来年ラスベガスで Google Cloud Next に参加する君へ - 乾燥と熱気を味方にする現地攻略ガイド
株式会社 MBK Digital 執行役員 CTO の岩尾です。
世界中からエンジニアが集う「クラウドの祭典」、Google Cloud Next。来年、ラスベガスで開催される Next に初めて参加する方、そして更なる成果を目指して再挑戦する方へ向けて、私自身の体験を凝縮した「現地攻略ガイド」をお届けします。
Next は、最新技術に触れられるだけでなく、世界中の才能と直接交流できる貴重な機会です。しかし、会場となるラスベガスは、砂漠特有の乾燥や灼熱の太陽、そして眠らない街ならではの誘惑も…!万全の準備と現地でのスマートな立ち回りが、この祭典を最大限に楽しむための鍵となります。
この記事が、皆さんの Next 体験をより豊かで実りあるものにするための一助となれば幸いです。
0. はじめに ― “クラウドの祭典”は砂漠のど真ん中にある
Google Cloud Next は、単なる新技術の発表会ではありません。世界中から集結したエンジニアが、知識を共有し、繋がりを深める、まさにコミュニティのハブです。その舞台はラスベガス。
想像してみてください。砂漠特有の強烈な乾燥、日中は 35℃ を超える暑さ、そして 24 時間活気あふれるカジノやエンターテイメント。この独特な環境下で、3 日間にわたり数百ものセッションが同時進行します。私が今回参加した際は、その圧倒的な情報量と、会場の広さからくる物理的な移動距離に完全に打ちのめされました。「これは戦略なしでは、体力も予算もあっという間に尽きてしまう…」と痛感したのです。
そこで本記事では、いわば「未来の自分への申し送りメモ」として、Next という名の砂漠(?)を生き抜き、最高の体験を得るためのサバイバル術をまとめました。ぜひ参考に、効率的かつ充実した Next を満喫してください。
1. 渡航前 - 万全の準備で臨むために
準備段階で勝負の 8 割は決まると言っても過言ではありません。
1-1. 手続きは早めに: ESTA・パスポート・保険
- ESTA 申請: 米国への渡航には必須。審査に時間がかかる場合もあるため、出発の 72 時間前まで、できれば 1 ヶ月前には申請を済ませましょう。
- パスポート残存期間: 帰国予定日+ 6 ヶ月以上の有効期間があると安心です。
- 海外旅行保険: アメリカの医療費は非常に高額です。万が一に備え、必ず加入しましょう。クレジットカード付帯保険の内容を確認し、必要であれば治療・救援費用が無制限のプランなど、上乗せ補償を検討することをおすすめします。
1-2. 時差ボケ対策: 出発前から始めるコンディション調整
ラスベガスと日本の時差は -16 時間。到着初日から活動的に動くため、特に午前中のキーノートを万全の状態で楽しむためには、出発前から体内時計を調整し始めるのが効果的です。完全に合わせる必要はありませんが、少し意識するだけでも違います。
- AI 活用(一例): 私自身は、出発前日あたりから Gemini や ChatGPT に「ラスベガス時間へスムーズに移行するためのアドバイス」を求め、簡単な行動計画を立てる参考にしました。例えば、「出発前夜の就寝時間を少しだけ現地時間に近づける意識を持つ」「機内での過ごし方(現地時刻に合わせた食事・睡眠タイミングの目安)」「到着後に効果的な光の浴び方や、カフェイン摂取を控えるべき時間帯」などを整理してもらうことで、現地到着後の活動開始をスムーズにする工夫をしました。
1-3. 英語力向上: より深く楽しむための投資
セッション、Expo でのデモ、そして世界中のエンジニアとの交流。英語力が高いほど、Next での学びや体験は格段に深まります。
私自身、出発 3 ヶ月前から英会話コーチングを受け Versant スコアを 23->43 に伸ばして臨みましたが、専門用語が飛び交う Q&A セッションでは、さらに深い議論に参加したいと感じる場面もありました。
