Google Cloud Next Tokyo '25: これがフルパワーだ!BigQuery のメタデータで Gemini が完全体に
株式会社 MBK Digital 執行役員 CTO の岩尾です。
Google Cloud Next Tokyo '25 にて「これがフルパワーだ!BigQuery のメタデータで Gemini が完全体に」というタイトルで登壇させていただきました。
本記事では、セッションでお話しした主なポイントを解説します。
主なポイント
🤖 AI によるデータ活用の精度、低くないですか?
「Gemini のような高性能な AI があれば、誰でも簡単に対話形式でデータ分析ができる」—— そんな期待とは裏腹に、実際に試してみると、AI が見当違いのテーブルを探しにいったり、間違った SQL を生成してしまったりと、なかなか期待通りの精度が出ない、という経験はないでしょうか。
この精度の課題の根源には、AI がデータの「意味」を理解できていないという問題があります。人間が trx_2025_q3
のようなテーブル名だけを見ても中身を正確に理解できないのと同じように、AI にとってもテーブル名やカラム名だけでは、そのデータが何を表しているのかを推測するのは困難です。
🔑 Gemini の真価を引き出す鍵は「メタデータ」
今回のセッションで私が提案するのは、この課題を BigQuery のメタデータ整備 によって解決するアプローチです。
具体的には、テーブルやカラムに設定できる description
(説明文) を活用します。この description
に「そのデータが何なのか」「どういうビジネスロジックで使われるのか」といった文脈(コンテキスト)を記述することで、Gemini はデータの意味を正確に理解できるようになります。
👥 ビジネスメンバーが主役のメタデータ整備
ここで重要なのは、「誰がメタデータを整備するのか?」という点です。データの意味を最も深く理解しているのは、日々そのデータを業務で利用しているビジネスメンバーです。
本セッションでは、これまで「誰の仕事でもない」とされがちだったメタデータ整備を、ビジネスメンバーが主役となって推進するための実践的なプロセスをご紹介しました。これにより、エンジニアに過度な負担をかけることなく、継続的にメタデータの鮮度を保つことが可能になります。
✨ 成果:AI によるデータ探索とSQL実装の精度が劇的向上
description
を整備した結果、Gemini に「先月の東京エリアの売上トップ10の顧客を教えて」といった自然言語で指示した際の、データ探索(適切なテーブル選択)と SQL 実装(正確なクエリ生成)の精度が大幅に向上しました。
これは、Gemini が description
というコンテキストを手に入れたことで、初めてその能力をフルパワーで発揮できるようになったことを意味します。まさに「BigQuery のメタデータで Gemini が完全体に」なった瞬間です。
まとめ
本セッションでは、AI との対話によるデータ活用を成功させるためには、メタデータの整備が極めて重要な戦略的投資であることをお伝えしました。
特に BigQuery のテーブルやカラムの description
は、Gemini のような AI にとって、データの意味を理解するための生命線となります。そして、その整備の主役は、データのことを最もよく知るビジネスメンバーであるべきです。
AI によるデータ活用の精度に課題を感じている方は、ぜひ騙されたと思って、まずは主要なデータテーブルの description
を整備することから始めてみてください。Gemini の真の力を引き出し、データ活用のレベルを一段階引き上げる、確かな一歩となるはずです。
ご質問やフィードバックがございましたら、コメント欄までお気軽にお寄せください。
さいごに
今回の登壇内容とは少し離れますが、本日、私の働き方に密着していただいた動画が YouTube チャンネル「キャリアスイッチ」様にて公開されました。ご興味があればぜひご覧ください。
また、私自身のキャリアや、弊社 MBK Digital のカルチャーについてお話ししたインタビュー記事も公開されています。こちらも併せてお読みいただけると嬉しいです。
Discussion