ゲーム&ローカルLLMを遊ぶための自作PCを構築
概要
ゲームおよびローカルLLM用途(学習はなし、推論のみ)のために総額40万円越えの自作PCを組んだ記録記事です。
ここ5年以上Macユーザ(メインPCはiMac→Mac Studio)だったため、最後に自作Win PCを作ったのはもう10年以上前でした。今回はハイスペックなPC(GPU)でゲームがしたい、AIの勉強も兼ねてローカルLLMをやりたいというモチベーションがかなり高まったので、思い切ってそこそこハイスペック?な自作PCを組むことにしました。
今回の自作PCで最も重要視したことは、ローカルLLMを動かす(しかもしれなりの精度で)ことが出来る構成もしくは将来の追加パーツでそれを実現できることです。ローカルLLM動くだけのスペックがあれば最新のゲームやる分にもこの先5年くらいは困らないスペックが実現できるはず。
組んだPCのベンチマーク結果(モンハンワイルズ)
解像度4K/グラフィックス設定ウルトラでベンチマークを流してみて、100fps以上出てるのでゲームする分には十分過ぎるパフォーマンスです。ベンチマークの実行動画は以下です。録画用に裏で4Kのエンコードをやっているので、録画なしで実行した場合よりも少しだけ数値は低めですが、それでも100fps@4K出ています。
組んだPCのスペック(現時点 / 将来補強予定)
まずは一度このスペックでLLMを動かしてみて、様子を見ながら今後GPUとメモリ(さらに+64GB)を追加調達したいと思っています。
カテゴリ | パーツ | 価格(円) | 購入先 |
---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 7950X | 83,675 | Amazon |
GPU | GEFORCE RTX 5070 Ti | 205,000 | メルカリ(新品) |
メモリ | Crucial CP2K32G56C46U5 (DDR5 PC5-44800 32GB 2枚組) | 21,880 | ドスパラ |
マザーボード | X670E GAMING PLUS WIFI | 32,980 | ツクモ |
SSD | Crucial P3 1TB NVMe PCIe3.0 M.2 SSD CT1000P3SSD8JP | 9,172 | Amazon |
CPUクーラー | Liquid Freezer III - 360 | 17,980 | ツクモ |
電源 | Vetroo 1000W電源ATX 3.0 ReadyダブルPCIe 5.0 | 20,999 | Amazon |
PCケース | Antec Constellation C8 | 14,350 | ツクモ |
PCケースファン | Arctic P12 Max | 1083 | ツクモ |
PCケースファン | Novonest 120mm 連結型ケースファン(2個) | 1,980 x 2 | Amazon |
OS | Windows 11 Pro | 0 | -(Windows 10 Proのライセンスを既に保有&それが11でも使えたため) |
合計 | 411,079 |
Macではダメなのか?
ローカルLLMの場合はメモリ割増のMacという選択肢もあり得えます。むしろローカルLLM動かすことだけが目的かつ生成速度が遅くても問題ないという人はMacの方がコスパがいい気がしました。
ただ、私の場合は最新ゲームが出来ることも前提にしているので、Macという選択肢は実質なしでした(仮想マシン上にWindowsをインストールしたらゲームは出来るケースもあるが、サポートされているDirectXのバージョン等などにより問題が起きることもある)。ほとんどのSteamゲームはMacは非サポートなので…
他には64GBメモリ(ユニファイドメモリ)のMac Studioはもう持っていることや、CUDAが使えない制約とかもあります。さらに、自分のMacは電源もしくはストレージ系が怪しいことがあって、数年使っていると勝手にリブートしたり電源が入らなくなるなどの問題に過去2回も遭遇している..(iMac, Mac Studio両方)で、購入から一年を経過したMac製品は公式サポートの窓口(店頭、代理店含む)に予約の上、直接持ち込みをして一度見てもらう必要があり(近くに代理店すらない人はどうするんだろう)、不便さを感じました。
Mac StudioでローカルLLMを動かしてみた感想↓
ゲームのために必要なスペック
基本的にローカルLLM出来るレベルのGPU環境であれば、普通にゲームする分には全く問題がないと思います。私の場合はDLSS4が欲しかったので、RTX 50シリーズを一枚は買おうと早々に決めてしまいました。この時点でRTX 5070 Ti (16GB)を購入することが確定。
ローカルLLMを動かすために最低限必要なスペック
GPUのVRAM容量の観点
ローカルLLMをやる場合、一番重要なのはGPUのVRAM(専有メモリ)のサイズです。利用したいモデルのパラメーター数など次第ではありますが、ある程度使えるレベルを目指すならどんなに最低でも16GB(8B-F16のモデルならかろうじて動く)、出来れば48GB(そこそこ性能が出る70B-Q4を動かす場合)、実用的なら最低160GB(このレベルはAIサーバー用の専用GPUが必要)以上は必要です。
以下のGitHubに各種GPU(VRAM)でLLaMA-3のモデルの推論を動かした場合の結果がまとめられています。
問題なのは、一般ユーザが購入できるグラボだと8GBとかから最新モデルでも32GB搭載の商品しかなく、しかもVRAM容量が多く最新モデルになればなるほどクソ高い(10-50万レベル)。そのため、出来るだけVRAMを積んだ安いグラボを入手してそれを複数マザボに刺して使うという作戦が現実的です。例えば、二世代前のRTX 3090は24GBのVRAMを搭載していて、かつ中古品で11万円前後で入手可能です(あくまでもメルカリ等の中古品でリスクあり)。
RTX 5080 24GBモデルが出る?
