統計検定準1級に合格するための試験対策・参考書
はじめに
まとめ
- 各種の統計解析手法を幅広く勉強する必要がある
- ワークブックの演習問題を完璧に解けるようにすべき
- ワークブックは解説が簡素なので必要に応じて副読本も読む
筆者プロフィール
- 30代、会社員(データ分析)
- 大学院卒(修士、経済学)
- 大学生の時に統計検定2級に合格
- 統計学は学部~大学院で学んだがほとんど忘れた、または理解していない。
- 2022年8月に統計検定準1級に合格(勉強期間は3ヶ月程度。初回受験時不合格)
- 準1級を受験した理由はキャリアアップのため。
試験の形式・出題範囲
統計検定準1級はCBT方式(パソコン上で回答する方式)で受験する試験です。
試験時間は90分で、20~30問ほど出題され、選択肢または数値入力で解答します。
100点中60点以上で合格で、試験終了後すぐに結果がわかります。
試験会場では電卓のみ持ち込み可で、筆記用具・計算用紙・統計数値表は会場で配布されます。(これら配布物は試験後回収されます)
出題範囲は大きく分けて「確率と確率分布、統計的推測、多変量解析法、種々の応用」、具体的には「確率と確率変数、種々の確率分布、統計的推測(推定)、統計的推測(検定)、マルコフ連鎖と確率過程の基礎、回帰分析、分散分析と実験計画法、標本調査法、多変量解析、時系列解析、分割表、欠測値、モデル選択、ベイズ法、シミュレーション」となっており、広範な知識が求められます。
試験対策
前述の通り試験範囲が広大で相応の時間と労力を要しますが、その反面それほど深い理解を求められない項目もあります。
どの分野をどの程度勉強する必要があるかは公式テキストである『統計学実践ワークブック』(以下ワークブック)が基準となります。
統計検定準1級の試験勉強はこの本をマスターすることとほぼ同義です。ワークブックに記載されていない内容はまず出題されないでしょうし、逆に記載があれば何であれ出題される可能性があると考えてよいです。
実際に受験した印象では、CBT方式になったことで問題が定型化しており、ワークブックの例題・章末問題を転用しているような出題が多いと感じました。そのため、特に例題・章末問題はすべて解答できるよう繰り返し復習しておくことが望ましいです。一方で、その分PBT方式の過去問を何周も解く必要は薄くなってきているのではないかと思います。
ワークブックを読むにあたっては、広い範囲を1冊にまとめている分解説が簡素なことから、初めてその内容を学ぶ人には理解しづらい章も多いことに注意が必要です。そこで、副読本を次で紹介します。
参考書・Webサイト
『統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック』
リンク(Amazon)
公式テキストです。
これがなければ始まりません。
『統計検定 準1級 公式問題集』
リンク(Amazon)
過去問です。
演習問題の量を確保するためと、出題範囲の理解度チェックのために1周以上解くべきです。
久保川・国友『統計学』
リンク(Amazon)
(統計検定2級の範囲を復習したい場合)
詳しさと丁寧さを高いレベルで両立している、すぐれた教科書です。
著者ホームページの正誤表に注意。
村上・安田『統計学演習』
リンク(Amazon)
確率・確率分布・推定・検定・回帰分析の問題集です。
難易度は非常に易しいですが網羅的で、基礎のおさらいや入門にも最適な良書です。
試験本番で計算問題に手間取ると時間が足りなくなるおそれがあるので、演習は念入りにやっておいて損はありません。
『自然科学の統計学 基礎統計学Ⅲ』
リンク(Amazon)
内容の多くが準1級の出題範囲に含まれており、ワークブックでわかりにくかった箇所の解説を補うために使えます。
永田・棟近『多変量解析法入門』
リンク(Amazon)
主要な出題範囲の割にワークブックの解説が少ない多変量解析の教科書です。
永田『統計学のための数学入門30講』
リンク(Amazon)
もし数学の知識が不足している場合はこのような本が必要かもしれません。
Logics of Blue
リンク(Webサイト)
サイト内にある分散分析と主成分分析の解説がとてもわかりやすかったです。
あつまれ統計の森
リンク(Webサイト)
統計検定準1級の過去問解説があります。
その他の解説記事も豊富で勉強になります。
DataArts
リンク(Webサイト)
過去問解説と対策講座があります。
AIcia Solid Project
リンク(YouTube)
「いろんな分析シリーズ」や「ベイズ統計」が勉強になりました。
統計検定とは関係ないですが他の動画も面白いのでおすすめです。
熊野コミチ 統計とお仕事チャンネル
リンク(YouTube)
分散分析や主成分分析の動画が勉強になりました。
統計検定とは関係ないですが他の動画も面白いのでおすすめです。
へちやぼらけ・データサイエンティスト
リンク(YouTube)
フィッシャー情報量の解説などが勉強になりました。
統計検定とは関係ないですが他の動画も面白いのでおすすめです。
はじめての統計学
リンク(YouTube)
統計学の講座動画が豊富です。
その他(個別のブログ記事など)
2変量正規分布の条件付き確率の期待値と分散(統計検定準1級対策3) - 数学ノート
【徹底解説】3変量正規分布の条件付き期待値と分散 | Academaid
【徹底解説】偏相関係数で理解する疑似相関 | Academaid
【初学者向け】L1正則化をわかりやすく解説【なぜスパースか】 | NULL_blog
機械学習の定番「サポートベクターマシン(SVM)」を高校生でもわかるよう解説 - Qiita
【Part1】統計検定準1級 時系列解析のまとめ【過去問の分析・出題内容・勉強法】 - Syleir’s note
統計科学研究所_R_主成分分析.ppt
おわりに
今後は私自身の学習も兼ねて、統計検定準1級~1級のやや難しい項目について掘り下げて解説した記事を不定期にアップしていく予定です。
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