suno AI で「それっぽい曲」をタイパ重視で作成する方法
はじめに
最近、AIによる音楽生成の品質が向上し、特に Suno AI は目覚ましい進化を遂げています。v4.5のリリースにより、さらに手軽に高品質な楽曲を生成できるようになりました。
※上記リンク先音が鳴るので注意
この記事では、Suno AI を使って「それっぽい曲」を効率的に、つまりタイムパフォーマンスを重視して作成する方法を解説します。
ここで言う「それっぽい曲」とは、完璧なオリジナル曲を目指すのではなく、特定のジャンルの特徴を捉えた聴き心地の良い楽曲を指します。
対象読者
- Suno AI を初めて利用する方
- 難しい設定なしで、手軽に音楽生成を楽しみたい方
完成した楽曲
この記事の手法を用いて作成した楽曲がこちらです。
どんな手法を取り入れるのか?
本格的な楽曲作成に入る前に、なぜ本記事で紹介する手法がタイパ向上に繋がるのか、そのコンセプトを説明します。
Suno AI の特性と「ガチャ」要素
Suno AI は非常に強力なツールですが、プロンプトから生成される楽曲のクオリティには、ある種の「ガチャ」要素、つまり運の要素が伴います。
同じプロンプトでも、生成のたびに全く異なる結果が生まれることも少なくありません。
この不確実性をコントロールし、効率的に求めるイメージに近づけることが、タイパ向上の鍵となります。
インスト曲を先行して作成するアプローチの利点
そこで有効なのが、「インスト(伴奏)曲」を先に生成するアプローチです。
※下記 X のポストを参考にさせていただきました。
歌詞と曲調を同時に生成しようとすると、考慮すべき要素が増え、ガチャの当たりを引く難易度が上がります。
一方、まずインスト曲の生成に集中することで、曲の雰囲気や構成という土台を固められます。
これは、プロンプトエンジニアリングにおけるメタプロンプトのように、段階的に指示を具体化していく感覚に近いかもしれません。
完成したインスト曲があれば、それに合わせて歌詞を考えるだけで良いため、手戻りが少なく、効率的に作業を進められます。
「それっぽさ」を出しやすい音楽ジャンル
この手法は、特に特定の音楽ジャンルで効果を発揮します。
-
DTM(デスクトップミュージック)で制作されるようなジャンル
- Suno AI は、電子的なサウンドデザインや構成を持つ音楽の生成を得意としている印象です。
-
ボーカルの技巧が複雑すぎないジャンル
- 生成 AI が歌詞を作成する都合上、強いメッセージ性や複雑な歌唱表現が求められるジャンルより、比較的シンプルな構成の歌詞が馴染みやすいです。
これらの条件を踏まえると、例えば 日本のアイドルソング などは、この手法で「それっぽい」クオリティの楽曲を生成しやすいジャンルの一つと言えるでしょう。
タイパ重視の楽曲作成フロー
それでは、具体的な楽曲作成フローを3つのステップで解説します。
ステップ1: 「それっぽい」インスト曲を生成する
はじめに、楽曲の土台となるインスト曲を作成します。良いインスト曲が生成できるまで、何度か「生成ガチャ」を回すことになります。
楽曲を生成するには https://suno.com/create にアクセスします。
Style Description の入力
作りたい楽曲のジャンルや雰囲気を入力します。例えば「J-POP, idol, girls group, up tempo」のように、キーワードをカンマ区切りで入力します。もしアイデアが浮かばなければ、生成 AI に好きなアーティストを伝えて、関連するジャンルを挙げてもらうのも良い方法です。
Instrumental を ON にする
Instrumental
のトグルを ON にして、インスト曲を生成するモードに切り替えます。(添付画像は OFF の状態)
Creative Boost の活用
Creative Boost
ボタンを押すと、入力した Style Description
を Suno AI がより豊かで詳細なプロンプトに拡張してくれます。自分では思いつかないような表現が加わることで、生成される楽曲のクオリティが向上することがあります。
Style Description の入力の画像のオレンジ色のボタンが Creative Boost
ボタンです。
Advanced Options の推奨設定
