🌀

JavaScriptの乱数生成: Math.random()と他の言語との違いを探る

2023/04/08に公開

はじめに

コンピュータは本当にランダムなことを考えるのが苦手です。
なので、プログラミング言語では擬似乱数生成器(PRNG)が使われています。
JavaScriptにもMath.random()関数がありますが、他の言語と違うアルゴリズムが使われていることもあるんですよ。
今回は、JavaScriptのMath.random()について楽しく学んでいきましょう!

コンピュータにランダムは難しい

コンピュータは基本的に決められたアルゴリズムに従って動作するため、同じ入力が与えられれば同じ出力を返すことが一般的です。この性質があるため、コンピュータが本当のランダムを扱うことは難しいのです。
そこで、擬似乱数生成器(PRNG)が登場しました。PRNGは、ある程度ランダム性を持つ数列を生成するアルゴリズムを用いて、コンピュータにランダムな値を生成させることができます。
ただし、生成される数列はあくまで擬似的なものであり、真のランダム性を持つわけではありません。

主要なランダムアルゴリズムの紹介

ここで、いくつかの主要なランダムアルゴリズムについて簡単に紹介します。

  • 線形合同法 (LCG): 古くから使われているシンプルなアルゴリズムで、計算速度が速いのが特徴です。しかし、周期が短く、乱数の品質が低いとされています。
  • メルセンヌ・ツイスタ (MT): 周期が非常に長く、乱数の品質も高いとされているアルゴリズムです。計算速度はLCGより遅いですが、多くのプログラミング言語でデフォルトの乱数生成アルゴリズムとして使われています。
  • Xorshift: 速度とメモリ使用量の面で優れており、乱数の品質もそれなりに高いとされているアルゴリズムです。ただし、メルセンヌ・ツイスタに比べると、数学的な弱点があります。
  • クリプトグラフィック・ランダム・ジェネレータ: セキュリティが重要なアプリケーションで使用される、より強固なランダム性を持つアルゴリズムです。暗号学的に安全なものが求められる場面で使われますが、通常のアプリケーションにはオーバーキルであることが多いです。

これらのアルゴリズムはそれぞれ異なる特徴を持っており、用途によって適切なものが選ばれます。次の章では、JavaScriptのMath.random()で使われるアルゴリズムについて詳しく見ていきましょう。

JavaScriptのMath.random()のアルゴリズム

JavaScriptのMath.random()関数は、実装によって使われているアルゴリズムが異なりますが、よく使われているのはXorshiftです。このアルゴリズムは速くてメモリもあまり使わないため、ウェブブラウザ上で動作するJavaScriptのような環境に適しています。ただし、数学的には弱い点があるため、予測可能な乱数となる場合があります。

整理すると、以下のようなことが言えます。

  • Math.random()は簡単なアプリケーションでの乱数生成には適している
  • セキュリティが重要な場面では、クリプトグラフィック・ランダム・ジェネレータを利用することが推奨される

他の主要言語で使われているランダムのアルゴリズム

実は、言語ごとに標準で使われているランダムのアルゴルズムは異なります。
それぞれのプログラミング言語がよく使われる用途や環境に合わせて、最適な乱数生成アルゴリズムが選ばれているのです。

  • C: LCG
  • C++: メルセンヌ・ツイスタ
  • Python: Mersenne Twister(デフォルト)、Xorshift(オプション)
  • Java: LCG(デフォルト)、Xorshift(オプション)
  • Ruby: Mersenne Twister
  • PHP: LCG
  • Swift: Xorshift

例えば、Pythonではメルセンヌ・ツイスタがデフォルトの乱数生成アルゴリズムとして使われています。これは、Pythonがデータ解析や機械学習などの分野でよく使われるため、より高品質な乱数が求められることが多いからです。
一方で、JavaScriptはウェブアプリケーションやゲームなど、リソースが限られた環境で動くことが多く、速度とメモリ使用量を重視したXorshiftが主要なアルゴリズムとして使われています。
このように、それぞれのプログラミング言語がよく使われる用途や環境に合わせて、最適な乱数生成アルゴリズムが選ばれているのです。

最後に

今回の解説を通じて、JavaScriptのMath.random()の背後にあるアルゴリズムや他のプログラミング言語との違いを理解できたことでしょう。それぞれの言語がどのような状況で最適な乱数生成アルゴリズムを採用しているかを知ることで、より効果的にプログラミングを行うことができます。

JavaScriptのMath.random()を使ったプログラミングは、アプリケーションやゲームの開発においても大変役立ちます。ただし、セキュリティが重要な場面では、より堅牢なクリプトグラフィック・ランダム・ジェネレータの利用が推奨されています。この記事を参考に、JavaScriptの乱数生成アルゴリズムについて理解を深め、効果的なプログラミングを行ってください。

Discussion