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いでよ、Gemini!そして子どもの英検の勉強のやる気を引き出したまえ!!

2024/12/25に公開

株式会社 Hogetic Lab 取締役 CTO の岩尾です。本記事は Google Cloud Champion Innovators Advent Calendar 2024 の 25 日目の記事としてお届けします!
実は本日は本文にも登場する長女の誕生日でもありますので、もし良かったら「いいね」をいただけると大変嬉しいです。

本記事では、仕事と家事育児の両立に奮闘しながらも、子どもの英語学習を効率的に進めるための AI 活用法をご紹介します。私自身、2 人の娘を育てる父親として、日々新たな挑戦に直面しています。同じような悩みを抱える皆さんにとって、少しでも役立つ情報となれば幸いです。

英検 5 級に挑戦した小学 2 年生と Gemini の出会い

背景

現在小学 3 年生の娘ですが、当時はまだ 2 年生。お友達が英検 5 級に合格したのを知り、「私もやりたい!」と張り切っていました。とはいえ、小学 2 年生にとって単語や重要フレーズを覚えるのはハードルが高い。もともと小さい頃から英会話教室に通っていたので英語に抵抗はないものの、親がいくら声をかけても、すぐに飽きてしまう。どうしたものか…と悩んでいました。

悩み

そこで直面したのが、「強制的にやらせるのも違うし、でも放っておいても覚えない…」という葛藤です。宿題のように押しつけると嫌がるし、親子関係がギスギスするのは避けたい。でも、せっかくの英検 5 級受験への意欲をつぶしたくはありませんでした。

解決策:Gemini の導入

私は普段、Google Cloud の Champion Innovator として AI など最先端技術に触れており、その流れで Gemini をよく使っていました。「これを子どもの英語学習に使えないか?」と思いつき、試しに英単語クイズを作ってもらう実験を始めたのです。いわば AI × 子育て プロジェクトでした。

初期反応

これが予想以上に大成功! 最初に Gemini を使って簡単な英単語クイズを出してみたら、娘は「もっと問題出して!」と大興奮。紙ベースの勉強ではあんなに逃げ腰だったのに、AI が出題してくれるだけでこんなに積極的になるものなのかと、驚きと嬉しさでいっぱいでした。

実際の勉強法&使い方

ここからは、実際に子どもと一緒に使ってみた勉強法をご紹介します。

例文作成

英検 5 級レベルの単語をただ羅列して覚えようとしても、子どもはすぐ飽きてしまう…。そこで Gemini に単語を指定して「例文を作って」とリクエスト。

質問例
英検 5 級レベルの単語と文法を使って、“would like to” を含む例文を5つ作ってください。
できるだけやさしい英文にしてください。
回答例
1. I would like to eat an apple. (私はリンゴを食べたいです。)
"eat" は「食べる」という意味の動詞です。
"an apple" は「一つのリンゴ」という意味です。

2. She would like to play with the dog. (彼女は犬と遊びたいです。)
"play" は「遊ぶ」という意味の動詞です。
"the dog" は「その犬」という意味です。

3. We would like to go to the park. (私たちは公園に行きたいです。)
"go" は「行く」という意味の動詞です。
"the park" は「その公園」という意味です。

4. He would like to read a book. (彼は本を読みたいです。)
"read" は「読む」という意味の動詞です。
"a book" は「一冊の本」という意味です。

5. They would like to drink juice. (彼らはジュースを飲みたいです。)
"drink" は「飲む」という意味の動詞です。
"juice" は「ジュース」という意味です。

Gemini が短い文章をいくつも作ってくれるので、それを読ませたり書き写させたりして「文の中で単語を覚える」ようにしました。

英単語クイズ(4 択)

子どもが好きなのはクイズ形式。Gemini に「4 択クイズを作って!」と頼むと、英単語と選択肢をセットでサクッと出題してくれます。当たるとすかさず「Great!」「Good job!」など褒めてもらえるのも、子どものモチベーションアップに効果抜群。紙のドリルとはひと味違ったゲーム感覚が味わえます。

日本語 -> 英語の 4 択クイズの例
Q1. 「犬」は英語でどれ?
1) cat
2) dog
3) bird
4) fox

Answer: 2) dog
解説:dog は「犬」という意味です。cat は「猫」、bird は「鳥」、fox は「キツネ」です。
英語 -> 日本語の 4 択クイズの例
Q1. Which word means 「play」 in Japanese?
1) 遊ぶ
2) 作る
3) 読む
4) 走る

