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Confluenceのススメ

2025/01/20に公開

この記事はなにか

  • Confluence (コンフルエンス) はいわゆる Wiki 機能、つまりドキュメントを Web 上に作成・共有する機能を提供する Web サービスです。
  • チーム内での情報共有のツールとしてとても強力です。
  • この記事では、Confluence の便利な機能の紹介、実際に使う時に知っておくと便利な Tips、あと Confluence の不便な点(使う上であきらめるべき点)についてまとめます。
  • ちなみに記事内でのスクリーンショットに使っている Confluence はこの記事のためだけに作成したサイトで、中身はまるっきりデタラメとなっておりますのでご了承ください。

この記事は何ではないか

  • 筆者は Confluence 以外の Wiki 系のサービスを使っていないので、他のサービスとの比較の観点では記載していません。
  • 筆者は Confluence のすべての機能を試したわけではなく、実際の利用経験に基づいた情報になります。
  • 2025年1月時点の情報になります。それ以降に追加された機能については反映されていません。

Confluence でできること

ブラウザーで閲覧できるドキュメントサイトが作れる

Confluence はリッチドキュメントなページを作成・保存・チーム内で共有できるサービスです。「Word で作れるようなドキュメントを共有できる」と考えると良いでしょう。
説明書、手順書、設計書、作業記録、ハウツー・Tips・ナレッジ などの「みんなで共有しておく・他の人もいつでも見れるようにしておくと便利なもの」を置くための場所を提供してくれるとも言えます。

また、それを Web ブラウザーで閲覧できるというのも魅力です。「この資料見ておいてー」という場合に、 URL を渡すだけで良く、特定のアプリケーションをインストールしてもらう必要がありません。
※Confluence を使うためのユーザーの作成は必要です。

例えば「いままで GCP を使っていた人が、新しく AWS を使う場合の注意事項の資料」などを作って他のメンバーに共有できます:

Confluence で作成するページの例

ブラウザー上でページの作成、装飾ができる

上記のようなページ(ドキュメント)を、Web ブラウザー上で作成することができます。
テキストを太文字にする、色を変える、表を挿入する、図を挿入する、などの装飾をその場で行えます。

Microsoft365 の Word や、Google ドキュメントとおおよそ同じようなことができると考えるとよいでしょう。
※いわゆる WYSIWYG エディターの機能ですが、最近はこの機能はごく普通に提供されるので WYSIWYG という用語自体がもう使われない気がする。

HTML や Markdown などのマークアップ言語を使用しないのでハードルが低く、技術者でない人でも気軽にドキュメントを作成できます。また、技術者であってもドキュメント作成の負担が少なく済みます。閲覧だけでなく、編集も専用のツールなしにブラウザーでできる点も魅力です。気軽に、負担が少なく誰でもドキュメントが作れることで、チーム内でみんなが「おっ、これちょっとドキュメントに残しておこうかな」という気持ちになって情報の蓄積・共有がはかどります。

Confluence 上でドキュメントを編集しているの図:
Confluence 上でドキュメントを編集しているの図

ページをツリー構造にできる/再配置しやすい

ページを作成するときに、他のページの子ページとして作ることができ、ページをツリー構造に配置できます。
また、ドラッグアンドドロップで再配置もできます。

ツリー構造になったページの一覧をサイドバーからたどることができ、ページを構造的に管理することができます。ページ一覧から「どういう情報が構造的に扱われているか」というのが把握しやすく、「このページとその配下から検索」というような使い方もでき、整理して情報を管理・運用できます。

この「複数のページを作って、それを構造的に配置して有効活用できる」というのが Confluence の大きな魅力のひとつです。
Confluenceのページツリー

ページにコメント・インラインコメントをつけられる

各ページの末尾にはコメントスペースがあります。コメントはツリー状に追加していくことができます。
ページ末尾のコメントスペース

また、ページ内のテキストを選択するとそこにコメントをつけることができます (インラインコメント)。インラインコメントは「解決」すると表示されなくなるため、校正的なコメントなどにも使えます。
インラインコメント

