2021年 TidalCyclesやったことまとめ
2021年、あまりTidalを触る時間はとれなかったものの、前々からやってみたかったことにいくつか挑戦したので、振り返りつつまとめようと思います。
#つぶやきTidalCycles
Twitterに投稿できる文字数の範囲内でコードを組む、#つぶやきTidalCyclesを何日かやりました。
文字数の制約のほか、
・デフォルトのSuperDirtのサンプルを使うこと
・randやdegradeなどランダムを(基本的に)使わないこと
などを個人的な制約としたところ、これがすこぶる即興演奏の勉強になりました。まず文字数の制限があるので、可能な限りコードをダイエットしようとする意識のほか、最小限の文字数で最大限の音楽的な効果をもたらす方法を模索しようという意識につながりました。具体的にはchunk
にパターンを入れてchunk "<2 4>"
のようにして展開を作る手法や、spreadf
やsoak
の活用、偶数(4など)で展開するCycleに奇数要素のspreadf
などを適用して長い展開を作る、といった手法を身につけました。楽器ごとにトラックを分ける・・・といった余白もないため、ツイートの例のようにd1
にベースとシンセとブレイクビーツを詰め込んで一括で処理する、という力技を使いましたが、これもなかなかに可能性を感じるものとなりました。僕はDAWを触ってる時間が長かったので、どうしてもオーケストラのスコアリングだったりマルチトラックレコーダーのパラダイムで音楽を捉えてしまう癖があるのでもっと自由に、コードとしての音楽に対して意識を開いていく必要がありそうです...
作った#つぶやきTidalCyclesのコードでBreakcoreっぽいCode Jockeyをやったりもしました。
SuperDirt, Side-chain compressor extention
ずっとやりたかったSuperDirtへのSide-Chain Compressorの追加をやりました(手法はこちらの記事にまとめました: https://zenn.dev/hiroki_mtplc/articles/d3de0840c773c6 )。
Side-Chain Compressionしたいというシチュエーションは多々ありつつもいかんせん実装が大変そうで足踏みしてましたが、やってみたらSuperDirt内にサンプルがあったりと、結構あっさりできました。ただ微妙に動作が安定しなかったり、よりよい操作性をまだまだ探求できそうなので、SuperDirtの読解もそのうちやりたいですね!
次の拡張アイディアとしては、# speed
とかloopAt
などと同じ感覚でサンプルのTimeStretchができるエフェクトを導入したいと思ってます。ストレッチしたサンプルをもとにchop
やstriate
ができると楽しいはず。あとはベースやPad・Drone系のSynthDefを増やしたいですね。
Tidal BreakCore
速い音楽が好きなのでこれまでもTidalでBreakBeatsを扱う方法については検討を重ねてきましたが、仕込みに時間がかかりすぎたり、気持ちの良いリズムとカオスのバランスが難しかったりと自分の中ではしっくりいってませんでした。しかし#つぶやきTidalCyclesでの練習もあり、活路が見えた年となりました。loopAt
とchop
でTidalのテンポとサイクルにフィットさせた上で、Bite
を使ってカットアップしています。そしてネストの上位、上のほうの行で(# n "{0 1 2 3....}%")
とすることで、ステップごとのサンプルの切り替えに成功しました。
この構造でかなり自由なカットアップをしながら、spreadf
などでエフェクトを適用して展開を作っていく...ということがやりやすくなりました。ここで、サンプルの指定(# n)とbiteのパターン("0 1 2 3"など)をペアでうまいこと保持しておく仕組みがあれば、DAWのタイムラインに好きなサンプルを切り貼りして並べていくがごとく、自由自在にコードでBreakCoreを作れるのでは、という発想に至りました。
desu...
The Longest Night
今年最後、配信イベント The Longest Night 2021に参加しました!
ライブの構成は1週間前くらいからぼんやり考え始めたのですが、たまたまジャケ買いしたサンプリングディスクがあった()ので、サンプルを聴いてインスピレーションを得ることにしました。
かなりエッジのあるキック/スネアがありつつ、pad的に使えそうないい感じのvoiceサンプルが入っていたので、juke/footworkのようなスタイルをどこかでやる、ということは決めていました。あとは即興に身を任せつつ、タイピングだけミスらないよう毎日Tidalを書きながら馴らしていましたが、本番はいつも通り(?)せわしないコーディングとなりました。
しかし2020年と比べると多少は進歩できたのではないかと思います。
2022年やりたいこと
The Longest Nightでのほかの出演者のパフォーマンスを見て、2022年はサウンドデザイン・音作りにもっと注力したいと思いました。前述のSuperDirtの拡張やSynthDefの追加しかり、もっとたくさんのCustom Sampleの研究やハードシンセとの連携などなどですね。この実現のために、いろいろな市販品を試すこともそうですが、MaxやCSoundなど、もっとLow Levelの音響処理もできるようになりたいと思いました。あとフィールドレコーディングもやりたいですね。しかしこうした技術周りの勉強とは別に、純粋に音楽センス・経験や耳の鋭さに未熟を感じた1年でもありました。Tidalから裾野を広げて、いろんな音楽経験を積みたいですね。あとはHaskellの勉強・・・・・・
2022の年末にまたこうして記事を書くときに、新しい景色を見て、今思いつかないような次の目標を立てていられるようにしたいものです。
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