Answer: 1) 遊ぶ
解説:play は「遊ぶ」という意味の動詞です。make は「作る」、read は「読む」、run は「走る」です。

このように 日本語 → 英語 と 英語 → 日本語 を組み合わせることで、単語の定着力がぐんと高まります。

4 択クイズのためのプロンプト例
英検 5 級レベルの英単語・フレーズを中心に、子ども向けの 4 択クイズを 5 問作ってください。
問題は日本語→英語、選択肢は英単語、回答後に「すごいね!」「Great!」など、
子どもが喜ぶ褒め言葉も付け加えてください。

例:
Q: 「リンゴ」は英語でどれ?
1) banana
2) apple
3) lemon
4) orange

Answer: 2) apple
解説:apple は「リンゴ」という意味です。Great job!
4 択クイズのためのプロンプト例 2
うちの子が覚えられない単語をリスト化しました。
[ dog, apple, desk, play, big ]
これらの単語のみを使って、日本語 → 英語の 4 択クイズを 10 問作ってください。
問題はランダムに繰り返して構いません。正解に対する解説も少し入れてください。

こうしたクイズを繰り返していると、子どものほうから「もっと問題出して!」とリクエストしてくるようになり、親としては嬉しい限りです。

穴埋め問題・文法クイズ

文法学習も Gemini におまかせ

文法学習は退屈に感じやすいですが、Gemini に「be 動詞や一般動詞の問題を出して」「穴埋め問題を 5 問作って」とリクエストすると、あっという間に作成してくれます。

質問例
英検 5 級レベルの文法を練習したいので、
be 動詞と一般動詞を混ぜた穴埋め問題を 5 問作ってください。
それぞれ答えのあとに簡単な解説も付け加えてください。

例:
I ___ (go) to school every day.
回答例
1) I ___ (go) to school every day.
Answer: go
解説: “I go to school every day.” では、一般動詞 “go” が使われます。主語が “I” のとき、動詞に -s はつきません。

2) She ___ (be) a teacher.
Answer: is
解説: “She is a teacher.” の場合、三人称単数 (he/she/it) のときは be 動詞は “is” を使います。

3) They ___ (play) soccer on Sundays.
Answer: play
解説: “They play soccer on Sundays.” のように、主語が “They” (三人称複数) のとき、一般動詞に -s はつきません。

4) He ___ (have) a cute cat.
Answer: has
解説: “He has a cute cat.” のように、三人称単数 (he/she/it) のときは一般動詞 “have” が “has” に変化します。

5) We ___ (be) at home now.
Answer: are
解説: “We are at home now.” の場合、主語が “We” (一人称複数) のとき、be 動詞は “are” を使います。

こういった形で 穴埋め問題を出してもらい、答えと簡単な解説まで そろえてもらうと、解答後にすぐ復習 できるのがポイント。紙の参考書だけでは得られにくい即時フィードバックと、柔軟な出題形式が AI ならではの強みです。

few-shot 学習でクオリティアップ

「few-shot」で実際の問題例をあらかじめいくつか提示してあげる(上記のように 1 問の例を示すなど)と、Gemini が出題の形式や難易度を理解しやすくなります。その結果、より自然でレベルに合った問題を量産してくれるので、子どもが飽きずに取り組みやすいのも魅力です。

親が少しサポートすれば OK

  • 疑問に思った部分は紙にメモしておく
  • 子どもがよく間違える文法項目をリスト化して「これを何度も出して」と頼む

など、フォローを入れてあげれば効率的に学習できます。宿題感のある文法も “クイズ” や “穴埋めゲーム” という形になるだけで、子どもの反応が見違えるように変わりました。

AI 学習を成功させるための工夫

プロンプトの工夫

「子ども向けに、ゲームっぽく出題して」「英検 5 級レベルの単語だけ使って」など、具体的な指示をすることで、子どもがとっつきやすい形式の問題が得られました。さらに、苦手単語のリストを提示して「これを中心にクイズを作って」と指示することも効果的です。

