Gemini 1.5 の凄さを7万字超の小説「人間失格」で検証

2024/05/20に公開

何が凄いのか

LLMの常識として「入力するコンテキスト(プロンプト)が増えると性能が低下する」というものがあります。
論文の要約のように情報を圧縮する処理は得意ですが、それ以外のこと、例えば入力した大量のコンテキストの一部分だけを取り出してもらうなどの処理は上手くいかず、ハルシネーションを起こしがちです。
これはLLMの根幹技術である深層学習の仕組み上難しく、長年改善が試みられています。

そういった事情があるので、「Gemin 1.5 が一度に200万トークンまで扱えるようになった」というニュースを目にしても、正直さして興味を抱かなかったのですが…。

Gemini 1.5 に小説を読ませてみる

文脈の深い理解が求められる文章といえば小説。
ということで、Geminiに太宰治の「人間失格」を読み込んでもらいます。
プロンプトは改行込みで7万3881文字です。

以下の要約をしてください
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人間失格
太宰治

はしがき

 私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
...

結果は以下になります。
(太宰治の「人間失格」を読んだことがない方はネタバレ注意⚠️)

太宰治の「人間失格」は、主人公である「私」が、自身の「恥の多い生涯」を告白する形で綴られた手記です。

「私」は、幼い頃から周囲を笑わせるお道化役を演じてきましたが、内心は深い不安と恐怖にさいなまれていました。人間への不信感、周囲とのコミュニケーションの難しさ、そして自分自身の心の闇を理解できないことに苦しんでいます。

「私」は、家族、学校、友人、女など、さまざまな人間関係の中で、常に逃げるように生きてきました。周囲に受け入れられようとし、自分を理解してもらおうとする努力はしますが、その裏には深い孤独と絶望が潜んでいます。

特に、「私」は女性との関係において、深い傷を負います。幼い頃から女性に囲まれて育ちながらも、女性という存在を理解することはできず、常に不安と恐怖に怯えていました。そして、鎌倉での情死事件、高円寺での女との同棲、京橋のスタンド・バアでの出会い、そして脳病院への入院と、一連の出来事を通じて、女性との関係においては、自分の弱さと脆さを露呈させ、深い悲しみと絶望を味わいます。

「私」は、酒と薬に溺れ、次第に精神を蝕まれていきます。その一方で、周囲の人々からの愛情や信頼を、無意識に受け止め、利用しながら生きてきました。しかし、その行為によって、周囲の人々に傷を与えることにも気づき始めます。

最後は、脳病院に入院し、家族に引き取られて田舎の温泉地で療養生活を送るという結末を迎えます。そこでの生活の中で、「私」は、自分自身と向き合い、深い孤独と絶望を受け入れることを余儀なくされます。

「人間失格」は、自分自身の心の闇と向き合い、人間としての生き方を模索する「私」の物語であり、同時に、周囲の人々との複雑な関係、そして人間の普遍的な弱さと脆さを描いた作品です。

以下に、要約した内容をより詳しく説明します。

  • 人間への不信感と孤独: 「私」は、幼い頃から周囲を笑わせることで、自分の心の闇を隠そうとしてきました。しかし、その行動は、周囲との距離を生み、孤独を深める結果に繋がります。
  • 自己理解の困難: 「私」は、自分自身を理解することができません。周囲から「幸せ者」と見なされながらも、内心は常に不安と恐怖にさいなまれています。自分の心の奥底に潜む闇を理解しようとしますが、その深淵に呑み込まれてしまい、絶望の淵に突き落とされます。
  • 女性との関係における悲劇: 「私」は、女性に対して強い恐怖と憧れを抱いています。しかし、その複雑な感情ゆえに、女性との関係を築くことができません。一連の失敗と挫折を通じて、女性への理解の難しさ、そして自身の心の脆さを痛感します。
  • 酒と薬への依存: 「私」は、酒と薬に溺れることで、現実から逃避しようとします。しかし、その行為は、精神を蝕み、さらに深く不幸へと突き落とします。
  • 周囲の人々との複雑な関係: 「私」は、周囲の人々からの愛情や信頼を、無意識に受け止めながら生きてきました。しかし、その行為は、周囲の人々に傷を与えることにも気づき始めます。
  • 罪悪感と絶望: 「私」は、自身の行為によって周囲の人々に傷を与えてしまったという罪悪感にさいなまれます。そして、自分自身を許すことができず、深い絶望へと突き落とされます。

「人間失格」は、主人公の「私」の物語を通して、人間の心の複雑さ、周囲との関係の難しさ、そして生きることの苦しみを描いた、深い感銘を与える作品です。

何というか、「読書感想文という宿題はもう無理では」と確信する性能ですね。
全体のあらすじを書いたあとに、箇条書きで物語の要点まで解説してくれています。

次に、登場人物について尋ねてみます。

テツとは誰ですか?

