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Windows起動プロセスと障害対応ドキュメント

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概要

このドキュメントでは、Windows 10 が起動しなくなった際に行った一連の調査・復旧手順を、Windows の起動プロセスに沿って記録・解説します。今後のトラブル対応や教育用途としても活用できるように構成しています。

事前知識

以下にあらかじめ把握しておいたほうが良い事前知識を述べます。大前提の知識としてファームウェアとパーティションがあります。

  • ファームウェアとはコンピュータのハードウェアに組み込まれたソフトウェア。OSが起動する前に動作し、基本的なハードウェア制御や起動指示を担う。

  • パーティションとはストレージデバイス(HDD、SSD)上の論理的な区画。物理的な1台のディスクを、あたかも複数の独立したディスクがあるかのように見せる仕組み
    1台のHDDにC, Dドライブ2つあるのがそれ

理由 説明
OSとデータの分離 OSが壊れても、Dドライブにあるデータは守られる
複数のOSを共存させる WindowsとLinuxを同一マシンにインストール可能
バックアップやリカバリの簡略化 回復パーティションを分離しておけば、工場出荷状態に戻しやすい
セキュリティやアクセス制御 特定パーティションをBitLockerで暗号化する、読み取り専用にする等

ファームウェア

  • BIOS
    1980年代から使われているレガシーなファームウェア
    POST(ハードウェア自己診断)後、MBRを利用してOSを起動
    2TB以下のディスク、最大4つのパーティションなど制限が多い。

  • UEFI
    BIOSの後継として登場した近代的なファームウェア
    GPTと組み合わせることで2TB以上のディスクや128パーティションなどに対応
    セキュアブートや高速起動などの機能を備える。

パーティション

  • MBR
    古いディスクパーティション方式。
    最大4つのパーティション、2TB以下の制限がある
    BIOSと組み合わせて利用

  • GPT
    MBRに代わる新しいパーティション方式。
    各パーティションに一意のID(GUID)を割り当て、最大128パーティションに対応。
    ディスク先頭と末尾に冗長な構造を持ち、復旧性にも優れる。
    UEFIと組み合わせて使用される

Windowsのパーティション構成

種類 説明
システムパーティション(ESP) UEFIが起動ファイルを読むための領域。FAT32で100〜300MB程度
OSパーティション Windowsがインストールされる場所(C:)
回復パーティション 自動修復や工場出荷状態への復元用の領域
データパーティション ユーザーデータやアプリを格納(D:やE:)

Windowsの主な起動プロセス

以下は、Windows が電源投入からログイン画面に到達するまでの流れを詳細に分解したものです。

  1. 電源投入 → UEFI/BIOS 実行

    • コンピュータに電源が供給されると、まず BIOS または UEFI が起動します。
    • POST(Power-On Self-Test)と呼ばれるハードウェア自己診断を実行し、CPU、メモリ、ディスク等の接続と動作を確認します。
    • 優先順位に従ってブート可能なデバイス(HDD、SSD、USBなど)を検索します。
  2. EFIシステムパーティション (ESP) の起動ファイル読み込み

    • UEFI がWindows Boot Manager(\EFI\Microsoft\Boot\bootmgfw.efi)を ESP(EFI規格で作成されたシステムパーティション)内からロードします。
    • ESP(FAT32)は GUID パーティションテーブル(GPT)上に作成されており、OS の起動情報が格納されています。
  3. ブート構成データ(BCD)の読み込み

    • Boot Manager(bootmgrw.efi) は Boot Configuration Data(BCD)を参照して、どの OS を起動するかを決定します。
    • BCD は OS のパスや起動オプションなどを記録したデータベースです。
    • この段階で、ブートローダーが複数あれば、OS 選択画面が表示されます。
  4. Windows Boot Loader(winload.efi)の起動

    • BCD に基づき、Boot Loader(winload.efi) が読み込まれ、OS カーネル(ntoskrnl.exe)やハードウェア抽象化レイヤー(HAL.dll)、ドライバなどをロードします。
    • Windowsのコアコンポーネントである System32 フォルダ内のファイル群がこの時点で要求されます。
  5. Windows カーネル初期化とセッションマネージャの実行

    • カーネルが初期化され、smss.exe(Session Manager)が呼び出されます。
    • 仮想メモリ、デバイスドライバ、ログオンプロセスの準備がここで行われます。
    • ログオン処理(winlogon.exe)に移行。
  6. ログイン画面の表示とユーザー認証

    • LogonUI.exe が GUI ベースのログオン画面を表示します。
    • ユーザーがパスワードを入力し、資格情報が認証されると、ユーザープロファイルが読み込まれてデスクトップに遷移します。

障害発生ポイント

  • 起動トラブル対応は、物理層 → ブート層 → OS層 → UI層 の順で調査するのが基本である。

5. 補足:System32 とは?

  • Windowsの中枢システムファイルが格納されたフォルダ。
  • bootstr.dll, ntoskrnl.exe, winlogon.exe などが含まれ、これらの破損はOS起動不能に直結する。

このドキュメントは今後のトラブル対策・技術教育用に共同編集を想定しています。

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