【超速報】AIが拓く新たな未来!Google Cloud Next Tokyo 2025 1日目参加レポート
1. はじめに
株式会社 MBK デジタルの古畑です。
2025年8月5日に東京ビッグサイトで開催された「Google Cloud Next Tokyo '25」に現地参加してきました!
最新のテクノロジー、特に生成AIに関する熱気を肌で感じることができ、非常に刺激的な一日となりました。
本記事では、イベント全体のハイライトである基調講演で語られたこと、そして私が特に注目したセッションの内容をレポートします。
Google Cloudの進化が私たちのビジネスや開発にどのようなインパクトを与えるのか、そのエッセンスをお伝えできれば幸いです。
こちらはイベント1日目の速報記事です。
2日目については、以下のリンクをご確認ください。
2. 基調講演:AIとの「共創」が当たり前になる未来
今年の基調講演で最も強く印象に残ったのは、AIが単なる「ツール」から「共創パートナー」へと進化しているというメッセージです。
特に、株式会社MIXIによるデモンストレーションは、その象徴と言えるでしょう。
Geminiを活用し、人気ゲームのコラボイベントを企画する様子が紹介されました。
驚くべきは、AIが単に情報を整理するだけでなく、企画のコンセプト提案や、ターゲット層に響くクリエイティブのアイデア出しまで行っていた点です。
「AIと人間がブレストしながら、新しい価値を生み出していく」。そんな未来の働き方が、すぐそこまで来ていることを実感させられました。
これは、開発者やプランナーにとっても、仕事の進め方を根本から見直すきっかけになるかもしれません。
これまでの「指示通りに動くAI」から、「文脈を理解し、自律的に提案するAI」へ。
Google Cloudが目指すAIの姿が明確に示された、非常に示唆に富んだセッションでした。
3. 特に注目したセッション
ここからは、私が特に「これは面白い!」と感じた3つのセッションについて、少し深掘りしてご紹介します。
3.1. 非エンジニア向け AI 時代を見据えたデータ基盤の進化
最初のセッションは、まさに今回のNext '25のテーマを象徴するような「AI時代を見据えたデータ基盤の進化」です。
なぜ今、データ基盤(データプラットフォーム)のあり方が問われているのか、その変遷から未来までを解説する内容でした。
生成AIが突きつけた新たな要求
かつてデータ基盤の主役は、構造化データを扱うDWH(データウェアハウス)と、多様なデータをそのまま格納するデータレイクでした。
これらは「ビッグデータ」や「データの民主化」といった時代の要請に応えるためのものでした。
しかし、生成AIの登場により、データ基盤にはこれまでと全く異なるレベルの要求が突きつけられることになります。
- 非構造化データの活用: テキストや画像、音声といった、DWHが苦手としてきた非構造化データをAIが直接扱えること。
- アプリケーションとの密な連携: AIアプリがデータ基盤を直接参照し、アウトプットを返すこと。
- リアルタイムな応答性: ユーザーのアクションに対して即座に反応できること。
これらの要求に対し、従来のDWHとデータレイクを組み合わせるだけでは、性能や管理の面で限界が見えてきた、というのがセッションの出発点でした。
解決策は「AIレイクハウス」とBigQuery
そこで登場したのが、DWHとデータレイクの長所を統合した「AIレイクハウス」という新しい概念です。
Google Cloudの世界では、BigQueryがまさにこのAIレイクハウスとして進化を遂げています。
構造化データと非構造化データを区別なく一つの場所で扱え、リアルタイム分析からAIモデルの学習・運用(MLOps)までをシームレスに実現します。
特に重要だと感じたのが、非構造化データをAIが理解できる数値(ベクトル)に変換して管理する「ベクトルデータベース」の機能です。
これにより、画像やテキストの意味に基づいた検索や分析が可能になります。
Geminiが変える、データとの付き合い方
そして、このBigQueryにGeminiが統合されることで、データ活用の風景は一変します。
- SQLが不要に?: 「先月の商品別売上トップ5を教えて」と自然言語で指示するだけで、GeminiがSQLを生成し、データを抽出してくれます。
- 面倒な前処理を自動化: 「2025/08/05」と「2025-08-05」のような表記揺れをAIが自動で解釈し、整形してくれます。
さらに、単なる社内検索(RAG)に留まらず、AIが自ら問いを推論し、データを探索して最適な回答を導き出す「AIエージェント」の未来も見据えているとのこと。
データ基盤がAIと連携することで、人はより本質的な課題解決に集中できるようになる。
そんな未来を具体的にイメージできる、非常に学びの多いセッションでした。
3.2. イマドキのスタートアップ流ゼロトラストセキュリティ
続いては、位置情報ビッグデータを活用し、急成長を遂げている株式会社unerry様のセッションです。
「少人数でいかにして企業の信頼性とセキュリティを担保するか」という、多くの企業が共感するであろうテーマが非常に興味深かったです。
入り口を守る:Google Workspaceと「ゼロトラスト」
セッションの前半で強調されていたのは、Google Workspaceが単なるオフィスツールではない、ということです。