基本的にドキュメントというのは作った後どんどん情報が古くなって最新の状況と一致しなくなる(陳腐化する)ものです。コメントで「ここはもう古いよ」「いまはこうなっているよ」といった情報を補足することでドキュメントを少しでも長く使えるようにできるので、とても強力な機能です。

また、ドキュメントを自分で編集して訂正するのに比べて「ここおかしくね?」とコメントをいれるほうがずっとハードルが低いので、メンバーに気軽にドキュメントの品質改善に参加してもらいやすくなります。

スペースでページを分けて管理できる

Confluence では「スペース」を作成することができ、各スペース内でページを管理することができます。
Confluenceのスペース

スペースごとにアクセスできるユーザーを設定することができます。部署ごと、プロジェクトごとなどに「スペース」を分けて使うのが便利でしょう。

一方で、スペース間でもページを移動することもでき、スペース横断での検索もできるので、スペースを分けることが情報の整理の妨げになることはありません。

スペースやページに閲覧・編集権限を設定できる

※スペース、ページの権限機能は Free プランでは利用できません。導入前の検証をする場合は無料トライアル期間内に行うことをおすすめします。

スペースに対して、ユーザーやグループができることの権限を設定することができます。
また、ページに対して、閲覧・編集できるユーザーやグループを制限して、スペースで許可された権限を絞ることができます。

この機能を使うことで、Confluence をパスワードなどの秘密情報を特定のメンバーだけに共有したり、必要に応じて共有先のメンバーを増やしたり、といった用途にも使うことができます。

ページに権限を設定する

検索機能がある

全ページ横断での検索、スペース内での検索、ページツリー内での検索ができます。

検索機能

ページの変更履歴を見られる

ページの変更履歴を確認できます。
ページの更新時にコミットログに相当するような「コメント」を入力できるのですが、入力は必須ではなく通常の操作手順だと入力欄すら表示されないので、基本的に使われず常に空欄になることが見込まれます。

ページの変更履歴

また、バージョン間での変更点を表示することもできます。

ページの差分

ただし、込み入った変更だと、変更内容はあまりきれいには表示されません。
また、「ここの内容が変わったのがいつか」というような使い方(git blame に相当するような操作)はできないので、それほど利便性は高くないです。
最悪、追跡に使えなくもないくらいに考えておくとよいでしょう。
それでも、いざというときにドキュメントがなぜ/いつ変わってしまったのかを追う手段があるというだけでも運用上とても心強いものです。

Confluence の基礎知識

Confluence を使うときには以下について知っておくと理解しやすいよという情報。

Confluence は有償サービス (制限付きの無料プランもある)

Confluence (正確には Confluence Cloud) はサブスクリプションの有償サービスのため、 利用にあたっては費用ページを参照してください: Confluence の価格:無料プランと有料プラン | アトラシアン

2025年1月現在、10ユーザーまでの利用では無料で利用できる Free プランがあるので、大部分の機能の導入前の検証なども無料で行えます。
ただし Free プランでは一部機能が利用できず、特にスペースの権限設定、ページの権限設定の機能が利用できないため、その部分の検証は 14 日間の無料トライアルで検証するのが良いでしょう。

Atlassian と Confluence

Confluence は Atlassian (アトラシアン) が提供するサービスのひとつです。

Atlassian 社はチームコラボレーションのための各種 Web サービスを提供しており、Confluence はその中のひとつです:

  • Confluence (コンフルエンス): ドキュメントの作成、共有
  • Jira (ジラ): タスク管理/プロジェクト管理。Redmine や Trac、または GitHub Issues みたいな機能。
  • Bitbucket (ビットバケット): ソースコード管理。GitHub みたいな機能。
  • (いまのところ知っているのはこれくらい)

そんなわけで、Confluence は Atlassian が提供するサービスの中のひとつなので、以下のことが起きます:

  • Confluence を使う際には、 Atlassian アカウントを作成・使用します。
    • Google アカウントや Microsoft アカウントなどとの連携も可能です。
    • SAML を利用したシングルサインオンも利用できるため、企業で利用している認証システムでのログイン・利用も可能です。
  • Confluence 自体の管理設定では、しばしば「他の各種製品の中のひとつ」といった扱いで表示されます。
  • Atlassian の他の製品との連携機能についての言及がでてきたりします。
    • 他の製品を使っていると便利な機能なのですが、使っていなければ無関係なのでスルーしてあげてください。

Confluence 内での階層構造

Confluence は「サイト」「スペース」「ページ」の階層構造で構成されます:

構成要素 これは何?
サイト Confluence を利用開始すると作られる、https://XXXX.atlassian.net/wiki に対応するもの。
「Confluence を利用開始するときに作られた、自分たちのチーム専用の Confluence のサーバー」と考えるとイメージしやすい。
スペース サイト内にいくつでも作成できる、ページを作っている場所。
「部署」「プロジェクト」など、まとめてページ・ドキュメントを管理したい単位ごとに作っていく。
ページ 1つのドキュメント。
ページの下に更にページをぶら下げて、ページを階層化・ツリー化することもできる。

表示と編集、編集と公開、下書き

Confluence のページには、「表示用の画面」「編集用の画面」があり、また、編集中のページは「下書き」になって、「公開」しているページとは別の状態にある…ということをなんとなく把握しておかないとしばしば混乱が起きます。ここではざっくりとそのへんを整理します。

正式な用語ではないですが、ページをブラウザー上で表示するときのモードとして「表示モード」と「編集モード」があります。

ページのモードの遷移

通常、ページを見るときは「表示モード」でページを見ます。見るだけのモードなので、ページの編集は行えません (うっかりページを書き換えちゃうことがないとも言える)。

ページの編集を行いたいときには、「編集」ボタンを押して「編集モード」に移行します。新規にページを作成した場合も、まず編集モードで画面が表示されます。

編集ボタンを押す

編集中のページの内容を確定し、他の人が見られる状態にする際には、「公開」または「更新」をします。

新規ページの公開

既存ページの更新

編集を始めたが、まだ「公開」や「編集」をしていないページは「下書き(ドラフト)」として保存されます。
次回編集開始時には、この下書きが使われ、前回の編集の続きから作業が行えます。

下書きがあるページには「非公開の変更」という表示が出てきます。

非公開の変更

下書きを破棄したい場合は、編集モードで「前のバージョンに戻す」というメニューを使用します。これは表現が非常に分かりづらいのですが、下書きを破棄することを示しています。

前のバージョンに戻す

Confluence の便利な使い方

ページを全幅にしよう

ページの編集画面の右上に、「→←」または「←→」というアイコンが表示されています。
これはページを全幅にするか、固定幅にするかの切り替えボタンです。

固定幅にするメリットはないように思うので、全幅にしましょう。

ページ幅の切り替え

固定幅になっていると、こんな↓感じでページの左右に余白が出てきてテキストの表示範囲が狭まり、それでいてテーブル類は固定幅をはみ出て表示されるので、ページが非常に見づらくなります:

固定幅での表示例

全幅にすることで、ページ全体の幅を使えるようになります。閲覧する人自身ががブラウザーのサイズや文字サイズを調整して最適な状態で見るようにでき、利便性が向上します:

全幅での表示例

なぜかこの使いづらい「固定幅」モードがデフォルトになっています。残念ながら、Confluence 全体の設定や、スペースの設定ではこのデフォルト値を変更することができません。

ユーザーの個人設定の「エディター」で全幅の設定をデフォルトにできるので、設定しておくとよいでしょう。
※各ユーザーが自分で設定する必要があります

個人設定>エディター

ページツリー検索ボックスを使おう

ページツリーのルートになるページには「ページツリーの検索」(pagetreesearch)を置くと、そのページツリー内のページからの検索ができて便利です。

ページツリーの検索

子ページ一覧を使おう

他のページの親ページになるだけで、そのページ自体には特に何も書くものがない場合は、「子ページ(子表示)」(children)を置くと、サイドメニューをいちいち開かなくても子ページにアクセスできて便利です。