ご褒美設定&励ましメッセージ

正解数に応じて「◯問正解おめでとう!」「すごいね!」といったメッセージを出してもらうようにすると、子どもが“もっとやりたい!”とやる気を出すようになります。AI に「正解したら子どもが喜ぶ褒め言葉を入れてほしい」と伝えるだけで、簡単に仕組み化できるのもありがたい点です。

保護者が横でフォロー

AI は便利ですが、放置しておくと誤情報やレベルのズレが生じることも。

  • 子どもがわからないところを紙にメモして、あとで重点的に復習
  • よく間違える単語をリストにして、「これを何度も出して」と Gemini にお願いする

こうした保護者のサポートがあるからこそ、効率的かつ確実に学習が進みます。

AI 使用上の注意点とリスク管理

Gemini をはじめとする大規模言語モデル (LLM) は、時折誤った情報を出す可能性があります。特に子ども向けの学習では、問題に誤りがあった場合でも「AI が言うから正しい」と思い込んでしまうリスクがあります。このため、保護者や大人が横で定期的に内容をチェックし、誤りがあれば訂正するプロセスがとても大切です。さらに、チャット内容を子どもが読みやすいよう調整したり、簡単な表現に変える工夫も行いましょう。

また、AI に過度に依存しすぎないようにすることも大事です。例えば、英会話教室での会話練習や、実際に筆記試験に取り組む練習も並行して行うことで、「AI で得た知識をアウトプットする」機会をしっかり作ってあげると効果的です。

実際の成果&合格までの道のり

最初は本当に苦労しました。英会話教室で触れてはいたものの、筆記試験となるとスペルうろ覚えが失点に繋がります。ところが、子どものほうから「寝る前に Gemini の問題やりたい!」と言い出すようになり、気づけばこちらが「もう寝る時間だから終わりにしようね…」と止めるほどに。
結果的に、英検 5 級にしっかり合格。親子で一緒に合格通知を見たときは、その苦労も一気に吹き飛びました。

AI 学習のメリット・デメリット

メリット

  • モチベーション維持: ゲーム感覚で飽きにくい
  • 個別対応: 苦手なところだけ反復練習
  • 即時フィードバック: すぐに正誤判定や解説が得られる
  • 時短 & 親の負担軽減: 問題作成や採点を AI に任せられる

デメリット & 注意点

  • 誤情報の可能性:たまに変な問題や解説が出る場合があるので、大人のチェックが必要
  • 操作補助が必須:小学生低学年だとチャットの入力や画面操作をサポートしてあげる場面が多い
  • AI 依存に注意:あくまでツールなので、実際の発話練習やコミュニケーションも大事

これから取り組む人へのアドバイス

まずは試してみよう

Gemini などのチャット AI にアクセスし、簡単なクイズ作成を依頼してみるだけでも OK。

プロンプトを細かく指示

「子ども向け」「英検 5 級」「苦手単語を中心に」など、条件を具体的に伝えるとイメージ通りの問題が作られます。

継続のコツ

  • 時間を決める: 1 日 10 分でもよいので、ゲーム感覚で続ける
  • ご褒美設定: できたら褒めてもらう
  • 苦手分野の洗い出し: 保護者が横でチェックし、必要に応じてプロンプトを調整

まとめ & 次への展望

こうして英検 5 級に合格したうちの子も、いまは小学 3 年生になり、4 級の勉強を始めています。「もっと上の級に合格したい!」と自ら言い出す姿を見ると、AI のおかげだけでなく、英語そのものに楽しみを見出したんだなと感じます。
「AI があればこの先どこまで伸びるのか?」と考えるとワクワクが止まりません。小学生の英語学習の可能性は無限大ですし、AI の進化もまだまだ止まりません。これからも親子二人三脚で、楽しく学んでいきたいと思います。

皆さんも、もしお子さんの英語学習に苦労していたら、AI を活用してみてはいかがでしょうか。モチベーションアップのきっかけを作ってあげるだけで、子どもの未来は大きく変わるかもしれません。ぜひこのクリスマスシーズンに、新たな学習ツールとして Gemini を試してみてください!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
英検 5 級から 4 級、そしてさらに上の級へ――
子どもが AI と一緒にどこまで成長するのか、その挑戦はまだまだ続きます!

次回も、ぜひお楽しみに。メリークリスマス!

Hogetic Lab

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