「会話できる遺影」のサービスを見て考えた ~家族メモリアルとしてのAI~
導入:世の中のサービスをきっかけに
テレビで、「会話できるAIサービス」の特集をやっていた。
生前の映像や音声をもとに、故人が“話しかけてくる”ようなサービスも紹介されていた。
中には、坂本龍馬のAIや、著名人を模したAIもあって、「会話できる遺影」という言い方すらされていたように思う。
UI利用が主な立場としては、こうした技術に対して驚きとともに、ある種の直感的な違和感を覚えた。
「これは、何のために残すのか?」
違和感と問い:設計に立ち上がる前段階として
わたし🧍♀️「亡くなった人と話せるAIって、“何のためにやってるのか”って思っちゃう」
ChatGPT🤖「それは“動機”への問いですね。たとえば、こういう分類があります」
動機 | 魅力 | リスク |
---|---|---|
心の癒し | 喪失感のケア | 歪んだ期待、依存 |
記憶アーカイブ | 表情・話し方の記録 | 虚構混入・記憶改変 |
デジタル遺産 | 存在の延長 | 尊厳・死の境界が曖昧に |
わたし🧍♀️「“癒し”の文脈はわかるけど、AIは使っているうちに、全然別の生き物になるでしょ」
ChatGPT🤖「検索+要約・引用型の仕組みにすれば、“言ってないことを勝手に語る”問題は避けられます」
わたし🧍♀️「そんなことできるの?」
ChatGPT🤖「仕組みはいろいろありますが、ChatGPTでも、『資料から探す → 見つかったものだけ要約する → 無ければ答えない』にすることは可能です」
「亡くなった人の“記録”を守るには、生成ではなく検索と引用の仕組みに立ち返る必要がある」
設計原則:境界線を引く ~家族メモリアルAI~
わたし🧍♀️「もし、わたしが、“故人AI”的なものを作るなら、"自伝AI"一択かな。」
ChatGPT🤖「なるほど。語らせるんじゃなくて、語ったことだけを辿る設計にする」
わたし🧍♀️「あくまでも、残された家族の"メモリアル"であるべきだと思うんだよね。」
絶対命題
-
故人が言っていないことは、答えない
-
答えられない場合は、「その話はしていないよ」と明示して拒否する
禁止事項
- 対話で学習しない(記録が変質するリスクの回避)
設計原則:記録をどう拡張するか ~家族メモリアルAI~
わたし🧍♀️「“その話はしていないよ”って、はっきり拒否されると、悲しいよね。。」
ChatGPT🤖「相手は家族ですもんね。“閉じた記録”だと、むしろ対話が成立しにくくなるかも」
わたし🧍♀️「情報追加の“入り口”は残したい。でも、即座に学習して記録にしちゃうのは危ない」
ChatGPT🤖「“語られた情報”をその場では仮受けして、記録にするかどうかは後で判断する?」
わたし🧍♀️「そう。たとえば——」
-
利用者が未知の情報を言う
「一緒に、ラーメン食べに行ったよね。」 -
AIの返答(一次反応)
「そうだったかな。覚えていないけど、楽しかっただろうね。」
(※ここで即追加はしない) -
ログ出力
「利用者Xがこの情報を述べた」として外部ログに残す -
管理者(人間)が確認
→「これは実際の出来事として追加する」
→「追加しない」
いずれかを判断 -
公式記録に反映するか否か決定
反映されたら、初めて“自伝の一部”になる
わたし🧍♀️「忘れた記憶を取り戻しつつ、一緒に並走できるAIにもできる」
ChatGPT🤖「“勝手に増殖”しないように、補足は必ず人間が精査してから反映する設計ですね」
わたし🧍♀️「うん。記憶を支えるけど、"元の人格から暴走しない"ことが大事なんだ」
「再現」ではなく「記録のナビゲート」としてのAI像が浮かび上がる。
構想:具体的な機能設計
ChatGPT🤖「ここまでの話をふまえて、“暴走しないAI”をどう設計するか、まとめてみましょう」
わたし🧍♀️「まとめておくとわかりやすいね。」
技術構成
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検索+引用型(RAG等)をベースにする
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生成AIは使用しない
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ベクトルDBなどによる意味検索で、自然文クエリに対応
インターフェース設計
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発言が見つからなければ「その話はしていない」と返す
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発言が曖昧な場合は「保留」や「関係性付き補足」で返す
構造の具体要件
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「発言」だけでなく、「出来事+関係性」を一塊で返す
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本人ログと利用者補足ログを明確に分離し、UI上でも視覚的に区別する
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管理者は補足ログの昇格可否を判断し、公式記録にするかどうかを選択できる
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管理者不在が検出された場合、サービスは自動終了(データは削除)
管理構造
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遺族から一人を管理者に指定
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管理者の死亡後、継承意志を確認し、なければサービス終了
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補足ログの公式昇格は管理者判断とする
まとめ:違和感から設計へ
「会話できる遺影」サービスをきっかけに、AIを「話す存在」としてではなく、「家族の記録を守り、案内する存在」として設計する方向が見えてきた。
それは、感情を否定するのではなく、記録を通じて感情を支えるための仕組みである。
一言まとめ💬:「AIは“思い出の守り手”になれる」
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