【23卒】コンパクトな文系エンジニア就活を振り返る
概要
先の11月末、株式会社ゆめみさんから23卒エンジニア枠の内定をいただいて就活を終えましたので、就活全体の振り返りを書こうと思います。
この記事では、「ES提出は4社のみ」「ES提出開始から就活終了まで約1ヶ月半」とコンパクトに就活を終えた自分のスケジュール感や、就活におけるちょっとしたTips、その他所感などを述べていきます。個別の会社の対策などには触れませんのでご容赦ください。
基本情報
- 一橋大学経済学部3年(文系)
- まちづくりサークルPro-K所属(面接で使ったので一応共有)
- 1年生の6月から長期インターンを始め、エンジニアとしての業務経験は就活開始時点でのべ1年ほど
- React / TypeScriptのフロントエンド開発がメイン、その他はほぼ経験無し
スケジュール感
1年生冬
さっそく番外編っぽくなるのですが、このタイミングで初めて就活を意識する出来事があったので紹介します。言わずと知れた自己分析ツール、ストレングス・ファインダーを友人と一緒に受けたのです。
このテスト結果は、自分のキャリア観の形成に大きく影響していると思います。特に1位の「着想」と2位の「親密性」にはかなりの納得感があり、
- 自分がビジネスマンとして勝負をするならアイデアの部分だから、キャリアの初期は広く浅く経験を詰んでアイデアの素材を手に入れたい
- 信頼できる人と一緒に働き、良い関係性を中心に良いプロダクトを作りたい
といったことは今でも強く思っています。
2年生3月
1年ほど時間は流れ、2021年3月にWantedlyさんの2weekインターンに参加しました。
直接就活を意識していたわけではありませんが、それまで長期でゆるめにインターンするばかりだったので、技術力の高いところで自分の力量を試したいという狙いがありました。結果的に、ある程度通用しそうな部分とこれから伸ばしていきたい部分がはっきりわかったのでとても良かったです。
業務では自分が慣れているReact/TSでのフロントエンドの開発を軸に置きつつ、NexusやProtocol Buffersなどの初めての技術に触れさせてもらいました。大きなコードベースを持続的に開発するための開発フロー設計も非常に勉強になりました。
また、期間中は1対1でメンターをつけてくださったのですが、そのメンターさんが自分と同じ「文系出身かつプロダクト志向」タイプの方だったので、エンジニアとして良く働くイメージが鮮明になりました。
3年生4月
インターン中にWantedlyの人事さんからおすすめされ、サポーターズさんの逆求人イベントに参加しました。
高倍率で人気のイベントらしいのですが、時期が早く応募者が少なめだったこともあり運良く参加させていただきました。このイベントに参加できたおかげで調子づいたところが大きいので、早めに行動を起こしてよかったなと思っています。1日で8~10件の面接をこなすハードなイベントですが、面接中に有名企業の人事・エンジニアの方から即座にFBをもらうことができ、1日でとたんに就活慣れした感覚がありました。
面接そのものはサポーターズさんに事前にサポートしてもらいながらスライドを準備しておけるので、特に困ることはありませんでした。自分が実際に当時使っていたものを公開します。使えることがアピールしたかったのでFigmaで作成しました。今見るとだいぶ浅い内容ですが、時間・形式指定されているのでこんなもんです。
結果として、感触の良かった4社くらいに「興味あります」的なことを伝え、特に以前から興味のあったサイボウズ株式会社さんには強めにアピールをしてイベントを終わりました。
逆求人イベントに参加する人事の方へ
ハードなスケジュールでの面談、お疲れさまです。学生視点でちょっとした進言です。
逆求人イベントでは「学生へのFBを中心に面接する」企業様と「プロダクトのアピールを中心に面接する」企業様に別れましたが、前者のほうが圧倒的に印象が良いです。たとえtoBで学生に知られていなくても、最初の印象を良くするために学生中心の面接をする方が良いと思います。印象が良ければ学生が後から自分で調べます。
5月
サイボウズ株式会社さんに連絡をもらって、サイボウズ志望者専用のSlackワークスペースに入れていただきました。メールでのやり取りが好きでないので、些細な点ですがプラスに感じました。Slackでのやり取りの中で改めて面談の場を用意していただき、現場で働くエンジニアの方から社内のこと・キャリアのことをたっぷり聞き出すことができました。
もともと「チームワークあふれる社会を創る」という理念への共感からサイボウズさんに興味を持っていたのですが、面談してくださったエンジニアの方も嬉々として理念への想いを語ってくださり、「会社の選び方は間違って無さそうだなあ」と考えたのを覚えています。人事の方へ就活についての質問もできたので自分にとっては非常にプラスとなり、「就活生のUXがきちんと考えられているなあ」と会社に対しても良い印象を持ちました。
6月~8月
もともとそんなに早く就活を進める気はなく、これまでトントン拍子で進んでいたこともあり、一旦就活は脇におくことにしました。たまたま知り合った学内の友人とFlutterでアプリ開発を始め、その間ほとんど就活はしませんでした。
