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malloc: nano zone abandoned due to inability to reserve vm space. の解決策

2023/09/15に公開

問題

アドレスサニタイザ(プログラムでのメモリの問題を検出するツール)を使用するために、-fsanitize=addressオプションを使用してコンパイルしたプログラムを実行すると、

malloc: nano zone abandoned due to inability to reserve vm space.

というメッセージが出た。(プログラムは実行された。)

解決策

以下のようにプログラムを実行する。

MallocNanoZone=0 ./a.out

環境変数MallocNanoZoneを0に設定することで、nano zoneというメモリ確保の機能を無効にする。
問題となっているメッセージは、システムがnano zoneを用いてメモリを確保することを諦めて、別のメモリ確保の方法にフォールバックしたことを示していて、それはnano zoneとアドレスサニタイザとの間の互換性の問題に起因している。

nano zone

nano zone は macOS の libmalloc ライブラリにおいて、小さなメモリ確保のための特定のメカニズムです。このメカニズムは、特に小さなメモリ確保要求を高速に処理することを目的としています。

ここでの「小さな」メモリ確保とは、通常、数バイトから数百バイトの領域を指します。多くのアプリケーションでは、このような小さなメモリブロックの確保と解放が頻繁に行われるため、これを高速化することはパフォーマンスの向上に貢献します。

以下は nano zone の特徴や動作に関するいくつかのポイントです:

  1. 高速: nano zone は、小さなメモリ確保要求を非常に高速に処理するように設計されています。これにより、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。

  2. 固定サイズ: nano zone は、固定サイズのメモリブロックを使用して動作します。これにより、メモリのフラグメンテーション(メモリの断片化)を減少させ、メモリ確保と解放のオーバーヘッドを低減します。

  3. バンド: nano zone は仮想メモリアドレス空間の特定の範囲、または「バンド」と呼ばれる領域を使って動作します。このバンド内でメモリが確保および解放されることで、効率的なメモリの使用が可能となります。

  4. スレッドセーフ: nano zone の動作は、マルチスレッド環境でも安全です。このため、マルチスレッドのアプリケーションでもメモリの確保・解放に関する競合や問題が発生しにくくなります。

  5. 制限: ただし、nano zone は小さなメモリ確保のためだけに設計されているため、大きなメモリブロックの確保要求には適していません。大きなメモリ確保要求は、他のメモリ管理メカニズムに委譲されます。

nano zoneとアドレスサニタイザでは、どこに互換性の問題があるの?

アドレスサニタイザ(AddressSanitizer)は、メモリの不正アクセスやバッファオーバーフロー、バッファアンダーフロー、メモリリークなどのバグを検出するためのツールで、プログラムの動的検査を行います。具体的には、コンパイラのサポートを受けて、バイナリに特別なフックや検査ルーチンを注入します。

この検査ルーチンやフックの注入により、アドレスサニタイザはプログラムの仮想アドレス空間の配置や使用方法を大きく変更します。具体的には、各メモリ確保の間に"red zones"や"shadow memory"と呼ばれる特別な領域を配置して、不正なメモリアクセスを検出します。

一方、nano zoneは、仮想メモリアドレス空間の特定の範囲や「バンド」における固定サイズのメモリブロックの確保を効率的に行うためのメカニズムです。このバンドや固定サイズのメモリブロックの使用方法は、あらかじめ計算され、最適化されています。

この2つのメカニズムが合わさると、次のような問題が発生します:

  1. アドレスの衝突: アドレスサニタイザがメモリアクセスの検査のために配置する特別な領域と、nano zoneが効率的なメモリ確保のために利用する仮想アドレス空間のバンドが衝突する可能性があります。この衝突が原因で、nano zoneのメモリ確保が予期しない方法で失敗することがあります。

  2. 領域の計算の困難: nano zoneが仮想アドレス空間のバンドをどのように利用するかの計算が、アドレスサニタイザの変更により正確に行えなくなる可能性があります。この結果、nano zoneの効率的なメモリ確保のメカニズムが適切に機能しなくなります。

これらの理由から、nano zoneとアドレスサニタイザとの間に互換性の問題が発生することがあります。そのため、アドレスサニタイザを使用する場合は、nano zoneを無効にすることが推奨されることがあります。

記事を読む上での注意点

この記事は、書籍やネット上の記事、ChatGPTなどから作成した私の学習ノートです。
私はまだ経験の浅い学生であり、記述に誤りがあるかもしれません。
もし誤りを見つけた場合は、コメント欄でご指摘いただけると幸いです。
よろしくお願いします🙇‍♂️

参考

https://stackoverflow.com/questions/69861144/get-an-error-as-a-out40780-0x1130af600-malloc-nano-zone-abandoned-due-to-in

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