それは、ゼロトラストの思想に基づいた強力な「セキュリティ基盤」であると語られました。
ゼロトラストとは、「社内だから安全」という考えを捨て、あらゆるアクセスを常に検証するというセキュリティモデルです。
Googleが2009年の大規模サイバー攻撃を教訓に築き上げたこの思想が、Workspaceの隅々にまで浸透しています。
unerry様は、専門のIT担当者がいない段階でも直感的に管理できる点や、Geminiとの連携による業務効率化といったメリットを挙げつつ、最も重要なのは「取引先に信頼されるセキュリティレベルを標準機能で実現できること」だと述べられていました。
内部を守る:Security Command Center (SCC) 活用のリアル
後半は、サーバーサイドの脅威を監視する Security Command Center (SCC)の活用事例です。ここでの話が、非常にリアルで学びの多いものでした。
SCCを有効化するだけで、GCP上のリスクを自動で検知し、「何が危険で、次に何をすべきか」まで示してくれるため、セキュリティ専門家でなくても対応を進められるのが最大のメリットです。
しかし、unerry様が最初に直面したのは、1,000件を超える「アラートの津波」だったと言います。ここで得られた教訓が、非常に示唆に富んでいました。
- アラートから目を背けない: 大量のアラートに圧倒されず、SCCが示す重大度と自社のビジネス上の文脈を組み合わせて優先順位を付け、一つひとつ向き合った。
- プロセスを構築する: Slack通知だけでは形骸化するため、スプレッドシートで課題を一覧化し、定例会議で開発チームと解決策を合意する仕組みを作った。
- セキュリティチームの役割を変える: 単に「監視して依頼する」だけでは物事は進まない。自らも脆弱性を解析し「解消プロセス全体を推進する役割」を担うことで、初めて対応が加速した。
この泥臭くも着実な改善の道のりは、多くの開発・運用現場で応用できるのではないでしょうか。
セッションは、「入り口をがっちり固めるWorkspace」と「内部の脅威を監視するSCC」は、少ないリソースで信頼性を確保したい企業にとって最強の組み合わせである、と締めくくられました。
セキュリティを「コスト」ではなく「事業継続のための投資」と捉え、賢くツールを使いこなすスタートアップの姿勢に、大変感銘を受けました。
3.3.Jagu'e'rメンバーと大解剖!コミュニティ奮闘記
最後のセッションは、少し視点を変えて「人」と「コミュニティ」にまつわるお話です。
エンジニアが社外コミュニティで活動することのリアルな価値と、それを組織に浸透させるための奮闘が語られました。
なぜ今、社外コミュニティなのか?
「社内の知識だけでは、技術の進化に追いつけない」。このセッションの根幹には、この切実な課題がありました。
特に内製化を進める企業にとって、多様な業界の最新事例や実践的なノウハウに触れられる社外コミュニティは、もはや不可欠な学びの場であると強調されました。
ビジネスへの貢献は「スピード」
では、コミュニティ活動は具体的にどうビジネスに貢献するのか。登壇者が共通して挙げたキーワードが「スピード」でした。
エンジニアがコミュニティで得た知見を武器に、ビジネスサイドからの要求に対して「できます」と即答できる。
これにより、技術選定やPoC(概念実証)にかかる時間が短縮され、結果として開発速度の向上やコスト削減に直結する。
この好循環こそが、コミュニティ活動がもたらす最大の価値だと語られました。
立ちはだかる「壁」とリーダーの役割
一方で、「通常業務が忙しい」「上司に活動価値を認めてもらえない」といった、参加へのハードルが存在するのも事実です。
この状況を打破するために最も重要なのは、リーダー自身の行動だと語ります。
- 自ら外に出て学ぶ姿勢を見せる
- 「勉強になった?」など、継続的に参加を促す声かけを行う
- 小さな成果でも社内で共有し、活動の価値を言語化してあげる
- 参加への心理的・制度的なハードルを下げる仕組みを作る
ただ「行け」と言うだけでなく、リーダーが自らその価値を信じて行動し、組織の文化を育んでいく。
その地道な「奮闘」こそが、強い組織を作る上で欠かせないのだと感じました。
このセッションは、技術力とはコードを書く力だけでなく、外部から学び、それを組織に還元する力も含まれるのだということを、改めて気づかせてくれるものでした。
4. まとめ: AIと共創する未来への序章
Google Cloud Next Tokyo '25の1日目、それは単なる新機能の紹介に留まらない、私たちの働き方やビジネスのあり方が根底から変わっていくことを実感する一日でした。
データはある、ツールもある。しかし、それをどう活かせばいいのか分からなかった時代は、もう終わりを告げようとしています。
AIが私たちのパートナーとなり、データとの対話を助け、セキュリティの不安を取り除き、コミュニティが私たちの学びを加速させてくれる。
そんなポジティブなエネルギーに満ちた1日でした。
2日目は、さらに具体的なソリューションや、より深い技術セッションが待っているはずです。
この興奮を胸に、明日も新たな発見を求めて会場を駆け巡りたいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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