- Weirdness: 低めに設定します。プロンプトの指示に忠実な楽曲を生成させたい場合は、この値を下げておくのが無難です。
-
Style Influence: 高めに設定します。
Style Description
で指定したジャンルや雰囲気を強く反映させたいので、この値は80前後にしておくことを推奨します。
これらの設定で、納得のいくインスト曲ができるまで何度か生成を繰り返します。
ステップ2: 生成AIで歌詞を作成する
良いインスト曲が完成したら、次はその曲に合わせた歌詞を作成します。
インスト曲をダウンロード
完成したインスト曲を mp4
形式でダウンロードします。
各楽曲の3点マーク(縦に3つの点)からダウンロード可能です。
mp4
形式でダウンロードするには、 Generate Video
を押下してまず Video
ボタンがクリックできる状態にする必要があります。
生成AIに歌詞の作成を依頼
Google の Gemini や Google AI Studio など、動画ファイルをアップロードできる生成 AI サービスを利用します。ダウンロードしたインスト曲をアップロードし、「この曲に合う歌詞を考えてください」と依頼します。
より「それっぽさ」を出すためには、以下のような指示を加えるのがおすすめです。
- 歌詞の構成(例: Aメロ, Bメロ, サビ)を指定する
- 曲調から感じられる感情(例: 切なさ, 希望)を歌詞に含めてもらう
例えば記事の冒頭に挙げた idol song (summer-Remix) の歌詞は以下のようなプロンプトを入力して生成しました。
添付したファイルは、日本の女性アイドルグループをイメージしたインスト曲です
これに歌詞をつけてください
テーマとしては、夏・恋・ハッピーという感じでお願いします。
suno AI のリリック欄に記入したいので、suno に合わせた形で歌詞を構造化してください。
構造化する際には、感情も付与するようにしてください。
また、女性アイドルグループの曲らしく、合いの手を入れたいです
ステップ3: インスト曲に歌詞を乗せて完成させる
最後に、生成した歌詞をインスト曲に乗せます。
Cover 機能を利用
Suno AI に戻り、完成したインスト曲のメニュー(3点マーク)から Remix/Edit
→ Cover
を選択します。
歌詞を貼り付け
生成 AI が作成した歌詞を Lyrics
の欄に貼り付けます。
Advanced Options の設定
-
Audio Influence: カバー曲を作成する場合、このオプションが出てきます。
これは高め(90以上)に設定することを推奨します。元のインスト曲の雰囲気や構成を強く引き継がせたいので、この値を上げておくとイメージの乖離が少なくなります。
-
Style Description の確認:
Cover
機能を利用する際、Style Description
が空欄になる場合があります。その場合は、インスト曲を生成したときと同じ内容を再度入力しておくと、より安定した結果が得られます。
この設定で楽曲を生成し、必要に応じて歌詞の細かい部分や Advanced Options の値を修正すれば完成です。
まとめ
本記事では、Suno AI を使ってタイムパフォーマンスを重視しながら「それっぽい曲」を生成する手法を紹介しました。
- 最初にインスト曲を作成する: 歌詞と曲調を同時に生成するよりも、まず楽曲の土台を固めることで「ガチャ」の成功率を高め、効率を上げられます。
- 得意なジャンルを選ぶ: 特に DTM ベースでボーカルがシンプルな構成の楽曲(例: アイドルソング)は、この手法で高いクオリティを出しやすいです。
- 生成AIとの連携: 歌詞の作成は、Gemini のようなマルチモーダル対応の生成 AI に任せることで、曲の雰囲気に合った歌詞を効率的に得られます。
Suno AI のプロンプト制御は、ChatGPT などのテキスト生成 AI と比べるとまだ発展途上な部分もあり、予期せぬ結果が生まれることも多いです。
しかし、この「ガチャ」要素も含めて、本記事で紹介したようなワークフローを確立することで、誰でも手軽に音楽生成ができるはずです!ぜひお試しください!
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