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【TEST】リグレッションテストとは?、品質を確保する

2023/10/05に公開

最初に

システムの開発が進み、その複雑さが増してくると、改修した部分が影響して不具合が発生するリスクが高くなります。 そのため、改修内容に応じてその影響を確認する「リグレッションテスト」を実施して、不具合を早期に検出することが重要です。

リグレッションテスト(regression test)

リグレッションテスト(regression test)とは、プログラムの一部分を変更・修正したことで、ほかの箇所に予想外不具合が出ていないかを確認するためのテストです。

ソフトウェア開発の品質保証プロセスの一部として行われるテストの種類で、新しいコードや機能が既存のソフトウェアに追加された場合や、既存のコードに変更が加えられた場合に、既存の機能が影響を受けないことを確認するために行われます。

リグレッションテスト(Regression Testingとデグレーション(Degradation)

デグレーション(Degradation)

「悪化」「退化」という意味です。プログラムの不具合を修正したときに、ほかに新たな不具合が出てくることをデグレーションといいます。品質や機能が修正前より悪い状態になることです。リグ

リグレッションテスト(Regression Testing)

  • リグレッションテストは、ソフトウェアの新しい変更が既存の正常な機能に対して負の影響を及ぼしていないことを確認するためのテストプロセス。
  • リグレッションテストは、ソフトウェアに新しい機能や修正が導入された際に、既存のテストケースを再実行して、変更が既存の機能に影響を与えないことを確認します。
  • 目的は品質の維持と、新しい変更による既存のバグの再発を防ぐことです。

デグレーション(Degradation)

  • デグレーションは、通常、ソフトウェアやシステムの性能や品質が時間とともに低下する現象を指します。
  • この低下は、新しい変更がない場合でも、ソフトウェアの利用状況、リソースの使用、データの増加などに関連して発生することがあります。
  • デグレーションの原因は、リソースの枯渇、アルゴリズムの効率性の低下、データベースのインデックスの壊れ、ハードウェアの老朽化などさまざまです。

つまり、プログラムの修正によりデグレーションが起こっていないかどうかを検証するためのテストが、リグレッションテストです。デグレーションを検証することから、リグレッションテストには「ノンデグレードテスト」「回帰検証」という言い方もあります。

リグレッションテストの目的

  1. 変更の影響評価: 新しいコードや変更が既存のコードにどのように影響を及ぼすかを確認し、予期せぬバグや問題を発見するため。
  2. 品質保証: ソフトウェアの品質を維持し、変更が既存の正常な機能に悪影響を及ぼさないことを確保するため。
  3. 自動化: リグレッションテストは多くの場合、自動化され、変更が加えられるたびに自動テストスクリプトが実行されることが一般的です。これにより、継続的な品質確保が効率的に行えます。

リグレッションテストは、ソフトウェア開発プロセスの一環として繰り返し実施され、新しいバージョンやリリースがリリース前に確認されます。これにより、変更が既存の機能に問題を引き起こす可能性を最小限に抑え、ソフトウェアの安定性と品質を維持できます。

リグレッションテストのタイミング

リグレッションテストを行うタイミングは、バグ発生時や単体テスト、結合テスト、総合テストなど、それぞれのテストの後です。バグや不具合を発見したら修正を行い、また同じテストを行って不具合がないかを検証します。通常のテストと同じようにテストケースも作成します。

一般的なタイミングの例

  1. コードの変更後:
    • ソフトウェアに新しい機能が追加されたり、既存のコードに変更が加えられた直後にリグレッションテストが行われます。
    • この段階で、新しい変更が既存の正常な機能に影響を及ぼす可能性があるため、変更が統合された後にテストが実行されます。
  2. ビルドまたはコンパイル後:
    • ソフトウェアが新しいビルドやコンパイルされたバージョンに更新された場合、リグレッションテストを実行することが一般的です。
    • ビルドプロセスの一環として自動化されたテストが実行され、新しいバージョンの安定性が確認されます。
  3. 定期的なスケジュールで:
    • リグレッションテストは、定期的なスケジュールで実行されることもあります。特定のプロジェクトやソフトウェア開発組織では、週次、月次、またはクオータリーなどの定期的なタイミングでテストを実施し、品質を維持します。
  4. バグの修正後:
    • バグが見つかり、修正が行われた場合、修正されたバージョンがリリース前に再度テストされます。これにより、修正が正しく機能し、他の機能に影響を与えていないことが確認されます。
  5. 継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)パイプライン内:
    • CI/CDパイプライン内で自動化されたリグレッションテストが実行され、新しいコードがリリース可能な状態であることを確認します。コミットやプルリクエストが行われた際に自動的にテストが走ることが一般的です。

リグレッションテストは、ソフトウェアの品質を確保するために繰り返し実行されるため、ソフトウェア開発プロセスの中で重要な要素です。テストのタイミングは、プロジェクトの要件や開発プロセスに応じて調整されます。

