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Microsoftいわく開発者はリモートワークで生産性は平均すると少し向上して通勤時間分も得

2022/02/11に公開約3,100字

Microsoft Researchの論文を読んでみる

前口上

コロナ禍でリモートワークが進んだ結果、US大企業では前後を比較することで生産性が上がったかどうかのエビデンスが取られるようになっています。

Microsoftもそういった統計分析に積極的な企業の一つで、何度か調査を行っています。The effects of remote work on collaboration among information workersがおそらく一番有名な調査で日本のメディアにもとりあげられたのでご存知の方も多いかもしれません。

ただこちらの調査はMicrosoftの従業員全体が対象のようでBiz職もエンジニアも一緒くたにされています。Microsoftのエンジニア比率の公式情報を見つけられなかったのですが、2020年の情報で開発者が4.7万人、2020年の従業員数がグローバルで16.3万人なのでエンジニア比率は29%でしょうか。意外と低いと思いました。

Microsoft Researchが出したリモートワークに関する論文には他にもA Tale of Two Cities: Software Developers Working from Home During the COVID-19 Pandemicがあり、こちらは開発者に特化しています。

今回この論文を読んだのでメモを残しておきます。

TLDR

  • 初期は仕事での生産性は出社かリモートワークかによって変わらない人が1/3。残りは良いと悪いで評価が分かれた
  • 96%の人が通勤時間の減少による恩恵を受けた(往復67分)
  • 集中時間の長さが生産性向上に聞いた
  • 83%の人が社会的交流の減少を感じた
  • 生産性の低下にはモチベーションの欠如が大きかった
  • 回線の安定化などの施策で生産性の向上が見られた
  • 開発者あたりのプルリクエスト数は前年比4.0%の向上

調査方法

MS King County(ワシントン)限定の調査1とUS全体の従業員に聞いた調査2の両方からデータをとっています。

調査1と調査2で質問項目、時期も違い調査1が2020/3/16-20、調査2が2020/4/22-5/9です。間の4月に政府による在宅命令が出ています。

生産性の変化

仕事での生産性は出社かリモートワークかによって変わらない人が1/3。残りは良いと悪いで評価が分かれました。

初期の方が悪く時間が経つにつれて生産的と答えた人が微増でしょうか。

MSの職種の区分は少し日本のIT系の会社の職種名とずれがあるのですが、ここではpeople managerをエンジニアリング・マネージャー(EM)相当、individual contributorをエンジニア、program managerをプロダクトマネージャー(PM)相当とします。

職種によって生産性の変化の感じ方はエンジニア(32%)とEM(35%)で変わらず、PM(40%)の方が向上したと感じています。

個人的には全従業員を対象としたサーベイではサイロ化が問題点として挙げられていたのでてっきり人と関わることの多いPMほど生産性は下がると思っていたので意外でした。

リモートワークで恩恵を得られたこと

  • 96%の人が通勤時間の減少による恩恵を受けた(往復67分、中央値60分)
  • 消費の減少
  • スケジュールの自由度が高い
  • 家族との近さ
  • 服装の自由度

などが挙げられています。

東京都で言えば通勤時間は片道1時間以上かけている人の方が多く、往復2時間以上なのでワシントンより得られるものが大きいですね。

  • 集中時間の長さ
  • 外乱の少なさ
  • 職場環境の良さ

を感じた人が生産性の向上が大きいです。

職種別だとエンジニアに比べてEMはワークライフバランスの向上や仕事時間の自由度は感じていないです。逆にPMはエンジニアより家族と近く感じており、通勤にお金をかけていないです。

個人的にここら辺はロールと年齢が相関しているような気もします。

困難に感じたこと

悪くなった点で票が多かったのは以下です。

  • 83%の人が社会的交流の減少を感じた
  • プライベートと仕事の境界が曖昧になった
  • 人間工学(的に有利な機材)の減少(スタンディングデスクなど)
  • 同僚が何をやっているのかわからない
  • 運動不足

生産性の低下への影響度では

  • 外乱
  • モチベーションの欠如
  • 同僚とのコミュニケーション不足

などが挙げられます。

職種別だとエンジニアに比べてEMは会議の多さ、少ない休憩時間を感じています。育児も挙げられているので休み時間に子供にご飯食べさせるなども関係しているかもしれないですね。

PMと比べるとエンジニアは回線の遅さ、食事のオプション不足、ルーティーン欠如を感じています。エンジニアほどオフィスの無料ランチに頼っていたのかもしれないですね。

生産性の向上の施策

MSは生産性向上のための施策をいくつか行っています。効果が高いとの回答が多かったのは

  • 社内からモニターなどの機材の持ち出し許可
  • 回線費の補助、VPNの安定化
  • 家庭オフィス向上のための補助

家庭オフィス向上のための補助は肯定回答者と否定回答者の差分が小さいです。生産性否定回答者には回線の安定化、コミュニケーションツールの改善(ホワイトボードツールなど)が効き、肯定回答者には人間工学的に有利な機材、平時のリモートワークのサポートが効きます。

その他

  • EM、PMは会議増
  • 子供の保育について悩みのある親は生産性が低い
  • 開発者あたりのプルリクエスト数は前年比4.0%の向上
  • 会社レベルでは同じか少し生産性が上がっているが人によってばらつきが高い

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