Next まで時間があるなら、今日から毎日 1 時間でも英語学習に投資することを強く推奨します。目標は「セッションの質疑応答を積極的に楽しめるレベル」。これは最もコストパフォーマンスの高い「装備」の一つです。
1-4. 持ち物リスト: 砂漠気候と長丁場に備える(洗濯術も)
ラスベガスの気候と Next の長丁場を乗り切るための必携アイテムです。
アイテム | 理由・ポイント |
---|---|
リップクリーム | 必須中の必須! 強烈な乾燥ですぐに唇が荒れます。 |
日焼け止め (SPF50+) | ホテルと会場の短い移動でも驚くほど焼けます。塗り直し用に携帯するのがおすすめ。 |
帽子&サングラス | 日差し対策に。 |
薄手の羽織もの | 屋外は灼熱、屋内は冷房が強いため、温度調節が必須。カーディガンやパーカーなど。 |
保湿力の高いハンドクリーム | 消毒液や石鹸で手が荒れがち。こまめな保湿を。 |
目薬・のど飴 | 乾燥による目や喉の不快感を軽減。 |
名刺(100枚 以上目安) | 想定以上に交換機会があります。肩書き、連絡先は最新のものを。 |
モバイルバッテリー (大容量) | 会場での充電スポット争奪戦は必至。1 日中活動できるよう 20,000mAh 推奨。 |
歩き慣れた靴 | 会場は広大。1 日 2 万歩超えもあり得ます。新品は避け、履き慣れたものを。 |
(現地洗濯派向け)洗剤 | 下記参照。 |
【荷物を減らす工夫: 現地洗濯のススメ】
T シャツや下着類は、ホテルのランドリールームや、洗面台/バスタブでの手洗いで対応可能です。旅行用の小分け洗剤やシートタイプの洗剤を持参すれば、荷物を大幅に減らせます。私は実際に 3 日分の着替えで 6 日間を乗り切りました。洗剤は念のためジップ付き袋に入れて液漏れ対策を。
1-5. フライト選択: 快適な移動で体力を温存
往路だけで 10 時間以上のフライトは、到着後のパフォーマンスに大きく影響します。
- 座席アップグレード: 追加料金で座席のアップグレードを検討する価値は十分にあります。私はアメリカン航空の Main Cabin Extra へアップグレードし、初日からフル稼働できました。
1-6. 現金は最小限に: チップと少しの遊び用に
アメリカはカード社会。ほとんどの支払いはクレジットカードやタッチ決済で可能です。私が現金を使ったのは、主にチップとカジノで少し遊ぶ程度。多額の現金を持ち歩く必要はありません。
2. ラスベガス到着後 - ストリップ地区の歩き方
いよいよラスベガスへ!スムーズに行動するためのポイントです。
2-1. 空港からホテルへ: スムーズな移動手段の選択
ハリーリード国際空港 (LAS) から Next 会場エリア(Mandalay Bay Convention Center 周辺)までは車で約 15~20 分。
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推奨: タクシー or ライドシェア (Uber/Lyft)
- タクシー: チップ込みで約 $25~$35 が目安。乗り場も分かりやすい。
- ライドシェア: アプリで簡単に呼べますが、イベント期間中は需要増で料金が高騰(Surge Pricing)することも。また、指定の乗降場所が分かりにくい場合もあるので注意。
- 非推奨: 路線バス: 安価ですが、乗り換えや待ち時間で 1 時間以上かかることも。到着後の貴重な時間と体力を温存するため、避けるのが賢明です。
2-2. ホテル選びのヒント: 会場アクセスと快適性を考慮
- 会場隣接ホテル: Mandalay Bay, Luxor など、会場に直結または隣接するホテルは、移動のストレスが格段に少なく、非常に快適です。ただし人気が高く料金も高めなので、早めの予約が必須。我々は徒歩 30 分程度の「Planet Hollywood Las Vegas Resort & Casino」に宿泊。とても快適に過ごせたのですが、徒歩移動で腰を痛めることに...
