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AIエディター「Cursor」の Business プランの利用を開始したので詳しく解説する

2024/06/04に公開

1. 背景

株式会社 Hogetic Lab 取締役 CTO の岩尾です。

今回は、最近自社で本格的に利用を開始した AI 搭載のコードエディター 「Cursor」Business プラン についてお話します。

Cursor については様々なブログや Youtube などで盛んに取り上げられていますが、Business プランについての情報は少なく、私自身も完全には詳細がわからない中で契約を進めました。同じような状況の方に向けて、Business プランの内容について解説していきたいと思います。

特に、GPT-4(高速)の月500回の使用制限について、追加購入の単位と料金を確認するため、実際に課金して調査しました。その結果も合わせて公開します。

Hogetic Lab での AI ツールの活用

弊社 Hogetic Lab ではこれまで、ChatGPT / Claude / Gemini はもちろんのこと、2023 年 4 月から全エンジニアを対象に GitHub Copilot を導入し生産性を高めてきました。GitHub Copilot による生産性向上については既に複数の企業から発表がありますが、弊社も多大な恩恵を受けています。

最近になって Cursor を使い始めた理由

GitHub Copilot 導入の際、既に Cursor も話題に上がっていましたが、特に「@」を使ってコードベースやドキュメント、Web にアクセスを行いそれらの情報を参照しながら質問回答やコード生成を行える点は大変魅力的でした。
その他も含めた Cursor の機能についてはこちら

しかし Cursor は当初、Dev Container に未対応だったため我々の開発スタイルとマッチせず採用を見送っていました。ところが 2024 年になってから Cursor でも Dev Container の利用がサポートされたため、1 年以上利用してきた GitHub Copilot と比較する意味でも一部のメンバーで Cursor の利用をトライアル的に開始しました。

結果として弊社では現在、社員ごとに必要性や使いやすさを考慮し、GitHub Copilot と Cursor を選択して利用することができるようにしています。

2. Cursor Business プランについて

現在、Cursorには、Hobby、Pro、Businessの3つのプランがあります。本記事では Business プランについて解説します。事前に Hobby プランと Pro プランについて理解しておくと、スムーズに読み進められます。


Cursor の料金プラン 詳細はこちら

公式サイトには、Hobby、Pro プランにはない内容として以下の 4 つについて記載があります。

  • Admin usage dashboard(管理画面)
  • Centralized billing(一括請求)
  • Enforce privacy mode(プライバシーモードの強制)
  • OpenAI zero-data retention(OpenAI のゼロデータ保持)

管理画面に関しては一切情報がなく謎に包まれていましたが、一括請求、プライバシーモードの強制、OpenAI のゼロデータ保持についてはイメージができ、かつメリットを感じたため弊社は Business プランを契約しました(使ってみて微妙だったら解約すれば良いという判断でした)。

管理画面の内容は契約後に明らかになりましたので、以降はキャプチャを交えて解説していきます。

Admin usage dashboard(管理画面)

早速ですが、管理画面は次のようなものでした。


管理画面のキャプチャ

ここからは、管理画面で確認できること、操作できることを解説します。

Team へのメンバーの招待

Business プランでは契約時に Team(ここでは Hogetic Lab)を作成します。管理者は「Invite」をクリックすることで link または email により Team にメンバーを招待することができます。

Centralized billing(一括請求)

「-> Billing」をクリックすることで Stripe の画面を開き、そこから請求書/領収書をダウンロードすることができます。Pro プランではメンバーごとにこの操作を行う必要がありますが、Business プランでは Team メンバー分の請求を一括で管理することができるため利便性が向上します。

Enforce privacy mode(プライバシーモードの強制)

プライバシーモードを有効にすると、ユーザーのコードは Cursor や第三者によって保存されることがなくなります。Business プランでは、チーム全体に対してプライバシーモードを強制することができるため、個々のチームメンバーがプライバシーモードを無効にしてしまうリスクを回避できます。

