遠隔農業の課題を「人工衛星」で解決する挑戦 〜 ラズパイからリモートセンシングへ 〜
1. 遠い畑の「今」を知りたい!:遠隔農業の悩み
はじめまして、七花ファームでクレソンを栽培している古閑弘晃です。
私たちの農地は、自宅から離れた場所に点在しています。特に夏対策として標高の高い畑での栽培を始めたこともあり、遠い畑は気軽に見に行くことができなくなりました。そのため、日々の作物の生育状況や気温をリアルタイムで把握することが難しいという大きな悩みがありました。
そこで、最初は「プログラミングを勉強して、この課題を解決しよう!」と決意しました。
真っ先に思いついたのは、安価なコンピュータとして有名なラズベリーパイを使い、遠隔カメラや気温計を設置することです。しかし、複数の畑に設置することを考えると、以下のような課題が山積していきました。
電源がない: 畑に電源を引くのは現実的ではありませんでした。
コストが高い: 複数の畑にカメラやセンサーを設置すると、安価なはずのラズパイでもかなりの費用がかかります。
メンテナンス: 現地まで頻繁に見回りに行けないのに、機器の故障やバッテリー交換のたびに行くのは本末転倒だと感じました。
こうして、せっかく始めたプログラミングも、解決策が見つからず立ち止まってしまう日々が続いていました。
2. 課題を解決する光、「人工衛星」の発見
そんな時、偶然「GIS」という地図ソフトと、「リモートセンシング」
という技術を知りました。
リモートセンシングとは、人工衛星が上空から撮影した画像やデータを使って、地上の情報を読み解く技術のことです。
この技術を知った瞬間、「もしかして、この技術を使えば遠い畑の気温や現在の状態を、自宅にいながらにしてモニタリングできるのではないか?」と、大きな可能性を感じました。電源やコストといった従来の悩みを、根本的に解決できるかもしれないと直感したのです。
3. 人工衛星が教えてくれること
人工衛星がなぜ遠隔農業の課題を解決してくれるのか、改めて整理してみます。
広範囲の情報を効率的に: 広大な農地全体を、一度にまとめてモニタリングできます。
定期的な観測: 人工衛星は決まった周期で地球の上空を飛んでいるため、毎日・毎週といった定期的な観測が可能です。
地表面温度の可視化: JAXAの人工衛星「しきさい」が取得した**「地表面温度データ」**を使えば、目には見えない畑の温度を把握し、作物のストレスや水不足の兆候を早期に発見できます。
4. これから始まる挑戦
現在は、QGISという無料のGISソフトと、JAXAが提供するチュートリアルを参考に、このリモートセンシング技術を学び始めたばかりです。
すでに、地表面温度データを使って特定の畑の温度を数値化するところまでたどり着きました。
これからは、Pythonというプログラミング言語を使ってデータの自動化にも挑戦していきます。
このブログでは、私が遠隔農業の課題にどう向き合い、リモートセンシング技術を使ってどう解決していくのかを、技術的な側面から記録していきたいと思います。
同じような悩みを持つ方や、リモートセンシングに興味がある方の参考になれば幸いです。
どうぞ、お付き合いください!
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