複数のAIと進めたキャリア再構築プロジェクト – ChatGPTをチームメンバーにする方法
1. イントロダクション
転職活動の最大の難関は「自分をどう人に見せるか」にある。
そのための職務経歴書や自己紹介文の作成は、まさに自分を再評価するような辛さがある。
その孤独な作業に向き合った私は、すぐに限界を感じた。 そして、ChatGPTに相談することを選んだ。
2. GPTをチームとして使う発想
実際に取り締んだ作業は、以下のようなものだ:
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職務経歴書から、希望の職種に見合った経験を抽出する
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該当経験の要約を、希望の職種に見合ったものに修正する
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修正した職務経歴書自体を出力する
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履歴書の応募勢力を修正する
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転職媒体での説明文を修正する
これだけのタスクを、一つのGPTでこなすのは難しい。 セッション制限の問題もあるが、それぞれの作業には異なるスキルや判断基準が必要であり、得意分野もGPTごとに違うからだ。
AIチームの人事係、GPT_Catalogerの協力を得て、 最終的には、以下のような配置を決めた。
1、2: 抽象語から論理文への変更専門GPT
3 : 出力形式調整GPT
4、5: 読み手を想定した文体最適化GPT
全体統括用に、プロジェクト管理GPTも投入した。
最初に決めた各タスクの担当は、実際に動かしてみると配置ミスもあった。 その部分はその部分で調整しながら進めることになったが、これはまさに実際のチーム運営に近い感覚だった。
単なるチャットではなく、役割を持ったAIチームと協働する感覚~~それこそが今回の体験の核心だったように思う。
3. 実際の作業プロセス
このチームで進めた作業は多層的で、たとえば以下のような内容だった:
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職務経歴書のレビュー
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自分の役割や立場の言語化
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自己紹介文の長短版作成
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Obsidianを使ったメモ管理
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Wantedly / Zenn / ポートフォリオ間での内容合一
それぞれの作業は、先ほどのGPTたちが支援した。
よく見れば、私はAIを「ツール」ではなく、「役割を持つメンバー」として使っていたのだと分かってきた。
4. チームAIとの対話で見えたこと
GPTをひとつの賢いツールとして使うのではなく、専門役割を持った小さなチームとして動かしてみたことで、思考の質に変化があった。
あるGPTは、私の漠然とした言葉を構造に変え、 あるGPTは、文脈に応じたトーンや文体を整え、 またあるGPTは、出力形式の違いに合わせて粒度を調整してくれた。
こうした複数の視点が重なることで、私の思考は一方向ではなく、多面的に整理されていった。 ひとりの相手ではなく、異なる特性を持つ“複数の応答”と対話する。 その体験は、「考えること」自体の解像度を高めてくれたように思う。
5. なぜこのプロセスを記録したのか
キャリアにおける課題──たとえば転職や方向転換──は、個人的で、内省的で、孤独になりがちだ。
けれどそこに、問いを受け取って変換し、別の角度から返してくれるAIの存在があったことで、 私は思考の中に別の“声”を持てるようになった。
このプロセスは、見た目に派手な実績ではない。 けれど、確実に「考える技術」「問いを運ぶ力」が鍛えられていったと感じている。 それを、記録としてここに残しておきたかった。
6. おわりに
自分を言葉にすることは、思っているよりはるかに骨の折れる作業だ。
だからこそ、役割を持ったAIたちと実際に対話を重ねながら進めたこのプロジェクトは、 「一人でやる転職準備」ではなく、「複数の視点を持つ思考環境をつくる試み」だったのだと思う。
そして何よりも、 考えることそのものを「スキル」として扱える感覚を得られたこと。
それが、このプロジェクト最大の収穫だった。
この記事が、誰かの「問い直し」のきっかけになれば幸いだ。
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