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Vision Pro開発にも役立つApple公式Unityプラグインの紹介

2025/02/17に公開

概要

Apple公式GitHubリポジトリ において、 apple/unityplugins というリポジトリが公開されています。

この記事ではこのリポジトリの概要と、Apple vision pro 向け開発者目線でどのような活用ができそうかを紹介したしたいと思います。

Apple公式GitHubリポジトリ「unityplugins」の概要

Apple は DDDWC22 においてUnityゲーム開発者向けに、Apple Unity Plug-Insという公式プラグイン集をGitHub上で公開し、その内容を紹介しています。

このプラグインはUnityプロジェクトから直接、iOSやmacOSなどAppleプラットフォームのネイティブ機能(フレームワーク)を利用できるようにするもので、ゲームやアプリにApple独自の最新機能を組み込み、ユーザー体験をより良いものにすることが狙いです。

現在、提供されているプラグインは全部で6種類あり、いずれもAppleの特定のフレームワークに対応しています。各プラグインを使うことで、ゲームセンター連携やコントローラー対応、アクセシビリティ対応、触覚フィードバック、空間オーディオなど様々な機能強化がUnity上で実現可能になります​。

含まれている6つのプラグインの機能とユースケース

Apple公式のUnityプラグインには、次の6つが含まれています。

それぞれ対応するAppleフレームワークの機能をUnityから呼び出せるようにしており、必要なものだけを選んでプロジェクトに導入できます​。(ただし後述のApple.Coreは常に必須)。

各プラグインの概要と想定されるユースケースは以下の通りです。

1. Apple.Core

他のすべてのAppleプラグインの基盤となるプラグインです。ビルド後の処理管理やUnityエディタ上の設定UI(「Apple Build Settings」タブ)を提供し、各プラグインのネイティブライブラリが正しく組み込まれるようサポートします​。

ユースケース: Appleプラグインを使うすべてのプロジェクトで必須となり、共通のビルド設定(対応OSバージョンやセキュリティ設定など)の管理に利用します。また独自のビルド処理を追加したい場合に、Apple.Coreの仕組みを利用してカスタムビルドステップを実装することも可能です。

2. Apple.GameKit (Game Center)

AppleのGameKitフレームワークをUnityから利用できるプラグインです。ゲームにGame Centerの機能(プレイヤー認証、リーダーボード、実績、マルチプレイヤーマッチメイキングなど)を容易に統合できます​。

ユースケース: マルチプラットフォーム展開しているUnityゲームのiOS/tvOS版にランキングや実績を追加したい場合や、Appleプラットフォーム間でスコアや対戦相手を共有するソーシャル機能を実装したい場合に役立ちます。
例えば、Game Centerを使ってプレイヤーの認証やプロフィール取得を行い、実績の解除やフレンドとのスコア比較が可能になります​。

3. Apple.GameController

AppleのGameControllerフレームワークに対応したプラグインです。MFi認証コントローラーや他社製ゲームコントローラーの接続を扱ったり、ゲーム内でコントローラー入力に応じたカスタム動作やボタンアイコン(グリフ)の表示を可能にします​。

Unity上でゲームコントローラーの入力管理を強化し、接続イベントのハンドリングや複数のコントローラー対応を容易にします​。

ユースケース: iPhoneやApple TV、Mac、さらにはvisionOSデバイスで、ゲームパッドによる操作に対応したゲームを作る場合に有用です。たとえばプラットフォームゲームでBluetoothコントローラー操作をサポートする際、このプラグインを使えばコントローラーの接続状態やボタン入力を簡単に取得できます。

4. Apple.Accessibility

Appleプラットフォームのアクセシビリティ機能をUnityアプリから利用できるプラグインです。視覚障がい者向けのVoiceOverによる読み上げや、Dynamic Typeによる文字サイズ変更など、Appleの支援技術への対応をUnityゲーム内で実装できます​。

ユースケース: ゲームやアプリをアクセシビリティ対応し、より多くのユーザーに利用してもらいたい場合に使います。例えばゲーム内のUI要素にアクセシビリティラベルを設定しVoiceOverで読み上げられるようにしたり、UnityUIのテキストをユーザーの設定したフォントサイズに応じて拡大する、といったことが可能です。アクセシビリティ対応はAppleの品質基準上も重要であり、このプラグインにより追加のネイティブ開発なしで対応を進められます。

5. Apple.CoreHaptics

iPhoneなどが備える触覚フィードバック(Haptic)機能をUnityから制御できるプラグインです。AppleのCore Hapticsフレームワークを利用して、カスタマイズ可能な振動パターンや細かな再生制御をゲームに組み込めます​。