子ページ(子表示)

段落区切りと改行の区別を知っておこう

Confluence というよりは HTML 一般の話になりますが、

  • Enter を押す → 段落区切り
  • Shift+Enter を押す → 改行区切り

となります。

段落区切りの場合、ビミョーに行と行の間に空白が生まれます。

段落区切りと改行区切り

絵文字を使おう

絵文字を使うことで視覚的にわかりやすいドキュメントを作成できます。

特に、緑丸のチェックマークの (/) と、赤丸のバツマークの (x) は、作業指示、設計の判断根拠などで使うと伝わりやすくなり見落としづらくなるのでオススメです。

絵文字の利用例

目次をつけよう

ページ内の見出しへのリンク一覧を作ってくれる「目次」コンポーネントがあります。ある程度の長さのページは見出しで整理して、目次をつけましょう。

目次コンポーネントを探す際は、「Table Of Contents」の略で「toc」という名前でも表示できます。

目次

展開ボックスを使おう

「展開」(collapse)を使うと、普段は表示されず、クリックすると展開されて表示されるブロックを作成できます。
最初に一度見たらもう二度と見ないで良い記述や、基本的に説明しなくてもみんなわかると思うけれども念のために入れておきたい記述などがあったら使うとよいでしょう。

ただし、展開内のテキストはブラウザーのページ内検索の機能で見つからなくなる(展開を開かないと検索にヒットしない)ので、ページ内検索で探したくなるような内容は入れないようにしたほうが良いでしょう。

  • 展開前の表示
    • 展開(展開前)
  • 展開後の表示
    • 展開(展開後)

コードブロックを使おう

「コードスニペット」(codeblock) を使うと、プログラムコードなど整形を行わないテキストを入れることができます。

特にコードブロックはコピーボタンがつくので、ユーザー名、パスワードといった他のシステムに入力するテキストを共有する際に使うととても便利です。
通常のテキストとして書いてしまうと、コピーしたときに前後にタブ文字や空白文字などの余計な文字がついてトラブルを起こしがちです。

コードブロックでコピー

チェックボックス(アクションアイテム)を使おう

「アクションアイテム」(ツールバーのチェックボックスマーク)を使うと、チェックボックス付きのリストを作成できます。

チェック状態もページに保存されるので、作業リストなどの作成に便利です。

チェックボックス

キーボードショートカット、オートコンプリートを使おう

Confluence はキーボードでも多くの操作をできるようになっています (キーボードショートカット)。
また、ドキュメント作成時も、マークダウン形式で入力すると見出しやテキストフォーマットの指定と解釈してくれます (オートコンプリート)。

詳細はこちら: キーボード ショートカットとオートコンプリート | Confluence Cloud | アトラシアン サポート

特に以下のキーボードショートカットはよく使うのでオススメです:

モード キーボードショートカット 操作
表示モード e ページを編集する
表示モード c 子ページを作成する
編集モード Ctrl + Enter
(Cmd + Enter)
ページを公開/更新
編集モード Alt + Shift + t
(Cmd + Shift + t)
テーブルの追加
編集モード / 要素の挿入

あと、編集モードでテキストにリンクをつける際は、リンクをつけたいテキストを選択して URL をペーストするとリンクにしてくれるといった動作もあり、知っておくとドキュメントを作りやすくなります。

