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EUの規制でiOS/iPadOSブラウザのWebKit縛りが撤廃され将来WebXR Device APIが動作するようになるかもしれないお話

2022/12/18に公開約2,600字

Bloomberg 2022-12-14 04:02 JST 付の「Apple to Allow Outside App Stores in Overhaul Spurred by EU Laws」という記事で、EU の規制によって iOS/iPadOS ブラウザの WebKit 縛りが撤廃されるかもしれない話が取り上げられていました。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-12-13/will-apple-allow-users-to-install-third-party-app-stores-sideload-in-europe

いくつかの日本語メディアで Bloomberg を一次ソースとした記事が公開されています。

https://gadget.phileweb.com/post-24390/

WebKit 系の Safari と Blink 系の Chrome

iPhone/iPad には Apple 標準ブラウザとなる Safari が搭載され、そのレンダリングエンジンは WebKit です。

この WebKit は 2022-12-18 JST 現在、WebXR Device API に対応していません。正確には設定を変更することで WebXR Device API のフラグは立ちますが、immersive-vrimmersive-ar も動作しません。

対して Android 系には標準ブラウザとして Chrome が搭載され、そのレンダリングエンジンは Blink です。この Blink は WebKit から派生したレンダリングエンジンですが、WebKit に対して思うところがあって派生したこともあり、機能の実装が早いです。WebXR Device API にも対応しています。

iOS/iPadOS ブラウザの WebKit 縛りとはなにか?

iOS/iPadOS と Android 系で標準搭載されているレンダリングエンジンが異なっている他、iOS/iPadOS の場合、『ブラウザのレンダリングエンジンは WebKit を使わなければならない』というルールがあります。

iOS/iPadOS の Apple Store を覗くと、Google Chrome や Mozilla の Firefox がインストールできますが、これらのアプリに使われているレンダリングエンジンは WebKit です。

Android 版の Chrome (Blink) や Firefox (Quantum) であれば、一定の条件はあれどスマートフォンで WebXR Device API を使った WebXR コンテンツを動作させられますが、iOS/iPadOS では叶いません。

EU の規制で iOS/iPadOS ブラウザの WebKit 縛りが撤廃される?

EU と US の IT 企業はこれまでにも色々とやりあっていて、その結果が「Digital Services Package」であり、例えば Apple に対しては Lightning を撤廃して USB-C に統一する法案を成立させています。従わなければ EU 圏内で iPhone を販売できなくなるため、従わざるを得ません。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/26/news151.html

そして規制の対象は USB-C への統一だけではなく、ブラウザの WebKit 縛りにも及ぶため、もしかすると将来 Blink を搭載した “本当の” Chrome や、Quantum を搭載した “本当の” Firefox がリリースされるかもしれない、というお話です。

Blink を搭載した iOS/iPadOS 版 Chrome が登場することと、iOS/iPadOS で WebXR Device API が使えるということは同等なのか?

同等ではないと考えています。ユーザーに設定変更やアプリのインストールを求めるのは、よっぽどの強い理由がない限り離脱の要因となるため、仮に iOS/iPadOS で Blink 搭載の Chrome が使えるようになったとしても、WebXR Device API を使った WebXR コンテンツを展開するのは難しいのではないでしょうか。

今後、レンダリングエンジンの WebKit 縛りをきっかけにして WebKit への WebXR Device API 実装が加速してくれると嬉しいですが、ともすれば『レンダリングエンジンを自由にしたのだから WebKit でできないことは別のレンダリングエンジンでやってください』のようなメッセージングもできてしまうので、『Apple さん、頼む』という気持ちでいっぱいです。


現場からは以上です!

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