またUIFeedbackGeneratorといったUIKitの簡易フィードバックAPIにも対応しています​。

ユースケース: モバイルゲームでのリッチな振動演出や、コントローラーの振動機能を活かしたい場合に活用できます。例えば、ゲーム内で爆発が起きた際にデバイスを振動させて臨場感を高めたり、レーシングゲームで路面の感触を振動で表現する、といったことが可能です(対応デバイス: iPhoneのTaptic Engine搭載機種や触覚対応コントローラーなど)。

6. Apple.PHASE

PHASE(Physical Audio Spatialization Engine)はAppleが提供する高度な空間オーディオシステムで、環境のジオメトリや素材を考慮したリアルな音響効果を実現します​。

このプラグインによりPHASEをUnityで利用でき、ゲーム内の音源に対して位置や物理的な反射・遮蔽効果のある3Dオーディオを適用できます​。

ユースケース: VR/ARゲームや3D空間を持つゲームで没入感の高いサウンドを実現したい場合に不可欠です。特にApple Vision Proのような空間コンピューティングデバイスでは、ユーザーの周囲360度から聞こえる立体音響は体験の質を大きく向上させます。PHASEプラグインを使えば、たとえば壁の陰にいる敵の足音が壁によって高音が減衰して聞こえる、といった現実さながらの音響表現が可能になります。

以上がunitypluginsリポジトリに含まれる各プラグインの機能概要です。

必要なプラグインだけを組み合わせて導入できるため、自分のプロジェクトに合わせて取捨選択できます​

例えばシングルプレイヤーのARアプリであればGameKitは不要かもしれませんが、PHASEとAccessibilityは取り入れる、といった柔軟な使い方が可能です。


Apple Vision Pro開発者はどの程度理解しておくべきか?

Appleの新しい空間コンピューティングデバイスVision Pro (visionOS)向けにUnityでアプリ開発を行う場合、このApple Unity Plug-Insについてぜひ知っておくことをおすすめします。

本プラグイン集はvisionOSも正式サポートしています​。
したがって、Vision Pro向けのUnityプロジェクトでもこれらプラグインを導入することで、他のAppleプラットフォーム同様にGame CenterやPHASEといった機能を利用可能です。

特にVision Proは空間オーディオや直感的な操作体験が重要になるため、以下のプラグインは強く検討すべきでしょう。

注目1: Apple.PHASE

Vision Proではユーザーの周囲360度に音場を作り出すことができるため、PHASEによるリアルな空間音響は没入感の鍵となります。Unityの標準オーディオ機能よりも高度な制御が可能で、物理的な空間表現にマッチした音響を実装できます​。

Vision Proアプリ開発者はPHASEの基本概念とUnity統合方法について理解しておくと良いでしょう。

注目2: Apple.Accessibility

Vision Proは視覚・聴覚に訴えるデバイスですが、アクセシビリティも重要です。例えば周囲が見えにくいユーザー向けにVoiceOverでUIを読み上げたり、テキストサイズを変えることで、より多様なユーザーがVision Proアプリを利用できます​。

アクセシビリティ対応は開発初期から考慮する必要があり、そのための手段として本プラグインを把握しておくべきです。

Apple.GameController: Vision Pro自体はハンドトラッキングや視線入力が特徴ですが、ゲーム用途ではBluetoothゲームパッドによる操作も考えられます。例えばリビングでVision Proを装着しコントローラーでプレイするようなケースでは、GameControllerプラグインでMFiコントローラーの入力や接続ステータスを処理できます​。

VisionProアプリ開発者はすべてを詳細に理解する必要はありませんが、自分の作るアプリに関連しそうな機能(特にPHASEやAccessibilityなど)は深掘りしておくと開発に役立ちます。

Appleが公式にUnity向けサポートを提供しているおかげで、visionOS向けでもこれらプラグインをそのまま活用できる点は大きなメリットです。

新しいデバイスであるVision Proでは手探りの開発になる部分も多いですが、このプラグイン集を活用することでAppleの知見が詰まった既存フレームワークをすぐに利用でき、開発の加速が期待できます。

各プラグインの詳しい使い方については、リポジトリ内のDocumentationフォルダに詳細なREADMEやサンプルコードが用意されています。

最後に

以上がApple公式Unityプラグイン「unityplugins」リポジトリの概要です。
UnityエンジニアでAppleプラットフォーム向け開発を行う方にとって、これらプラグインは強力な武器となります。

公式提供ならではの信頼性と最新対応が期待でき、かつオープンソースなので中身を確認したりフィードバックを送ることも可能です。

Appleプラットフォームの特色を活かしたUnityアプリケーション開発にぜひ活用してみてください。

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