価格次第ですが、3090以外にも選択肢が増えるかもしれません。
RTX Pro 6000
アメリカで10,000-15,000ドルなので、日本価格は150万円以上しそうですが、グラボ1枚で96GBかつ消費電力が最大600Wなのは魅力的です。
CPUスペックの観点
最新のCPUである必要はありませんが、出来るだけスレッド数が多いCPUコアの方が好ましいです。
PCケースの物理的なスペースとエアーフローの観点
とにかくGPUをぶん回すので、冷却(熱が篭らないようにエアーフロー)が大事です。それと巨大なグラボを複数挿せるだけのマザーボードと、PCケースの筐体が必要です。グラボがデカ過ぎるので、PCIEのスロットは余っていても物理的に挿せないってことが普通に発生してしまいます。なので大きめかつFANを効率的に複数配置できるものが必要です。
電源(PSU)の観点
複数毎のグラボを使う時点で、最低1000W、出来れば1200Wが必要です。どうしても電源の容量を確保できない場合は、GPUの性能を制限するように設定することで1000W未満の場合でもローカルLLM動かすこと自体は可能です(ただその分性能は下がります)。
どっちがお得? BTO or 個別にパーツ購入&組立
最初はメジャーどころのサイト(ドスパラ、パソコン工房など)のBTOで必要なスペックを選んで購入しようと考えていました(個別調達や組み立てが多少なりとも手間だから)。
が、実際に欲しいスペックを選んでいった場合の最終的な価格と、個別に必要なパーツを最安のところから調達して組み立てた場合の価格を比較したところ、想像以上にBTOよりも高性能な構成でかつ価格も数万円以上安く買えることが分かったため、今回は(今回も)自分で全て調達するようにしました。
購入したパーツの購入理由や組み立てなど
CPU: AMD Ryzen 9 7950X
2022年後半に発売された一世代前のアーキテクチャ(Ryzen 9 9950Xの前世代モデルに相当)のAMD Ryzen 9 7950Xを購入しました。16コア32スレッドです!