- モノレール駅近くのホテル: ストリップ地区を結ぶモノレールを活用するなら、駅に近いホテルも選択肢。
- コスパ重視: 少し離れたホテルは比較的安価ですが、会場までの移動時間とコスト(タクシー代など)を考慮する必要があります。
2-3. 移動の鉄則: 徒歩は控えめに、シャトルやタクシーを活用
ラスベガスのホテルは巨大で、地図上では隣に見えても、実際にはかなりの距離があります。「少し歩こう」という気持ちは分かりますが、徒歩移動は想像以上に体力を消耗します。
移動は会場公式シャトルバス(運行されれば)、タクシー、ライドシェアを徹底活用する。 これが長丁場のイベントを乗り切るための鉄則です。
3. 会場内 - 情報の波を乗りこなすタイムマネジメント
広大な会場で繰り広げられる数百のセッション。効率的に動き、学びを最大化しましょう。
3-1. キーノート: 最重要セッションは早めの行動で
Next のハイライトである基調講演(Keynote)は必見です。最新情報や大きな発表が行われるため、開始 1 時間前には会場に到着し、列に並ぶことをおすすめします。私は 1 日目、Google Developer Experts 向けに用意されていた入口にたどり着けず、初日の基調講演をブースで見ることになってしまいました...
3-2. セッション選択と Expo 活用: 「全部」ではなく「目的」で選ぶ
公式アプリで興味のあるセッションに「★Save」を付けていくと、あっという間に分刻みの真っ黒なスケジュールが出来上がります。しかし、「全部見る!」という意気込みは、初日で燃え尽きる可能性大です。
- セッション参加の目安: 1日あたり3~4 セッション + 1 ラボ(ハンズオン) + Expo 散策程度を上限と考えましょう。無理のない計画が重要です。
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目的別選択:
- 特定の技術/テーマを深掘り: 関連セッションを集中して聴講。
- 最新動向を広く把握: 様々なトラックから興味のあるものをピックアップ。
- ネットワーキング重視: セッション数を絞り、Expo や交流スペースでの時間を増やす。
- 見逃しても大丈夫: 多くのセッションは後日オンデマンドで視聴可能です。無理せず、ライブでしか得られない体験(Q&A、交流)を優先しましょう。
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Expo(展示ホール)活用:
- 目的を持つ: 最新技術デモ、特定ソリューションの相談、ノベルティ集めなど、目的を持って回ると効率的。
- 積極的に質問: ブース担当者に気軽に質問し、議論することで深い学びが得られます。名刺交換も忘れずに。
- 混雑時間を避ける: キーノート直後や昼食時は混雑しがち。少し時間をずらすのがおすすめ。
3-3. 学びを最大化: 録音・文字起こしツールの活用
英語での専門的なセッションは、集中していても聞き逃しが発生しがちです。後で内容を振り返ったり、メモを取る手間を省いたりするために、録音・文字起こしツールの活用が非常に有効です。
- 方法: スマートフォンの録音アプリ+文字起こしサービス、あるいは専用の IC レコーダー(例: Plaud Note, Otta など)を使用します。
- メリット: セッション中は内容理解に集中でき、後からテキストで検索・確認できるため、復習効率が格段に向上します。ただし、録音可否はセッションルールに従ってください。
4. 体調管理 ― 乾燥と疲労との戦い方
最高のパフォーマンスを発揮するには、体調管理が不可欠です。特にラスベガスの乾燥と、連日の活動による疲労には注意が必要です。
4-1. 保湿は徹底的に: リップ・ハンドクリーム・目薬・のど飴
想像以上に空気は乾燥しています。
- リップクリーム: ポケットやバッグに常備し、こまめに塗り直しましょう。
- ハンドクリーム: 会場内の消毒液や石鹸の使用で手が荒れやすいので、こちらも必須。
- 目薬・のど飴: 乾燥による目の乾きや喉のイガイガ対策にあると快適です。
4-2. 水分補給は意識的に: 給水ステーションを活用
気付かないうちに脱水症状になりやすい環境です。セッションの合間などに、意識してこまめに水分補給をしましょう。会場内には無料の給水ステーションが設置されています。
4-3. 睡眠と休息: パフォーマンス維持の鍵