OpenAI zero-data retention(OpenAI のゼロデータ保持)

OpenAI のゼロデータ保持(Zero Data Retention, ZDR)ポリシーは、API を通じて送信されたデータが処理後すぐに削除され、長期的に保存されないことを保証するものです。このポリシーは、データプライバシーとセキュリティを重視する企業にとって非常に重要です。

Edit Request Limit(500 回/月の GPT-4(高速)使用制限の緩和)

「Edit Request Limit」をクリックすることで 500 回/月の GPT-4(高速)使用制限を増やすことができます。実際に操作してみると 500 回から 5,000 回まで、500 単位で増やすことができるようです。ただし困ったことに料金がどこにも表示されておらず、設定を変更し決済画面を見るまで一体いくら払うことになるのかがわかりませんでした...(これはなんとかしてほしい)


Edit Request Limit クリック後のポップアップ


上記画面で 500->1,000 に変更し Change をクリック後の確認画面


Edit Request Limit にて設定変更後の決済画面

決済画面のキャプチャ通り、34.73 ドルで 500 -> 1,000 回/月の GPT-4(高速)使用制限を設定することができました(3 人分)。今回は月の途中での変更だったため日割り計算となっているようです(19 日間分)。なお、直後に設定を 1,000 -> 500 に戻したためこの決済は取り消されています。

正確な計算ロジックはわかりませんが、3 人分、19 日間分で 34.73 ドルだったので、1 人あたり月額にすると 18 ドル程度で、GPT-4(高速)の使用上限を 500 回分追加できるということになります。

Optional Usage-Based Pricing(オプション:利用ベースの価格設定)

You may opt in to usage-based pricing for requests that go beyond what is included in your plan.

Edit Request Limit 以外にも、プランに含まれている以上のリクエストについて利用ベースの価格設定をすることができます。claude-3-opus や Long context chat(より多くのコンテキストを保持し、複雑なプロジェクトや詳細な対話に対応するための強力なツール)に関するリクエストを利用ベースの課金に切り替えることができるようです。

Chat、Cmd-K、Terminal Cmd-K、および Claude-3-Opus を使用したコンテキストチャット:
Pro/Business プランでは 1 日 10 回のリクエストが含まれ、それ以降は1リクエストごとに 10 セントかかります。

Claude-3-Haiku-200k を使用した長いコンテキストチャット:
Pro/Business プランでは 1 日 10 回のリクエストが含まれ、それ以降は 1 リクエストごとに 10 セントかかります。

Claude-3-Sonnet-200k を使用した長いコンテキストチャット:
Pro/Business プランでは 1 日 10 回のリクエストが含まれ、それ以降は 1 リクエストごとに 20 セントかかります。

Gemini-1.5-Flash-500k を使用した長いコンテキストチャット:
Pro/Business プランでは 1 日 10 回のリクエストが含まれ、それ以降は 1 リクエストごとに 10 セントかかります。

GPT-4o-128k を使用した長いコンテキストチャット:
Pro/Business プランでは 1 日 10 回のリクエストが含まれ、それ以降は 1 リクエストごとに 10 セントかかります。

3. 管理画面で残念だった点

以下について管理画面から確認することができなかった点がやや残念でした。

  • アカウントごとの GPT-4(高速)の残量(Pro プランでは確認できたと記憶しています)
  • Copilot++(コード補完)の Accept 率
  • その他、「@」の利用など Cursor 独自の機能の利用回数

これらが可能になると、メンバーが Cursor をどの程度使いこなしているかを定量的に測定できるようになるため、振り返りやノウハウ共有の場を設けることでより生産性を高められるかもしれません。

4. まとめ

今回は Business プランの内容について解説しました。この記事で解説した内容が魅力的に感じた場合、導入を検討してみても良いかもしれません。

その他にも何か情報をお持ちの方がいらっしゃれば、是非コメントなどで教えていただけると幸いです。

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