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ゲーム, ローカルLLMどちらにおいてもCPUがボトルネックになるとはあまり考えていなかったので、そこそこのスペックのCPUで良いかなあと思ったことと、最新の9950Xと比較してもコア数もスレッド数も同じで全体的に性能差があまり感じられなかったので安い方の7950Xにしました。
7900X3Dの3D V-Cache(L3のキャッシュ倍増)にするかどうかはちょっと悩みましたが、価格が3Dなし版と比較して+4万円前後だったかつベンチマーク結果もかなり微妙だったのでなし。
また、ローカルLLM目的であれば、3D有無よりもスレッド数がの方が大事。
GPU: GEFORCE RTX 5070 Ti
ゲーム用途でDLSS 4サポートしている最新のRTX 50シリーズの中で安くてかつLLM目的で出来るだけVRAM容量が大きい16GBのRTX 5070 Tiに決めました。
とりあえずこれで1枚GPUを確保。8BくらいのモデルであればこれだけでもギリギリローカルLLMいけるかもしれないですがやはり不十分。ローカルLLM目的には今後もう一枚調達予定です。
RTX 40シリーズは中古品でもまだ高くてRTX 4090 (24GB) は中古でも20万円超えの価格帯で、そこ頑張るなら50シリーズ欲しくなるため選択肢から早々に除外。代わりに二世代前のコスパが良いRTX 3090 24GB(フリマアプリで11-13万円前後で買える。ただし中古品なのでリスクあり)が選択肢になります。あとはむちゃくちゃ頑張ってRTX 5090(新品の定価でも50万円前後…現在は入手困難でメルカリ等でも価格高騰中)。
※ここから抜粋。
まずは5070で実験、もう少し時間をかけて決める予定です。しかし最近のグラボはデカい。
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メモリ: Crucial CP2K32G56C46U5 (DDR5 PC5-44800 32GB 2枚組)
BTOだと32GBのものが多いのですが、32GBだと足りないので最低でも64GBは必要です。ローカルLLMでも色々やり出すとメモリは多ければ多いほど良い。128GBとかあると十分だろうけど、一旦64GBで様子を見る。
メーカーは以前から使っていて特に問題がなかったCrucialのものにしました。
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マザーボード: X670E GAMING PLUS WIFI
マザーボードは以下の条件を満たすものであれば割と何でもよかった感じです。
- ソケットがAM5対応
- Resizable BARに対応
- PCIe 5.0対応
- 複数枚のM.2 NVMe SSDが挿せること
いくつか見てみて、2024年2月発売されていたX670E GAMING PLUS WIFIにしました。
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SSD: Crucial P3 1TB NVMe PCIe3.0 M.2 SSD CT1000P3SSD8JP
ストレージはゲームにもローカルLLMでもそんなに重要ではない(ゲームダウンロードしまくると容量必要)ので、とりあえず1TBのNVMeで十分でした。メーカーはメモリと同じくCrucialにしました。
価格優先でGEN3品にしましたが、GEN4でも良かったかなあと買ってから少し後悔。
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電源: Vetroo 1000W電源ATX 3.0 ReadyダブルPCIe 5.0
電源は
- 最低1000W
- PCIe 5.0対応 x2ポート
- ATX 3.0対応
- ゴールド認証
という条件で探しました。GPUを二つ使い出すと1000Wでも足りない可能性があります..
条件を満たすものの中で価格が安くて評判が良さそうだったこれにしました。PCケースは黒なのに何故かカラーの白色を買ってしまった...
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CPUクーラ: Liquid Freezer III - 360
人生初の簡易冷水のCPUクーラにしてみました。どれが良いかわからなかったので、BTOでもこれが使われており、価格.comのレビューなども悪くはなさそうだったのでこれに決めました。
で、今回のPC組立で一番苦労したのがこれの取り付けです。特に説明書的なものはなく、公式のYoutubeの動画を見ながら取り付けをしていたのですが、動画のようにすんなりとハマってくれず、結構苦労しました...。これ取り付け難しいです。
電源ONした時に水が流れる音がしてえっ、水漏れしてる?とかちょっと驚いてしまいました。
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PCケース: Antec Constellation C8
- どでかいGPUを2枚させるだけのスペースを確保出来る
- 爆熱GPUのためにエアーフローが良さそうなもの
という条件で探したのがこれ。カッコいいし、なかなか良かったです。今流行りのピラーレスとか言うやつです(別にピラーレスが欲しくてこれにしたわけではない)。
※ピラーレスだけどPCケースファンはピカピカ光るLED無しのやつです。
左右全面のパネルはネジなしで簡単に取り外し可能ですし、上下部・左側面は網網デザインでPCケースファンを付ければエアーフローかなり良さそうです。
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PCケースファン: Arctic P12 Max
PCケースの背面ファン1基用に、安いやつで振動ゴム付きのこれにしました。コスパは良さそうです。余裕を持って?3つ買いましたが、以下のNovonestのやつを側面と下面に利用することにしたので、1基で十分でした。
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PCケースファン: Novonest 120mm 連結型ケースファン
PCファンに関してはマジでどれがいいのか分からなくて、アマゾンでたまたま見つけたこれにしました。決め手は安かった、レビューが悪くなさそうだった以外は特にありませんが、実際使用してみると静かだし悪くはなさそうです(今のところは)。
サイズ: 360x120x25mm
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PCケースの下面と側面にこれを設置しました。下面はGPUを冷却するために吸引方向、側面は排気方向にしています。
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