連日朝から晩まで活動するため、質の高い睡眠を確保することが非常に重要です。夜更かしはほどほどに。また、セッションの合間に少し目を閉じたり、会場の休憩スペースでリラックスする時間も意識的に作りましょう。軽いストレッチも疲労回復に効果的です。
5. 費用管理 ― スマートにお金を使うコツ
ラスベガスは、想像以上に物価が高い街です。スターバックスでコーヒーと軽食を頼んだら$30超え…なんてことも。賢く立ち回り、予算オーバーを防ぎましょう。
5-1. 食事: 無料ミールやイベントを有効活用
- ランチ: Next 会場で提供される無料の昼食を活用しましょう。サラダ、ホットミール、デザートなど、意外と充実しています。
- ディナー: ネットワーキングイベントに参加すれば、無料または安価で食事やドリンクを楽しめることが多いです。情報収集とネットワーキングも兼ねられて一石二鳥。
- 朝食・軽食: ホテルの部屋や会場でサッと食べられるよう、シリアルバーやナッツなどを日本から持参すると、節約&時間の有効活用になります。現地のスーパー(CVS/Walgreens など)で水やスナックを調達するのも良いでしょう。
5-2. カジノとの付き合い方: 予算を決めて楽しむ
ラスベガスといえばカジノですが、深入りは禁物です。
- 予算設定: 「〇〇ドルまで」と使う上限額を明確に決め、それ以上は使わないと心に誓いましょう。「娯楽税」と割り切って、雰囲気を楽しむ程度に留めるのがおすすめです。
6. プラス α の体験 ― Next だけで終わらせないために
もし日程に余裕があれば、ラスベガスならではの体験もおすすめです。
6-1. 壮大な自然へ: グランドキャニオン日帰りツアー
少し足を延ばせば、世界有数の絶景が待っています。ヘリコプターや小型飛行機での日帰りツアーなら、効率的に壮大な景色を満喫できます。
- 例: 帰国日の午前を利用した 4 時間のツアーなど。フーバーダム上空遊覧を含むプランも。
- 費用: $400~$600程度が目安ですが、その価値はプライスレス。
- 予約: 事前予約が必須です。
我々は Next 期間中はセッションやイベントを詰め込んでいたため、帰国日の午前中にツアーに参加しました。
6-2. 世界クラスのショー: ラスベガスならではのエンタメ
シルク・ドゥ・ソレイユ(O, KA など)をはじめ、有名アーティストの常設公演、マジックショーなど、選択肢は豊富。非日常的な体験は、良いリフレッシュにもなります。
7. まとめ ― 次回 Next を最高にするための ToDo リスト
これまでのポイントを、次回のNextに向けたToDoとしてまとめます。
- 早めの準備と 1 時間前行動: 手続き、予約は余裕をもって。当日は早め行動で有利なポジションを。
- 体調管理は最優先: 保湿、水分補給、睡眠を徹底。時差ボケ対策は出発前から。
- 「選択と集中」の精神: 「全部見る」は諦め、目的を絞って深く学ぶ。Expo や交流も計画的に。
- 持ち物は厳選&対策: 必須アイテムに加え、現地洗濯も視野に。
- 移動は賢く: 徒歩は最小限に。タクシー、シャトルで体力温存。
- 予算管理とメリハリ: 無料リソース活用、カジノは予算内で。フライトや体験には投資も検討。
- 計画にバッファ(余裕)を持たせよう: 予期せぬ出会いや発見を楽しむ心の余白を作る。
砂漠の都市での活動は、想像以上に心身を消耗します。だからこそ、事前の準備を 8 割方済ませ、当日は 2 割の「遊び」や「余白」を持っておくことが、最高の体験を得るための秘訣です。
来年、あの巨大な会場で、このガイドが少しでもあなたの役に立つことを願っています。
皆さんの Next 攻略法や、他に知りたい情報があれば、ぜひコメントで教えてください!
それでは、See you at Next 2026!
最後に: 当ブログと運営会社について
ここで、当ブログの運営に関するお知らせです。
これまで当ブログを運営してきた株式会社 Hogetic Lab と、三井物産株式会社の 100% 子会社である株式会社 Legoliss は、2025 年 4 月 1 日に合併し、新たに株式会社 MBK Digital としてスタートいたしました。今後は株式会社 MBK Digital として、引き続き皆様に役立つ情報を発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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