リグレッションテストの範囲

グレッションテストの範囲は、フトウェアプロジェクトの特定の要件や目標に基づいて決定されますが、リ一般的には以下のポイントに焦点を当てることが多いです。

  • 既存の主要な機能
    ソフトウェアの主要な機能やコア機能に対するテストがリグレッションテストの中心です。これらの機能は、ユーザーにとって重要であり、安定して動作する必要があります。

  • 関連する機能
    新しい変更や修正が行われた機能と、それに関連する機能に対するテストも重要です。変更が影響を及ぼす可能性があるためです。

  • 依存関係のあるコンポーネント
    ソフトウェア内の異なるコンポーネントやモジュールが互いに依存している場合、変更が一つのコンポーネントに影響を及ぼす可能性があるため、これらの依存関係を考慮したテストも含まれることがあります。

  • セキュリティ
    セキュリティ要件が高い場合、リグレッションテストはセキュリティの脆弱性を特に重視します。セキュリティに関連する変更がある場合、セキュリティテストがリグレッションテストに含まれます。

  • パフォーマンス
    ソフトウェアの性能が重要な場合、性能のリグレッションテストも考慮されることがあります。変更が性能に影響を与える可能性があるためです。

  • データの整合性
    ソフトウェアがデータベースを使用する場合、データの整合性や正確性を確認するためのテストも含まれることがあります。

  • クロスプラットフォーム互換性
    ソフトウェアが異なるプラットフォームやブラウザで動作する場合、クロスプラットフォーム互換性のテストもリグレッションテストの一部に含めることがあります。

  • ユーザーエクスペリエンス
    ユーザーエクスペリエンスに関連する変更がある場合、ユーザーインターフェース(UI)テストやユーザーアクションのシナリオテストも考慮されます。

リグレッションテストの範囲はプロジェクトの要件や目標に依存し、変更の性質やプロジェクトのスケジュールにも影響を受けます。テストケースは、変更の性質とその影響を評価するために慎重に選択されるべきです。また、自動化されたテストスクリプトを使用して、リグレッションテストを効率的に実行することが一般的です。

効率的に開発を進めるにはリグレッションテストの範囲を絞り、一定の基準を設定する必要があります。また、あらかじめリグレッションテストにレベルを設けておいて、その時々によって決められたレベルのテストのみを行うという方法もあります。

リグレッションテストを行わないリスク

リグレッションテストを行わない場合、ソフトウェア開発プロジェクトにいくつかのリスクが生じる可能性があります。以下は、リグレッションテストを行わないことに関連する主なリスクです

  • 新しいバグの逸見
    ソフトウェアに新しい変更や機能が追加されたり、既存のコードが変更された場合、これらの変更が予期せぬバグや問題を引き起こす可能性があります。リグレッションテストを実行しないと、これらのバグが検出されず、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼす可能性が高まります。

  • 品質低下
    リグレッションテストを怠ることにより、ソフトウェアの品質が低下する可能性があります。品質低下は、ユーザーや顧客からの不満、サポートの負荷増加、競合他社に対する不利益な影響などを引き起こす可能性があります。

  • ユーザーエクスペリエンスの低下
    リグレッションテストを実施しないと、ユーザーエクスペリエンスに問題が発生し、アプリケーションの信頼性や使いやすさが低下する可能性があります。これはユーザーの満足度を低下させ、顧客維持率を低下させる可能性があります。

  • タイムリーな修正の困難さ
    リグレッションテストを怠ると、変更に関連するバグが発見された場合、そのバグの修正が遅れ、プロジェクトの進捗に遅延が生じる可能性があります。タイムリーな修正が行われないと、品質問題が悪化する可能性が高まります。

  • サポートコストの増加
    ユーザーエラーやバグに対するサポートコストが増加する可能性があります。顧客からの問い合わせや不満の対応に時間とリソースを費やす必要があるため、適切なリグレッションテストが行われないと、サポート部門に追加の負荷がかかります。

  • 信頼性の低下
    ソフトウェアの信頼性が低下すると、ユーザーはそのソフトウェアを信じなくなる可能性があり、競争力を失う可能性があります。信頼性は製品やサービスの成功に不可欠な要素です。

リグレッションテストを行わないと、品質、信頼性、ユーザーエクスペリエンス、プロジェクトの進行に関連する多くのリスクが発生する可能性があります。リグレッションテストはソフトウェア開発プロセスの重要な一部であり、品質保証のために欠かせない活動です。

まとめ

リグレッションテストの重要性は理解していても、省略されたり雑になったりしがちです。
しかし、そのまま納品してしまうと、後になって重大なトラブルが起こるため、リグレッションテストは業務の重要な一部分であると認識して、きちんと実施しましょう。

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