この記事では時刻tにシステム内にn人いる確立をPn(t),単位時間あたりに到着する人数の平均をλ,サービスを受ける人数をμとした時の微分方程式を導く.
この待ち行列には以下の3つの確率が絡んでくる.
時刻tでn人並んでいる確立 |
Δtの間に客が来る確立 |
Δtの間にサービスが終わる確立 |
Pt(n) |
λΔt |
μΔt |
時刻t+Δtにおいて待ち行列の長さがnである確立Pn(t+Δt)は4つの状態から遷移し起こりうる.
時刻tでn-1人並んでいて,その後1人並びサービスが1人終わらない場合
Δtの間にサービスが終わらない確率は(1−μΔt)と表される.
Pn−1(t)λΔt(1−μΔt)
時刻tでn人並んでいて,その後1人並び1人サービスが1人終了する場合
Pn(t)λΔtμΔt
時刻tでn人並んでいて,その後誰も来ずサービスが1人も終わらない場合
Pn(t)(1−λΔt)(1−μΔt)
時刻tでn+1人並んでいて,その後誰も来ずサービスが1人終了する場合
Pn+1(t)(1−λΔt)μΔt
以上より,
Pn(t+Δt)=Pn−1(t)λΔt(1−μΔt)+Pn(t)λΔtμΔt+Pn(t)(1−λΔt)(1−μΔt)+Pn+1(t)(1−λΔt)μΔt
といえる.これをさらに式変形する.具体的にはΔt→0としたときに誤差項として扱う(Δt)2を含むものとΔtを含むもの,そうでないものに分け,微分の定義の形となるようにしている.式変形の便宜上(Δt)2を含むものも計算しているが,実際に計算を行う場合はΔt→0とすると消えるので計算しなくとも良い.
Pn(t+Δt)=Pn−1(t)λΔt+Pn(t)+Pn+1(t)μΔt−Pn−1(t)λμ(Δt)2+Pn(t)λμ(Δt)2−Pn+1(t)μ(Δt)2+Pn(t)μλ(Δt)2Pn(t+Δt)=Pn(t)+Δt(Pn−1(t)λ−Pn(t)μ−Pn(t)λ+Pn+1(t)μ)+−Pn−1(t)λμ(Δt)2+Pn(t)λμ(Δt)2−Pn+1(t)μ(Δt)2+Pn(t)μλ(Δt)2ΔtPn(t+Δt)−Pn(t)=Pn−1(t)λ−Pn(t)μ−Pn(t)λ+Pn+1(t)μ−Pn−1(t)λμ(Δt)2+Pn(t)λμ(Δt)2−Pn+1(t)μ(Δt)2+Pn(t)μλ(Δt)2
ここでΔt→0とすると微分の定義と(Δt)2を含む項が消えることによって
dtdPn(t)=Pn−1(t)λ−Pn(t)μ−Pn(t)λ+Pn+1(t)μdtdPn(t)=Pn−1(t)λ−(μ+λ)Pn(t)+Pn+1(t)μ
以上よりM/M/1待ち行列の微分方程式を導くことができた.
Discussion