ただ、サイボウズさんと再度面談をし、その中でサマーインターンのお誘いをいただきました。また改めて面談をして、9月のインターンの参加許可をいただきました。技術試験はありませんでした。
友人との開発では唯一経験者であった自分が技術的にリードするかたちとなり、それまでインターンという下っぱ的役回りで開発をしてきた身としてはとても刺激的な時間でした。Flutter自体初めて触る技術でしたが、Reactから大きく影響を受けている技術なこともあり、キャッチアップしていくのがとても楽しかったです。この間にZennでFlutterの記事を何本か書き、その後のアピールポイントのひとつになりました。
結果的にアプリはリリースしませんでしたが、サービス立ち上げのために色々勉強したので、技術やマーケティング、チームビルディングなど幅広い分野の知見を深めることができました。
一緒に開発した友人は0からプログラミングを勉強して本気で起業しようとしていたのですが、そんな彼と一緒に活動する中で「MVPやプロトタイプを自分の手で作れることが、起業家にとってものすごく好都合だということ」「初期はジェネラリスト的な側面が有利に働くこと」「きちんとスケールする仕組みを作るにはそれなりの技術理解を要すること」などを理解することができました。
9月
サイボウズさんのサマーインターンに参加しました。5日間という比較的短い期間でしたが、モブプロをしながらチームでひとつの機能を作り上げることができ、体験としてはとても良かったです。
期間中、自分の他に5人のインターン生と一緒に活動していたのですが、いずれも情報系のバックグラウンドがある方ばかりでした(みなさん素敵な方でした)。また、インターン中は主にバックエンドの開発をしており、フロントを中心に経験してきた自分はほとんど役に立ちませんでした。友人との開発で活躍していたこともあってなんとなく調子に乗っていたのですが、「もし自分が企業側の人間だったら、情報系の素地や技術力を理由に自分を採用することはない」という認識を強く持つようになりました。また、インターン中に大きな出来事が開発以外に2つありました。
ひとつはスプリントレビューの見学です。そこでは直近の成果報告をしつつ、「これからこのプロダクトはこう成長していくべきだ」という議論が盛んに行われていました。その内容が、自分にとって非常に刺激的でした。
その場で話し合われていた内容、例えば
「ユーザーにはこういうニーズがあるんじゃないか」
「ニーズに沿った開発をするために、現状では〇〇が足りてないんじゃないか」
「チャレンジのの第一歩として、△△を試してみないか」
というようなことが、プロダクトづくりにおいて自分が一番向き合いたい部分かもしれないと感じました。
もうひとつは社員さんとの面談です。人事の方に自分のキャリア観とイメージが近い方を紹介してもらい、30分ほどお話させていただきました。
その方は新卒当初から「エンジニアとデザイナーの中間のような役割を果たしたい」と社内で宣言しており、実際に「週の3日間はフロントエンドのコードを書いて、2日間はデザインに近い業務をしている」とのことでした。
この社員さんの働き方は当時の自分の理想にかなり近く、「モデルケースがいた!」とかなり興奮したのを覚えています。また、役割を兼ねることで「エンジニアとデザイナーの共通言語を持てる」「チームに足りていないリソースに応じて柔軟に対応できる」「デザイン側が持つ課題を、エンジニアの視点とスキルで解決に導くことができる」といったことを話してくださり、自分の狙いが間違っていないことを確認できました。
インターンを終えた時点で、それまでの経験を踏まえて自分のキャリア観がかなり整理されてきました。自分の理想像を一言で言えば「自分でプロトタイプが作れる事業家」です。その言葉の裏にはこんな思いがあります。
- ビジネス面を強く意識しつつ、動くプロダクトを自分の手で作ることができる
- 戦略から表層までプロダクトづくりのあらゆる工程を見ることができるだけでなく、チーム作りや業務フロー設計など内部組織の改善でも力を発揮する
- 色んな人の視点をつなぎ、多角的に課題解決ができる
- 常に自分自身で新しいアイデアを試す気概を持つ
- 本当に力を発揮するためには、優れた技術者と組む必要がある
ロール的にはエンジニアと言うよりUXデザイナーやPMに近いと思うのですが、自分のなあなあな技術理解を改めたかったことや、T型人材というわかりやすいモデルがあったことから、新卒ではやはりエンジニア職を第一志望とすることにしました。ただし企業選びの軸として、「UXデザイナーやPMなど、エンジニアよりビジネスサイドに近いロールへとキャリアを進めていける可能性がある」という譲れない条件ができました。
10月
「一旦落ち着きたいし、年明けくらいからまた就活を再開しようかな」と思っていたのですが、ここから急展開が始まります。
きっかけはサポーターズさんとの1on1でした。イベント参加者向けにキャリアアドバイザーが企業を紹介してくださるとのことだったので、軽い気持ちで参加してみました。