閲覧権限をつけるときはコメント権限もつけよう

スペース設定で閲覧権限をつける際には、コメント権限もつけるようにしましょう。

読んだ人が「あれっ、この記述が実際と違ってるぞ」と気がついたときにコメントを入れてくれるので、後続の人が同じトラブルにハマらずに済みます。

完璧なドキュメントを作成・維持できている状況でない限り、コメント権限をつけることを強く推奨します。

コメント権限の設定

(有料)draw.io プラグインをインストールしよう

Confluence に draw.io Diagrams をインストールすると、Confluence 上で図を作成できるようになります。

有料のプラグインですが、ブラウザ上で図を書いてドキュメントに含めることができると、ドキュメントの品質が格段に向上するので、お財布と相談の上、検討の価値があります。
※ホントは Confluence 自体に機能があればいいのになあと思う。

Confluence上で図を描く

Confluence のビミョーな点

ここまで Confluence の魅力を書き綴ってきましたが、残念ながら実際使っていると Confluence にも使いづらい点があります。
こういう点は使いづらいので、覚悟の上使ってみてほしいという話題です。

全般的に表現が分かりづらい

編集を取りやめて下書きを削除することを「前のバージョンに戻す」と表現するなど、「機能を理解していれば分からなくもないが、機能を知らないと意味がわからない」表記がちょくちょくあります。

日本語へのローカライズがうまくできていないことによる部分もあるように感じます。

Confluence のどの機能をどう使うのがベストかという情報をチーム内で共有するのが良いでしょう。
それを Confluence 上で共有すれば、情報共有をするツールの使い方を情報共有するツールで情報共有する世界の出来上がりです。

ちょくちょくUIが変わる

Web サービスなのでしかたない部分ですが、ちょくちょく細かい UI が変わります。

以前あったボタンが無くなってメニューになったり、ボタンの文字表記がなくなってアイコンボタンになったり、以前は1アクションでできた操作にワンステップ挟まって2アクション必要になったり。

その結果、それまでに作った Confluence の操作方法のドキュメント類が現状と一致しなくなったりします。
「多少ドキュメントと違いがあっても知恵と勇気で乗り切ってください」という運用を行うことになります。

ユーザーが表示名でしか検索できない

ページへの権限設定などでユーザーを指定する際に部分一致でユーザーの候補を絞り込めますが、表示名でしか絞り込めず、メールアドレスで絞り込めません。

つまり「イケダム <ikedam@xxxxxxx.com>」というユーザーがいる場合に、「イケダム」では絞り込めますが、 ikedam では絞り込めないのです。

  • 表示名では絞り込めるの図
    • 表示名では絞り込める
  • メールアドレスでは絞り込めないの図
    • メールアドレスでは絞り込めない

この制限は実際に使っているとかなり不便です。

例えば社内に「佐藤」という方がたくさんいる場合、「佐藤」では特定できないため、下の名前も入力する必要が出てきます。しかも漢字で、正しく入力する必要があります。
ユーザーの選択の場面ではメールアドレスも表示されないため、「名字で絞って、絞られた中からメールアドレスで照合」ということもできません。
また、「さいとう」さんを絞り込む場合、正しい「さいとう」の漢字を入力する必要があるのでとても難しいタスクになります。

ページごとのアクセス制御ができることが Confluence の魅力のひとつですが、この制限のために使いづらい機能になっている点はとても残念なところです。

デフォルトの検索ボックスが使いづらい

Confluence ではページの右上に常に検索ボックスが表示されます。

ページ右上に固定である検索ボックス

ところがこの検索ボックスを使ってみると、いま見ているスペースだけでなく、すべてのスペースが検索対象になります。
検索結果画面でスペースを絞り込むこともできますが、「いまさっき見ていたスペース」が優先的に選択肢に出てくるわけでもありません。

この結果、「いまのスペース内で検索を行う」のはかなり面倒です。

サイドバーにサイト内検索のボックスを出せるとよいのですが、残念ながらそういうカスタム機能も標準の機能にはないようです。

Confluence を活用して情報を蓄積すればするほど、検索したときにヒットする無関係の情報も増えてしまうため、この検索ボックスの精度が落ちていくことになります。

ページタイトルがスペース内でユニークでないといけない

ページを作ると https://XXXXX.atlassian.net/wiki/spaces/SPACENAME/pages/123456678 の末尾の数字のように、一意なページ ID が発行されます。
ただそのページ ID とは関係なく、ページのタイトルをスペース内でユニークにする必要があります。

