Android Studioで低スペックエミュレータを作成してアプリの動作を検証する方法
Android Studioで低スペックエミュレータを作成してアプリの動作を検証する方法
🤔 こんな悩みはありませんか?
アプリ開発をしていて、こんな経験はありませんか?
- QA用の端末では動くのに、ユーザーから「重い」「落ちる」という報告が来る
- 古い端末や低スペック端末での動作確認をしたいけど、実機がない
- メモリ不足やパフォーマンス不足での不具合を事前に発見したい
実際に僕も、QA用の端末で問題なく動いていたアプリで、ユーザーからバグ報告があったのに同じ端末では再現しないという状況に遭遇しました。
そこで、Android Studioのエミュレータで意図的に低スペック環境を作成して、より幅広い端末での動作を検証する方法を見つけたので共有します!
🎯 今回作成する低スペック環境
ターゲットスペック
実際の低スペック端末(2018-2019年頃のエントリーモデル)相当の環境を再現します:
| 項目 | 設定値 | 効果 |
|---|---|---|
| RAM | 2GB | メモリ不足を再現 |
| VM heap | 128MB | アプリ用メモリを制限 |
| CPU | 1コア | 処理性能を大幅制限 |
| Graphics | Software | GPU性能を意図的に低下 |
| Storage | 16GB | 容量不足を検証 |
🛠️ 低スペックエミュレータの作成手順
STEP1: AVD Managerを開く
Android StudioでVirtual Device Managerを開きます。右上のメニューまたはツールバーからアクセスできます。

Android Studio画面右上の「Virtual Device Manager」をクリック
STEP2: 新しいエミュレータを作成
+ボタンをクリックして新しいエミュレータを作成します。

左上の「+」ボタンをクリックして新しいデバイスを作成
STEP3: 機種を選択
機種選択では、一般的なものを選択します。今回はPixel 6を選択しました。

Pixel 6など一般的な機種を選択
STEP4: システムイメージを選択
API Levelを選択します。今回は**API 29(Android 10.0)**を選択しました。

目的に応じてAPI Levelを選択(API 26-33あたりが一般的)
古いAndroidでの動作確認なら:
- API 26-28(Android 8-9): より古い環境
- API 29-33(Android 10-13): 比較的新しい環境
STEP5: 基本設定画面
基本設定画面が表示されます。ここで最も重要なポイントがあります。

「Show Advanced Settings」をクリックして詳細設定を開く
「Show Advanced Settings」をクリックして詳細設定を開きます。これをしないと低スペック設定ができません。
STEP6: 詳細設定で低スペック化
6-1. Graphics設定を変更
Graphicsを「Software」に変更します。

GraphicsをAutomaticからSoftwareに変更
6-2. CPU設定
Multi-Core CPUを1に設定します。

Multi-Core CPUを1に設定
6-3. メモリとストレージ設定
VM heapとInternal storageを設定します。

VM heapを128MB、Internal storageを16GBに設定
- VM heap: 128MB(アプリ用メモリを制限)
- Internal storage: 16GB(容量不足を検証)
📝 今回紹介した設定は一例です
この記事で紹介した設定値は、あくまで一例です。検証したい内容や目標とする端末スペックに応じて、適した設定値を選んでください。
設定値の調整例
さらに低スペックにしたい場合:
- RAM: 1GB
- VM heap: 64MB
- CPU: 1コア(そのまま)
少し性能を上げたい場合:
- RAM: 3GB
- VM heap: 256MB
- CPU: 2コア
💡 各設定の効果と検証ポイント
Graphics: Softwareの効果
- UI描画の遅延
- スクロール時のカクつき
- アニメーション処理の重さ
CPU 1コアの効果
- アプリ起動の遅延
- マルチタスク性能の低下
- 重い処理での応答性悪化
VM heap制限の効果
- メモリ不足による処理遅延
- アプリのクラッシュ(OutOfMemoryError)
- バックグラウンドアプリの強制終了
Storage 16GBの効果
- アプリインストール容量の制限
- キャッシュ容量不足
- ストレージ不足エラーの再現
🎯 効果的な検証方法
1. パフォーマンステスト
- アプリ起動時間の計測
- 画面遷移の応答性確認
- 重い処理での動作確認
2. メモリ使用量の監視
- Android Studio Profilerでメモリ使用量を監視
- メモリリークの検出
- ガベージコレクションの頻度確認
3. 実用的なシナリオテスト
- 長時間使用での安定性
- バックグラウンド復帰時の挙動
- 他アプリとの同時実行
⚠️ 注意点とトラブルシューティング
設定が変更できない場合
Play Storeマーク付きシステムイメージでは一部設定が制限されます。STEP4で必ず**通常のシステムイメージ(Play Storeアイコンなし)**を選択してください。
エミュレータが重すぎる場合
- VM heapを256MBに増やす
- RAMを3GBに増やす
- 段階的に性能を上げて最適なバランスを見つける
まとめ
意図的に低スペック環境を作ることで、QA端末では発見できなかった問題を事前に検出できます。
重要なポイント:
- 🔧 Play Storeアイコンがないシステムイメージを選択
- 📊 Show Advanced Settingsで詳細設定を開く
- 🧪 各種スペックを目的に応じて調整
- 🎯 実際の低スペック端末での動作を再現
QA端末だけでは見つからない問題も、この方法で事前に発見し、より多くのユーザーに快適に使ってもらえるアプリを作りましょう!
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