClass(delegate: self) // lazy var で self を渡すようにする
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func fugafuga() {
        mogeClass.mogemoge()
    }
}

extension FugaClass: HogeDelegate {
    func hogehoge() {
        print("called hogehoge() on FugaClass")
    }
}

fugaClass の fugafuga() の実行

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass

うん。問題ないですね。

fugaClass init して deinit する

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass = nil

// (出力)
// deinit: FugaClass

MogeClass が解放されていないように見えるが、そもそも生成されていないので、問題ないですね。

fugaClass の fugafuga() の実行して、それから fugaClass に nil を代入してみる

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()
fugaClass = nil

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass

あれ、、、解放されていないみたい。。。

結局、letweak var にしてみる

class MogeClass {
    weak var delegate: HogeDelegate? // 結局 weak var にする
    
    init(delegate: HogeDelegate) {
        self.delegate = delegate
    }
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate?.hogehoge()
    }
}

再Try

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()
fugaClass = nil

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass
// deinit: FugaClass
// deinit: MogeClass

うまくいきましたね。。。
でも結句 weak var をつかってしまっております。。。

改良案の微妙な点

うまくいきましたが、lazy var で self を渡すようにしても、やっぱり weak var をつけなればいけないのですね。。。

ただ、private をつければ、外からの変更は防げるので、それが気になる方はそうした方がいいかもしれませんね。

しかし、そもそも lazy var としている方が、変更のリスクが発生しますが、、、どっちがいいんでしょうね。

また、private をつけるのであれば、init での delegate の設定を忘れないように、delegate を使う際は強制アンラップしてもよいかもしれないですね。

class MogeClass {
    private weak var delegate: HogeDelegate? // private をつける
    
    init(delegate: HogeDelegate) {
        self.delegate = delegate
    }
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate!.hogehoge() // 強制アンラップにする
    }
}

でも、init で設定しているはずなのに delegate?delegate! とするのはなんかいけてませんよね。。。

weak let があれば、解決できそうですが、weak let を使おうとすると「error: 'weak' must be a mutable variable, because it may change at runtime」と怒られます。

どうやら weak let はないみたいですね。。。

改良案の改良案:unowned let を使う!

weak let はできないですが、unowned let であれば宣言できるみたいでした。
実際に使ってみます。

class MogeClass {
    private unowned let delegate: HogeDelegate // unowned なら let を宣言できる
    
    init(delegate: HogeDelegate) {
        self.delegate = delegate
    }
    
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func mogemoge() {
        delegate.hogehoge() // ? や ! も消せる
    }
}

再Try

var fugaClass: FugaClass? = FugaClass()
fugaClass?.fugafuga()
fugaClass = nil

// (出力)
// called hogehoge() on FugaClass
// deinit: FugaClass
// deinit: MogeClass

うまくいきましたね。

lazy var で delegate となる self を init で渡すような場合は、unowned let を使っても良さそうですね。

ただ、lazy var を使うことのリスクもあるので、それには十分注意が必要です。

unowned let のリスクについて

lazy var で delegate となる self を init で渡すようにする際には、unowned let でもよさそうなのですが、init で渡した delegate が途中で破棄されるような場合は、この使い方だとクラッシュするリスクがあります。

以下のような、HogeDelegate に適応した PiyoClass を用意して、これを使って、MogeClass を生成してみます。

class PiyoClass: HogeDelegate {
    deinit {
        print("deinit: \(type(of: self))")
    }
    
    func hogehoge() {
        print("called hogehoge() on PiyoClass")
    }
}

再Try

var piyoClass: PiyoClass? = PiyoClass()
let mogeClass = MogeClass(delegate: piyoClass!)
mogeClass.mogemoge()
piyoClass = nil

// (出力)
// called hogehoge() on PiyoClass
// deinit: PiyoClass

一見、問題なさそうですが、piyoClass = nil としたあとに再び、mogeClass.mogemoge() を実行してみます。

var piyoClass: PiyoClass? = PiyoClass()
let mogeClass = MogeClass(delegate: piyoClass!)
mogeClass.mogemoge()
piyoClass = nil

mogeClass.mogemoge() // error: Execution was interrupted, reason: signal SIGABRT.

クラッシュしました。
MogeClass で渡したはずの HogeDelegate がないので、当然ですよね。

では、unowned let はやっぱり良くないのか?

もちろん、unowned let ではなく weak var に変更して、MogeClass での delegate 使用時に delegate? とアクセスすればクラッシュはさけられます。

ただ、それはアプリを使用するユーザーにとって良いことなのかは、ケースバイケースだと思います。

そもそも、思わぬタイミングで破棄されるような書き方になっていることも問題ですし、潔くクラッシュして、できるだけ早く不具合を発覚して、修正したほうがいいという考え方もあります。

今回の場合も、unowned let が問題というよりは、piyoClassnil 許容の変数にしたり、MogeClass の生成時に、piyoClass を強制アンラップしているのが問題な気がします。

裏を返すと、ここまでしないと、unowned let でクラッシュは起こせないです。

もちろん weak var でも delegate! とすれば、このケースでもクラッシュを起こせるので、どれを使うかはやっぱりケースバイケースだと思います。

銀の弾丸はないということですね。。。

結論

delegate に適応した self を弱参照させるパターンは以下の2通りがある。

  • weak var で宣言した変数を用意して、delegate に適応した self を代入する
    • メリット:シンプルである
    • デメリット:delegate 変数の外部からの変更や、delegete の代入忘れの恐れがある
  • private weak var または private unowned let を宣言した変数を用意して、lazy var で delegate に適応した self を init の引数で渡す
    • メリット:weak var を使う場合にあったようなデメリットがなくなる
    • デメリット:lazy var を使う影響で、その変数が変更される恐れや、lazy varの変数が使われるタイミングで init が走るので、そのタイミングによっては予期せぬバグが発生する(= lazy var のリスク)
      • private weak var で変数を宣言した場合:
        • メリット:delegate が破棄された状態でアクセスした場合に、delegate?delegate! で 実行スキップか、クラッシュかを選べる
        • デメリット:var であること
      • private unowned let で変数を宣言した場合:
        • メリット:let であること
        • デメリット:delegate が破棄された状態でアクセスした場合に、必ずクラッシュする(むしろ、delegate が破棄されないことを想定しているのであれば、クラッシュすることによってバグの早期発見に繋がるのでメリットかもしれません。)
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