これはかなり不便です。

例えば「開発定例会議」と「運用定例会議」があり、それぞれの会議の議事録を Confluence で残しているとします。
議事録なんてタイトルを日付にするくらいで十分でしょう。そんなわけで議事録のタイトルを日付で作っていたところ、たまたま開発定例会議と運用定例会議が同じ日にありました。すると後に開催された会議の議事録を作ろうとしたときに『このスペースにはすでに「2025-01-XX」という名前のページがあります。このページに一意のタイトルを付けてください。』というエラーになり、ページにそのタイトルをつけることができません。

ページ名はユニークでないといけない

これを回避するためには「開発定例会議2025-01-XX」みたいに先頭に会議体の名前をつければいいのですが、そうするとサイドメニューには

  • 開発定例会議2025-01-06
  • 開発定例会議2025-01-13
  • 開発定例会議2025-01-20

といった具合に、無駄に同じ先頭テキストが続くことになってしまいます。

また、「基本設計書」のような一般的な名前のタイトルも使うことができません。
偶然の名前被りを避けるのであれば、「XYZシステムAAカスタマイズ/基本設計書」みたいに先頭にページツリーを反映したテキストをつけた運用が必要になります。

ページのタイトルが長くなりがちになり、ページの区別にはタイトルの末尾を見ないといけないのにタイトルが長すぎて表示されなくて区別ができない…みたいな状況が生まれやすくなります。

せっかくページをツリー構造で構造化できるのに、それをうまく活かせない状況になりがちです。

権限はしぼる方向にしか設定できない

ページに権限を設定した場合、実際にそのページにアクセスできるユーザーは以下の AND になります:

  • スペースで権限があるユーザー
  • 親ページで権限があるユーザー
  • 該当ページで権限があるユーザー

この結果、基本的に権限は親ページから子ページに向かって絞っていく方向にしか設定できません。

まず実際にできることの具体例として、以下のようなスペース、ページの権限設定は可能です:

設定対象 Aさん Bさん Cさん Dさん
スペース: XXX部 ○アクセス可 ○アクセス可 ○アクセス可 ×アクセス不可
ページ: XXXXプロジェクト向けシステム ○アクセス可 ○アクセス可 ×アクセス不可 ×アクセス不可
ページ: XXXXプロジェクト向けシステム/契約情報 ○アクセス可 ×アクセス可 ×アクセス不可 ×アクセス不可

一方、以下の最後に追加したようなページの権限設定はできません:

設定対象 Aさん Bさん Cさん Dさん
スペース: XXX部 ○アクセス可 ○アクセス可 ○アクセス可 ×アクセス不可
ページ: XXXXプロジェクト向けシステム ○アクセス可 ○アクセス可 ×アクセス不可 ×アクセス不可
ページ: XXXXプロジェクト向けシステム/契約情報 ○アクセス可 ×アクセス可 ×アクセス不可 ×アクセス不可
ページ: XXXXプロジェクト向けシステム/他部署向け共有情報 ○アクセス可 ○アクセス可 ×アクセス不可 ここをアクセス可能にすることはできない
(設定しても有効にならない)

これはビミョーな点というよりも、「この仕組みによって適切なアクセス管理が行われている」ときちんと理解して適切な運用計画を立てるべき部分と考えたほうが良いでしょう。
複雑なアクセス管理が必要な場合は、「権限は絞ることしかできない」という前提で事前に適切なスペースやページツリーの運用設計を行ってください。

スペースの権限設定が分かりづらい

ページの権限設定が「表示可能」「編集可能」というわかりやすい設定なのに対して、スペースの権限設定は極めてややこしくなっています:

スペースの権限設定

「すべて>表示」「すべて>自分の情報を削除」「ページ>追加」「ページ>アーカイブ」「ページ>削除」「ブログ>追加」「ブログ>削除」「コメント>追加」「コメント>削除」「添付ファイル>追加」「添付ファイル>削除」「制限>追加/削除」「スペース>エクスポート」「スペース>管理者」となんと実に14項目も設定項目があります。
Confluence の機能をかなり正確に理解していない限り、これをまともに運用するのは難しいです。

例えば以下のように、設定するパターンを固定にしておくのが良いでしょう

  • 管理者: 全部にチェックを入れる。
  • 編集者: 「ページ/削除」「スペース/エクスポート」「スペース/管理者」以外にチェックを入れる。
  • 閲覧者: 「すべて/表示」「すべて/自分の情報を削除」「コメント/追加」にだけチェックを入れる。

また、スペースの管理者以外、この設定状態を閲覧することができないのも運用が困難になるポイントです。
管理者以外は「このスペースに誰がアクセスできて何ができるか」を確認する方法がないため、「自分の作ったドキュメントは誰が閲覧できると期待してよいか」を判断できないので、情報共有の支障になることがしばしばあります。

Terraform などの IaC ツールでここの設定を管理して、その設定を誰でも参照できるようにするという方法も考えられますが、現在のところ、Confluence の公式な Terraform Provider が存在していません。また、 Confluence の API もかなりクセがあるものになっていて、自前で作るのもそこそこ苦労するものになっています。

絵文字でテーブルをソートできない

Confluence のテーブルにはカラムでのソート機能がついています。

比較表などを作る場合に、視覚的にわかりやすいように絵文字でマルバツをつけたくなりますが、このソート機能が絵文字に対しては正常に動作しません。どうも絵文字はテキスト的には存在しない扱いになっているようです。

絵文字はソートできない

リスト内にテーブルや引用を入れられない

複雑なドキュメントになると、リスト(箇条書き)の中にテーブルを入れたり引用を入れたりしたくなる機会がありますが、残念ながらサポートされていません。

リストにテーブルは入らない

チェックボックス (アクションリスト) の子もチェックボックスになる

作業リストなどでチェックボックス(アクションリスト)を作るときに、各アイテムについて更に詳細な補足情報を書きたい、という状況はしばしばあります。

ところがチェックボックスアイテムの下に箇条書きなどを作ることはできず、更に他のチェックボックスをぶら下げることしかできません:

チェックボックスの子要素はチェックボックス

ページの編集中にちょくちょくバグる

ページのエディターが高機能なためか、編集しているページがおかしな状態になることがしばしばあります。リストに新しいアイテムが追加できなくなるとか。

そういった場合は一度ページをリロードしたり、公開して再度編集すると復旧します。

もっともこれは、ちょくちょくやたら巨大なページや複雑なページを作ったり、利用ブラウザーが Firefox だったりする筆者に由来する問題もあったりするかもしれません。

モバイル向けのUIはあまり使いやすくない

iPhone でページを閲覧すると、Confluence モバイルというモバイル用のビューに切り替わりますが、閲覧専用です。

「デスクトップ バージョンに切り替え」をすることで PC 向けの画面を見てページの編集などもできますが、画面からはみ出てしまうパーツがあって行えない操作があるなど、十分な動作はしません。

iOS アプリを使うことで基本的な編集はできるものの、要素の追加などは限定的でデスクトップと同等のすべての編集は行えません。

モバイルでの利用については、閲覧ができれば十分くらいに考えておくとよさそうです。

使わない機能が多く分かりづらい

Confluence にはかなり多くの機能が提供されており、また、新しい機能も増えていっています。

そのせいで設定項目がかなり多くなっていて分かりづらくなったり、使わない機能への動線が本来使いたい機能の邪魔をしたりと不便を感じることがしばしばあります。

よく余計なポップアップが表示される

新しい機能の紹介のポップアップなどが表示され、本来の利用を阻害することがあります。
すぐに閉じれるようにはなっていますが、Confluence をヘビーに使っているユーザーほど煩わしく感じるはずなので、かなりビミョーです。

余計なポップアップが表示される

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