「こんな企業もありますよ〜」的な紹介で終わると思っていたのですが、「気になるならこっちでES出しときますよ!(ガツガツ)」という感じだったので、そのまま流されて3社にESを出してもらうことにしました。そのうちの1社がゆめみでした。
サポーターズ側で登録している自己紹介文をもとにESを出してくださり、3社ともESが通りました。ここから本格的に就活が始まります。とてもバタバタしている感覚がありました。
ただES提出に関しては、自分はLINEでサポーターズさんからの連絡を待っているだけだったので、正直めちゃめちゃ楽でした。企業の人事の方に打診したところ「サポーターズさんは対応が早くて丁寧」とおっしゃっていたので、安心して任せることができました。
インターンを経てサイボウズさんにも自分でエントリーしようかなと考えていましたが、プロダクトの今のフェーズと自分が活躍できそうなフェーズは少し違うのかなという気がかりがあり、申し分のない会社だと思いつつも後回しにすることにしました(結果としてエントリーせずに終わりました)。
11月
就活の傍ら、入社までにもう少し実力をつけたいと思い新しく長期インターンをはじめました。企業数を絞っていたこともありそのくらいの余裕はありました。ただ、大学のオンライン講義の受講は疎かになりました。
サポーターズさん側で出していただいた3社と、自分で出したPM職採用の1社の計4社の選考を同時並行で進めました。選考は技術試験と個人面接の2種類しかなく、どちらも特に困ることはありませんでした。
ただ選考の中でもやはり各企業で感触は異なり、技術試験のフィット感や面接体験の良さ、働いている姿が想像できるかどうかなど、判断材料はたくさんありました。「合わないな」と思ったら選考を先延ばしにしていました。
結果的に本当に行きたいと思える会社が自ずと絞られていき、11月の末に株式会社ゆめみから内定を頂いて就活を気持ちよく終えることにしました。
選考を通じて、自分の中でゆめみは圧倒的でした。ゆめみを選ぶ理由は別途Notionに簡単なメモを残してあるので、興味のある方は覗いてみてください。
就活で役に立ったなと思うこと
サポーターズ
サポーターズさんなしではここまで順調に就活を進めることはできなかったと思います。就活を始める前は「大事な決断をエージェントに任せるのってどうなん?」と思っていたのですが、最終的に決断をするのはやはり自分ですし、「不慣れなことは信頼できるプロに頼るのが良い」ということを痛感しました。エンジニア志望の友人には必ず勧めています。
職務履歴書のストック
Notionで職務履歴書のストックを作っていました。こういった形式的な書類を作る作業が好きではないので、地味にやっておいてよかったなと感じています。ツールはなんでもいいですが、PDFエクスポートとリンク共有の両方できるものがおすすめです。
下は実際の自分の職務履歴書で、提出を求められる際には自己PRにチューニングを施して出していました。
面談の事前準備
すべてオンライン面談でしたが、やはり事前の準備が全てだなと思います。自分は「もし自分が面接官だったら何を聞きたいか」を考えて質問予想集を作ってました。基本的に回答に詰まることはありませんでしたし、相手の質問の仕方によっては「今パッと思いついたのは...」と始めつつ綿密に考えてきた答えを言うこともちょくちょくありました。
ただ、最後の最後まで面接の日は緊張しました。
面接では正直に
自分の就活に褒められる点があるとすれば、「面接ではいつも正直に話していたこと」くらいでしょうか。
正直、文系からエンジニアという少ない事例である上に「UXデザイナーやPM方向に進んでいきたい」となると、すんなりと受け入れてくれる会社は多くはないと思います。
だからといって取り繕わず、むしろそのような「リトマス試験紙」になるような部分は赤裸々に語ることが自分にとっては重要でした。結果として無理せずコンパクトに就活を終えることができましたし、内定をいただいた際には「自分にとってはこの会社がぴったり!」と言わざるを得ないほど申し分のない「期待の言葉」をいただくことができました。
その他、所感
非常にラッキーなタイミングで就活できたなと思います。というのも、自分はざっくり「伸びてるベンチャー」に絞って企業を探していたのですが、そういう会社はどこもITエンジニアの採用を強化していたからです。面談も(緊張するとはいえ)自分の話を聞いてもらうだけですから、苦しいと思うことは特にありませんでした。
また、自分の場合は納得感を持って企業を選ぶことができましたが、仮に他の企業に行っても一定の正解はあるなと思いました。そのくらい良い会社がたくさんある時代です。恵まれてるなと思います。
1,2年の頃は怖いなと思っていた就活ですが、始まってみればなるようになります。ただし早めの動き出しは重要です(だからこの時期にこれを書きました)。この記事が少しでも24卒以降の方々のご参考になれば幸いです。
Discussion
めっちゃ読みやすい文章で、一橋でエンジニア目指す人にはすごく参考になりそう。おめでとう!
嬉しいお言葉ありがとうございますー!
五所さんにすっかり人生の方向変えてもらっちゃいましたね。