テツは、物語の最後に少しだけ登場する人物です。
7万文字以上ある小説のうち、数百文字程度しか登場しません。

テツは、「人間失格」の後半部分で登場する、葉蔵が療養生活を送るために移り住んだ東北の温泉地の茅屋の老女中です。彼女は、六十歳近くで、ひどい赤毛の醜い女性として描写されています。

葉蔵は、家族からその茅屋とテツを世話係として与えられます。葉蔵は、テツに対しては、当初はあまり関心を抱いていませんでしたが、療養生活を送る中で、次第に彼女との関係が深まっていきます。

小説の中では、葉蔵とテツの関係は、複雑で曖昧な描写となっています。葉蔵は、テツに幾度か「へ

途中で止まっているのはGeminiの不健全なコンテンツの出力制限に引っかかったからです。
昔の小説って酷い描写が多いので仕方が無いですね。試す小説を間違えたかもしれない。
とはいえ、出力内容は正確です。

次に、物語の根幹のテーマを変えられるか?という趣旨の質問をしてみます。

主人公の葉蔵はどうすれば幸せになれましたか?

この質問、かなり意地悪なものです。
というのも主人公の葉蔵は生来の気性によって、どう足掻いても本人の求めている幸せを得ることが出来ないためです。
生まれつき運動音痴の人がプロのスポーツ選手になるにはどうしたら良いか?と質問しているようなものですね。

葉蔵が幸せになれたかどうかは、この物語の大きなテーマであり、明確な答えはありません。むしろ、太宰治は葉蔵の不幸を通して、人間の根源的な苦しみや生きることの困難さを描いていると言えるでしょう。

葉蔵の不幸は、彼の内面的な要素と、周囲の環境が複雑に絡み合った結果です。彼が幸せになるには、以下のような要素が変化する必要があったかもしれません。

  • 人間への不信感を克服する: 葉蔵は、人間を深く恐れており、周囲の人々を信じることができません。もし彼が、心から信頼できる人を見つけ、人間関係を築くことができれば、孤独から解放されるかもしれません。
  • 自己受容: 葉蔵は、自分自身を深く嫌悪し、常に周囲に認められようとしてきました。もし彼が、自分の欠点も含めて受け入れることができ、自分自身を愛せるようになれば、心の安定を得られるかもしれません。
  • 周囲とのコミュニケーション: 葉蔵は、周囲の人々とコミュニケーションをとることが苦手です。もし彼が、自分の気持ちを率直に伝えることができ、周囲の人々と心を通わせる方法を見つければ、孤独感を克服し、より良い人間関係を築けるかもしれません。
  • 依存からの脱却: 葉蔵は、酒や薬に依存することで、現実から逃れようとしてきました。もし彼が、依存から抜け出し、自らの力で困難に立ち向かうことができなければ、真の幸福は得られないでしょう。
  • 環境の変化: 葉蔵は、周囲の環境に大きく左右されてきました。もし彼が、自分を理解してくれる人々や、安定した生活環境を得ることができれば、精神的な安定を得られるかもしれません。
  • 時代の変化: 葉蔵が生きていた時代は、戦争や社会不安など、様々な困難を抱えていました。もし彼が、より平和で安定した時代を生きていれば、心の傷も少なく、幸せを感じることができたかもしれません。

しかし、これらの要素は、叶蔵の性格や置かれた状況を考えると、容易に克服できるものではありません。太宰治は、葉蔵を通じて、人間の抱える根本的な苦しみ、生きることの困難さ、そして幸せという概念の複雑さを私たちに問いかけていると言えるでしょう。

葉蔵が幸せになれたかどうか、それは読者それぞれの解釈に委ねられます。しかし、彼の悲劇的な物語は、私たちに、自分自身と向き合い、他者とのつながりを大切にすることの重要性を教えてくれるのではないでしょうか。

ヤバい
「葉蔵が幸せになる方法」が物語の主題と関わっていることを見抜いた上で、「葉蔵の求める幸せが非常に困難であること」によって作者が描きたいものを説明しています。
さらに、具体的に小説の設定をどう変えたら幸せになれたのかを箇条書きでいくつも提示してくれています。

ここまで文脈を理解できるのって、人間でもごく少数に思います。
日頃から沢山の小説を読んでいてかつ、文章としてまとめる習慣のある人なければ難しいのではないでしょうか。

おわりに

ちなみに、これはGemini 1.5 Proではなく、Gemini 1.5 Flashでの出力結果です。
最初の要約ですら約45秒で出力されました。
Google AI Studioなので現時点では無料です。

具体的なGeminiのモデル仕様はこちらで確認できます。

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